出版社系の小説投稿サイト「ツギクル」がいつの間にかリリースされている

小説投稿サイトの話題にはアンテナを張っているつもりだったのですが、7月26日に出版社系の小説投稿・登録サイトの「ツギクル」のβ版がリリースされていることに全く気付きませんでした。運営するのはツギクル株式会社。ソフトバンクグループの企業で、株主はライトノベル系レーベルGA文庫を持つSBクリエイティブです。

出版社系の小説投稿サイトのパイオニアといえば、ディスカヴァー21が運営する「novelabo」。その後、KADOKAWA(とはてな)が運営する「カクヨム」がリリースされて話題となりました。

出版社系の小説投稿サイトの何がいいかというと、投稿作品が評価されれば、そのまま母体となっている出版社での出版のチャンスがあるということ。novelaboでもカクヨムでも、出版を前提とした賞がすでに開催されています。投稿作品を掲載する方も、ある程度レーベルの傾向を把握して投稿することができるので、その辺りが非常に便利なのかなと思います。

そういう意味では、GA文庫という確固たるレーベルを持ったSBクリエイティブの関連会社ということで、GA文庫が好きな人にはメリットがあるのかもしれません。ただ、レーベルなどに特に興味がない人にしてみれば、カクヨムがあるのにわざわざこちらに投稿する意味があるのかという疑問が残ります。

ここで、「ツギクル」が他の出版社系の小説投稿サイトと違うのは、「登録」も取り扱っているということ。同じような仕組みを持つサイトに「アルファポリス」があり、それぞれのいいとこどりをしたようなサイトになっています。

「登録」という特徴を活かして、すでに大手小説投稿サイト「小説家になろう」と手を組み、「小説家になろう×ツギクルブックス小説大賞」の作品募集を開始しています。これは、「ツギクルブックス」という新しいレーベルの誕生を記念して行われるとのこと。GA文庫でデビューできないというのはデメリットになるような気がするのですが、出版への近道という意味では大変魅力的な賞になるでしょう。

ところで、PR TIMESでプレスリリースも出してますし、それに反応してかTech系のメディアも記事にしているのですが、それにしては広告の露出が少ないなと思います。小説を書く人ならば恐らく経験していると思うのですが、カクヨムのリリース前後はネットでガンガン広告を出していました。検索連動型広告も、ディスプレイ広告も、Twitter広告も、いたるところでカクヨムの宣伝を見た覚えがあります。もしもツギクル関連のネット広告を見たことがあるという方は、教えていただけますと幸いです。

さて、「ツギクル」はAIによる小説の解析を一つの目玉機能としています。「小説家になろう×ツギクルブックス小説大賞」に「AI特別賞」が設置されているのが印象的。ただ、テキスト解析についてはクランチマガジンがやっているようなので、目新しさはやや薄いかもしれません。ただ、利用者層が違うと思われるので差別化はうまくできているでしょう。

全体的に見て、「ツギクル」は既存の小説投稿サイトのいいとこどりをしているような印象を受けます。ただ、それはある一つの特徴に特化していないということでもあり、サイトのコンセプトが薄れてしまっている気もします。

「ツギクル」という名前も、「カクヨム」と同じようなネーミングセンスから来ているように感じてしまうのですが、僕だけでしょうか…。カタカナ4文字のWebサービスは、覚えやすさからかたくさんありますので、まあ「カクヨム」と似ていると断定するのも難しいのですが。

新たな小説プラットフォームとして、どのように機能していくのかというのを楽しみに見ていたいと思います。なんせ、まだβ版ですもんね。

記事を共有する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA