これからSFを書きたいあなたへ『NEXT WORLD 未来を生きるためのハンドブック』

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こんにちは。文芸サークル『思ってたより動くメロンパン』の新士悟です。

さっそくですが、皆さんは普段どんなジャンルの文章を書いていますか?

硬派に純文学。想像力豊かにファンタジー。知力を尽くしてミステリー。気ままにエッセイ。詩や短歌を書く人や、ジャンルに拘らず幅広く書いている人ももちろんいるでしょう。

……私?

私はSF一筋です!!

「SF以外は書かない」といっても過言ではありません。

さて、上記のようにこの世には数多のジャンルが存在していますが、読むのと書くのは全くの別物。名作に感動して自分でも書いてみたい!と野心を燃やしたものの、なかなか上手くいかずに躓いた方は少なくないでしょう。

文章力の向上が課題となることはもちろん、それ以外にも課題となる要素はあります。

その一例として『知識』の問題があると思います。

執筆を行う過程で、あるシーンを書きたいのに書くための知識が足りなくて断念した経験はありませんか?

たとえば、あなたが銀行マンを主人公とした小説を書こうとしていると仮定します。しかし、金融に関する知識など持ち合わせていないし、そもそも銀行マンがどんな一日を送っているのかも知らない。これでは執筆したくてもできません。

これが、知識の障害です。

 

サイエンスフィクションが書きたい!

冒頭で述べた通り私はSF一筋で執筆を行っているのですが、SFは特にこの『知識』の不足がハードルとなるジャンルではないでしょうか。

かつて藤子・F・不二雄先生はSFを「すこしふしぎ(SukoshiFushigi)」であるとし、科学的考証に囚われない、想像力豊かな作品群を生み出しました。

そうした自由なSFを書きたいという人ならば良いのですが、「サイエンスフィクション」が書きたいという人には「知識」の障害は大きな問題です。

かくいう私も文系の大学生でして、科学的なディテールの描写には手を焼いております。

加えて、ただでさえ近年は「SFが現実に追いつかれてきた」と言われるように、現実のテクノロジーと想像上のテクノロジーの狭間がだんだんと狭まってきている状況です。

皆さんもニュースなどで耳に挟んでいるかもしれませんが、今年報道された例だけでも「小説を書くAI」や「仮想現実を取り入れたゲームの発売の本格化」などなど。先月には「自動運転車の死亡事故」まですでに起きてしまっています。

科学の進歩は日進月歩。こんなにも流動の激しいテクノロジーの世界。もしかしたら私が考えたアイデアなんてもうすでに実現されているのでは……と不安にもなります。

私はよくなります。

そんな、テクノロジーの現状はぜんぜん分からない、でもサイエンスフィクションが書きたい!という熱意を持ったあなたへおすすめしたいのがこの一冊。

昨年、NHK出版から発売された【NEXT WORLD 未来を生きるためのハンドブック』です。

ドキュメンタリー「NEXT WORLD」の書籍版

本書は昨年、NHKが放映したドキュメンタリーシリーズ「NEXT WORLD」の内容がガイドブック形式に編集されて書籍化したものです。

元となったドキュメンタリーも非常に面白い番組でしたので、興味が出た方は NHKオンデマンド のサイトを確認してみてください。有料ですが、視聴可能なようです。

この本の中では様々なテクノロジーの現状と近未来予測が紹介されています。

パラパラとめくっただけでも、ナノマシンやテレイグジスタンス、VRゴーグルやインターネット・オブ・シングスなどなど、名前は聞いたことあるけれど、正直よく理解していない単語の数々が分かり易く解説されています。

それ以外にも、これまで名前も聞いたことがないような技術も多数掲載されており、新たな発見が創作意欲を書き立ててくれること間違いなしです。

また、それらのテクノロジーの実現を通してどのようなことが可能となるのか、という部分までフォローしてくれているので、SF書きには大変ありがたい構成となっております。

カテゴリーは大きく三つに分けられており、
1:命と身体
2:生活とフロンティア
3:人工知能と未来予測
という具合です。

自身の興味に近いカテゴリーだけでもピックアップして読んでみるもよし。逆に興味のないカテゴリーを読んで、知識の幅を広げるのもよしです。

巻末には索引も用意されているので、テクノロジー限定の辞典としても使える便利な代物です。

もちろん、読み物としても大変興味深い一冊です。

本書のあとがきにはこう記されています。

「自分の気持ちと照らし合わせてみても、なにか新しいものが出現した場合、それにワクワクする気持ちのほうが、心配する気持ちよりも先に来る。そんな気持ちを大切にしたかった。」

「そうした新しいものの中から私たちの幸福を築くためになにを選び、なにを選ばないか、考えるための材料を提供したいと考えた。それになにも知らないでおびえてばかりいてもしょうがないでしょう。」

SFが好きな方の中には、テクノロジーの進歩による弊害をテーマとして扱った作品を好んでいる方も多いと思います。私もどちらかといえばその部類です。

しかし、そもそもテクノロジーとは私たちをワクワクさせてくれる存在であるとも思うのです。そのワクワクを創作するのがSFというジャンル。

その点では、「すこしふしぎ」のSFも、「サイエンスフィクション」のSFも同じことでしょう。

皆さんも、このハンドブックを片手にワクワクするようなSFを書いてみませんか?

まとめ

さて、SFを書いたらそれを誰かに見せる番です。

友人に見せたり、小説投稿サイトに投稿してみるのもいいですが、どうせなら賞に応募してみるのも手です。

さて、「人工知能が書いた小説が星新一賞の一次選考を通過していた」という年初のニュースを皆さんはご存じですか?

同小説賞は人間以外が書いた小説も応募しているというユニークな小説賞なのです。

その星新一賞が今年も原稿の応募をしています。募集要項には「理系的発想を十分に発揮して~」や「30年後の未来を想像して~」などの言葉が並んでおり、まさに未来のテクノロジーを想像して書いた小説を募集している賞です。

詳しくは 星新一賞のホームページ)をご覧ください。

基本的に一万字以内の短篇が規定となっているので、SF初心者の方も比較的手を出しやすい賞だと思います。

この賞以外にもSFを対象とした小説賞はありますが、まずはこの賞に応募することをモチベーションに執筆してみてはいかがでしょうか?