掌編小説の執筆を2ステップで実践!

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こんにちは。創作サークル綾月の泉鳴巳です。

さっそくですが、皆様は「掌編小説」を書いたことがありますか?

「掌編小説」の“掌”とは、たなごころ、手のひらのことです。
掌編小説とは、短編よりも更にコンパクトな、手のひらほどの超・短編小説のことを言います。字数にして数百字~多くても数千字程度でしょうか。

今回はそんな掌編小説の魅力と、私なりの書き方をご紹介したいと思います。

 

掌編小説の魅力!

掌編小説は字数にして数百字~数千字程度と申しましたが、皆様の中にはこんな風に思う方もいらっしゃるかもしれません。

「そんなに短いんじゃ、テキトーに書いても書けちゃうんじゃない? 内容も薄そうだし、価値も無いでしょ(鼻をほじりながら)」

……否です! そんなことはございません!

確かに海千山千の皆様なら、文字数だけ書くことは直ぐにできてしまうでしょう。
しかし、掌編小説は単に短いだけの小説ではないのです。

心にどっしりと残る長編小説が高級レストランのコース料理だとするなら、掌編小説は「早い! 安い! 旨い!」の定食屋のようなものです。
安くて美味しい定食屋って近くにあると嬉しいですよね。私も学生時代住んでいたアパートの近くにデカ盛りの定食屋があって……。

話が逸れました。

サッと読めて(早い!)、読みやすく(安い!)、思わず唸る(旨い!)

これこそが、掌編小説の魅力といえます!

掌編小説の書き方!

小さな枠の中に「早い! 安い! 旨い!」を詰め込むにはそれなりの技術が要求される為、掌編小説を書くことは物語造りの鍛錬にもなります!

ここからは、私なりの、掌編小説の書き方をご紹介したいと思います。

「詰め込みすぎない!」

掌編小説の最大の特徴は、何といってもその文字数の少なさです。
設定を詰め込みすぎるとあっという間に規定文字数に達してしまいます。

たとえば……

――闇より産まれし魔王イーヴルガノスを滅した伝説の勇者・アレクシルが没して幾星霜の刻が過ぎた。
魔法世界「ラルフヘイム」に暮らす十五歳の少年レオナルドは、幼い頃より冒険者に憧れていた。王都ウィルトリアを本拠地とした冒険者ギルド「ヴァルハラ=ガーディアンズ」の門戸を叩くべく、レオナルドは生まれ育ったアモスの村を旅立った。
幼い頃に父を亡くした彼は、小さな道具屋を営む母親に女手一つで育て上げられた。父親譲りのその髪は燃え盛る炎のように赤く、母より継いだ双眸もまた紅蓮の焔を宿すかの如き紅で……

上の例はちょっと大袈裟ですが、固有名詞を乱発したり人物描写や設定を詰め込みすぎたりすれば、いたずらに文字数だけが加算されていきます。規定文字数まで書いたところで読み返してみたら内容が全く無い……といった事態に陥りかねません。

舞台・人物設定は最小限に。これが掌編小説の一つのポイントです。

大筋に関係ないところを掘り下げない!

前項とも関連しますが、必要のない部分に文字数を割かないことも大事です。
いわゆる5W1Hはご存知かと思います。
「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」というやつですね。
わかりやすい文章を書く上での重要なポイントの一つですが、これらを必要に応じて取捨選択する技術が掌編小説では求められます。

たとえばさっきの例文、極限まで短くすれば「少年が旅立った」で済んでしまいます。二百字オーバーがたった七文字です。まあこれではさすがに短すぎますが、「冒険者に憧れる少年が、王都にある冒険者ギルドを目指し、生まれ育った村を旅立った」くらいでも先に続けることはできるでしょう。
本当に必要な部分を残し、それ以外は切り捨て、圧縮する試みが必要となるのです。

オチが特に重要!

殊に掌編小説では、作品の“オチ”が非常に重要視されます。
文字数の少なさゆえに描写力に目に見える差がづきづらく、またテーマやキーワードが設定された公募では、他の書き手との内容の被りも発生しやすいです。
そのような中で、差が一番現れるのがオチなのです。書き手の個性が一番出る部分といっても良いかもしれません。

基本となる文章力や構成力も勿論重要ですが、読者の予想を180度裏切る結末をズバッと決められたなら、多少の瑕疵は霞むくらい鮮烈な印象を残せることでしょう。
いかにラストを印象づけるか。これは掌編小説において大変重要なポイントです。

掌編小説を書いてみよう!(練習法)

ここまで読んでくれたあなたはきっと、“掌編小説を書いてみたい欲”が沸々と湧き上がってきたことでしょう。
それでは、私が掌編小説を書く際、実際に用いている方法をご紹介します。

1.冒頭とラストを決め、規定文字数の倍くらいになるよう書いてみる。

読んで字の如くなのですが、物語の出だしと終わりをまず考えます。
例文を使いまわすなら、

冒頭⇒少年が旅に出る場面
結末⇒「……という夢を見たんじゃ」「お爺ちゃん、心はまだまだ若いわね」

これでいきましょう。
ありがちな夢オチですが主体をお爺ちゃんにすることで個性を出します。
重ね重ね申し上げますがオチはとても大事ですので、思いついたオチを軸に冒頭を考えるのも良いと思います。

余談ですが、掌編小説には書きやすいジャンル・内容があると感じています。
たとえばSFやホラーといった“オチをつけやすい”ジャンルは親和性が高いと思います。(「ショートショートの神様」と呼ばれる星新一氏も、その作品の多くがSF小説です。)
逆に異世界ファンタジーや歴史モノはちょっと捻らないと難しいと思います。
実際はジャンルによる得意不得意もあるかと思いますので、一概にはいえないところです。
ちなみに私は異世界ファンタジーが大の苦手です。

2.無駄を削ぎ落とし内容を絞って文字数を規定に収める。

さて。頭とお尻を予め定めてしまうことで、延々と終わりが見えずに文字数だけが増えていく……ということがある程度避けられると思います。
その上で、これまで挙げたポイントは一旦無視し、敢えてオーバーさせるように書き上げてみましょう。規定文字数の倍くらい分量があるとグッドです。

敢えてオーバーさせた文章を、先に挙げたポイントに基づいてガリガリと削っていきましょう!
「この設定は要らないなー」「このエピソード、必要ないかも……」というところをどんどん削っていき、時には書き換えや追加も交えながら、規定文字数内になるよう納得のいくまで繰り返しましょう。
するとあら不思議! なんだか洗練されたような印象になります。それもそのはず、「掌編小説」として必要な部分だけを取捨選択した結果、無駄が削ぎ落とされ美しくまとまった作品となっているのです。

この2ステップで書く方法なら、はじめから規定文字数ピッタリに収められずとも掌編小説を仕上げることができるはずです。
掌編小説の練習をする場合、完成形で1,000~2,000字くらいの作品(ステップ1の時点で2,000~4,000字くらい)が取り組みやすいのではないかと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか?
私自身、今回書いたことは普段より意識しております。
しかし常にできているかというと、あやしいところも多々……。

「儂の書き方とぜんぜん違うのじゃ!」という方もご安心下さい。今回の記事はあくまで私なりの書き方ですので「これが絶対に正しい掌編小説の書き方だ!」というわけではございません。
また私の例文を見て「アタイならもっと上手く書けるわ!」と思った方はぜひやってみてください。
自分なりの、掌編小説の書き方を見つけるヒントとして今回の記事を活かして頂けたら嬉しいです。

掌編小説で身につけた技術は、きっと中編、長編にも活かせることと思います。
これを読んだ方が少しでも「掌編小説」に興味を持ってくれたら幸いです。

ABOUTこの記事をかいた人

創作サークル綾月

2015年7月に設立したこのサークルは、現在12名のクリエイターが所属しています。 『創作サークル綾月』では文筆やイラストを初めとしたさまざまな創作行為を通して表現活動をしております。 月に一度「綾月ラヂオ」というラジオ企画をツイキャスで配信しておりますので、宜しければぜひご視聴下さい。 モットーは「一人でできないことも、綾月でならできるかも」 どうぞよろしくお願いします。