蓼食う本の虫について

文芸の中心には、いつだってテクストがあります。繰り返し諳んじる忘れられない一篇もあれば、覚えていないけれど確かに血肉となっていることばもある。文芸作品を読むというのは、そういったテクストと繰り返し対峙していく行為を指すのだと思います。ここに、まず第一の楽しみがある。

しかし文芸の楽しみ方はテクストだけにあるのではありません。あるテクストに出会うためには、必ず何かしらの「コンテクスト」があります。好きな作家の新作として出会うかもしれないし、新人賞を受賞した作品として出会うかもしれない。Twitterで誰かがおすすめしていた本を何気なく手に取ることもあるでしょう。

また、そうして出会い、テクストと対峙した後でその本について誰かに語ることもあるはずです。テクストについて語るとき、そこには様々なコンテクストが付随せざるを得ません。しかし、そのコンテクストの連なりが面白みとなって体現するからこそ生まれる楽しさもあります。また、そもそもテクストを読むときに、その作品の作者や受賞歴、インターネットでの評価など、様々なコンテクストを取り込んでしまっている場合もあるでしょう。でも、コンテクストについて語ることは、時にテクストについて語ることよりも面白いことだってある。

文芸のテクストとコンテクストを楽しめる人を増やす。文芸Webマガジン「蓼食う本の虫」にはそんな目標があります。ぜひ、新しい出会いをこのサイトで見つけてください。

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