収益還元する小説投稿サイトの現状

アルファポリスが2019年1月1日に「広告収入100%還元」宣言を行いました。同サイトに投稿された小説・漫画のページで発生した広告収益について、その100%を還元するというものです。

小説を投稿して収入を得るために自分でサイトを構築して広告を貼ることもできますが、大変な上に外部からの流入がなかなか無いので、現実的とはいえません。その点、アルファポリスの場合は、作品を用意して投稿するだけで良いというメリットがあります。また、投稿サイトとしてもそこそこの規模があるので、サイト内からの流入も期待できるでしょう。

アルファポリスと同じように広告収入を還元しているサイトは他にもいくつかあります。しかし、どのサイトもそれほど多くのお金を作者に還元できていないように思われます。

出版業会が斜陽産業と呼ばれて久しく、その中で作家が個人で収益化できる方法が多方面で模索されているという話を聞きます。その中で、広告収入を還元するタイプの投稿サイトはどのように発展していくのでしょうか。

小説投稿サイトのシステム

収益を還元する小説投稿サイトはそれほど一般的ではありません。たとえば、老舗サイトの小説家になろうは特に収益化のシステムを準備していない状況です。別にお金がもらえるわけでもないのにたくさんの人が投稿するのには、主に2つの理由があると考えられます。

1つ目の理由は、とにかく書いた小説を公開する場所がほしいから、というものです。

日本のいわゆる「小説」と呼ばれる文芸形態は文明開化とほぼ時を同じくして発展したと言えますが、当時の発表の場といえば主に同人誌でした。もちろんこれにはお金がかかるので、いざ作ろうと思ってもそれほど簡単にできるものではありません。

しかしインターネットが発達するのに応じて、テキストの流通量は爆発的に増えました。PCや携帯端末があれば、それほどコストをかけず、世界中に情報を発信できるようになったからです。

とはいえ、情報発信のためにサイトを作るのにはそれなりの知識が必要になります。小説をインターネット上で発信しようとする場合も例外ではありません

そこで登場したのが小説投稿サイト。ユーザーは、サイトに登録すれば簡単に小説を発表することができます。これまで小説を書いていたが他の人に読んでもらった経験のなかった人が、気軽に色々な人に作品を読んでもらえるようになりました。

そしてもう一つの理由は、プロデビューを目指したいからというものでしょう。

少し前までは、小説家としてデビューするためには賞を受賞するルートを経ることが一般的でした。ところが、昨今は小説投サイトで人気のある作品からデビューする事例も増えてきています。

また、賞金や書籍化などを副賞としたコンテストを開催する投稿サイトも少なくありません。

自分の作品を他の人に読んでもらうため、そしてあわよくばそこから小説家デビューにつなげるために、人々は小説投稿サイトを利用していると考えられます。

広告収益還元を行なっているサイト

ここまで紹介した小説投稿サイトたちは、投稿するだけではお金を得ることはできませんでした。デビューできればそこから収益に繋げることも可能ですが、それがなければずっと収益は0のままです。

そんな中、冒頭で紹介したアルファポリスのように広告収益を還元するようなサイトがいくつか出てきています。他にはどのようなサイトがあるでしょうか。

ノベルバは、小説のPV数に応じて作者に報酬を支払う仕組みを提供しています。アプリからの申請が必要となり、申請日の翌日から報酬(1PV/0.1円)が発生するとのこと。

ブログ運営などをしていると、よく1PVあたり0.1円を目指そうという話を聞きます。そしてこれは、僕の肌感覚としても間違っておらず、普通に記事を書いていればそのくらいの収益にはなります。しかしこの収益を得るためには自分で広告の設定を行い、ブログ側でも設定を行う必要があるので、イチからやってみようと思うとなかなか大変です。

その点、ノベルバは申請するだけで収益化の権利が得られるので、もし投稿するのであれば、とりあえず申請しておいて損はないでしょう。

ただしこのレートでは月に10万回閲覧されても1万円しか手に入りません。ブログであれば、お役立ち情報を提供することで定期的に検索流入を得ることができ、積み上げていけば月に10万PVを達成することができます。しかし小説は検索から入ってくることはほぼ考えられrないので、SNSや口コミのみで10万PVとなると、かなり難しいのではないかと思います。

読み物投稿サイトscraiv

そんな中で、新たに収益化プログラムを提供している投稿サイトがあります。それが、「文章版YouTube」を標榜する読み物投稿サイトscraivです。

このサービスを開発・運営しているせせりさんは、過去に様々なWebサービスを作っている個人開発者で、最近だとpeingなどを開発したことで有名です。

scraivは2019年1月現在、以下の上限で収益還元のパートナープログラムを提供しています。

・当月の想定報酬が2000ptを超えている
・オリジナルかつ未成年が閲覧しても問題の無い作品(〜R15)を投稿している
・概ね1000文字を超えている投稿のみ対象

まだ過渡期なので今後変更される可能性が大きいと思うのですが、今後どのようになるのか期待しているサイトの一つです。

なお、せせりさんのTwitterによると、12月の総支払額は6万円程度だったようです。

まとめ

収益還元を行なっている小説投稿サイトについて簡単にまとめてみました。

今のところ、収益還元を使ってまとまったお金を手に入れることは期待しない方が良いと思います。めちゃくちゃ読まれる小説が書けるなら狙っても良いのですが、そんな才能があればプロデビューして原稿料や印税を獲得できるかと思います。

しかし、今後読者の好みがよりニッチになっていき、紙の本がもっともっと売れなくなったときは、このような収益還元プログラムが作家のマネタイズの大きな柱になるかもしれません。

そんな未来も見据えて、今後も動向に注目していきたいと思います。