芥川vs.谷崎論争は今も続いている──『文芸的な、余りに文芸的な/饒舌録』
今から90年以上前に、とある文学論争が起こりました。論争を繰り広げたのは芥川龍之介と谷崎潤一郎という、日本を代表する二人の作家で、この論争は通称「芥川vs.谷崎論争」と呼ばれています。 「芥川vs.谷崎論争」は大まかに言…
今から90年以上前に、とある文学論争が起こりました。論争を繰り広げたのは芥川龍之介と谷崎潤一郎という、日本を代表する二人の作家で、この論争は通称「芥川vs.谷崎論争」と呼ばれています。 「芥川vs.谷崎論争」は大まかに言…
瀬尾まいこさんは『卵の緒』で2001年に第7回坊ちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年デビューされました。2005年に『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞、2008年に坪田譲二文学賞、2019年には『そして、バトンは渡された』で第…
「食」がテーマの短編小説7作をご紹介します。 ただし、食は食でも食欲がなくなるような実に恐ろしい世界が描かれている「食」です。これらの作品、食事やお茶を飲みながらの読書としては決しておすすめ出来ません。 読むときは必ず体…
皆様、「安楽椅子探偵」という言葉を耳にした事はありますか? それはミステリー用語で、現場に赴き自ら能動的に情報を収集することはせず、まるで安楽椅子でくつろぐかのように、関係者の話や、新聞記事の情報だけを基に、事件の謎を推…
美味しいミステリ小説のメニューをお持ちしました。 「美味しい」×「謎」のバリエーションは様々ですが、どれもこれも極上の料理と極上の謎となっております。どうぞゆっくりご堪能ください。 近藤史恵『ときどき旅に出るカフェ』(双…
僕たちは、文字の精霊にこき使われる下僕だ! 本の帯に書かれたその一文を本屋で見かけた時、私は思わず足を止めていました。「僕たち」とは一体誰のことなんだろう? 「文字の精霊」とは何なんだろう? それに「こき使われる」とはど…
「購入」が書けなくなった私 皆さんは普段どのくらい手書きで文字を書いているだろうか? 私は書きものは、ほとんどPCで済ませている。 ある日、私の同人誌をお買い上げいただき、一筆箋を書こうと思ったところだった。 「ご購入あ…
「最近、誰の本が面白いだろうね?」 本好きが何人か集まってそんな話題になったときは間違いなく彼女の名前が出る。 斜線堂有紀、いま気になって仕方がない作家である。 『キネマ探偵カレイドミステリー』『死体埋め部の悔恨と青春』…
自分が大切にしていること。それは、他の人にしてみたら、とるにたらないものだったりする。いや、本人でさえ、そう思っているかもしれない。とるにたらないもの、なんだけれど、心のなかにずっとある、滑らかな情緒として、そこに流れて…
2020年12月18日に、第164回芥川賞候補作品が発表されました。 候補作品は、以下の5作。 宇佐見りん「推し、燃ゆ」(文藝秋季号) 尾崎世界観「母影」(新潮12月号) 木崎みつ子「コンジュジ」(すばる11月号) 砂川…
半年ほど前に、電子書籍用端末の Kindle Oasis を購入しました。 電子書籍はもともと Kindle を使って読んでいたので、専用端末があったらどんな風な読書体験が得られるんだろう……と気になっていたんですよね。…
「推理小説が上手く書けない」と悩んでいるあなた。はじめから「読者を騙せるような、巧妙なトリックを作ろう」と思っていませんか? 推理小説だからといって、他の分野の執筆と異なる意気込みや、守るべき執筆順序というものはありませ…
小説投稿サイト「ステキブンゲイ」が2020年4月から10月にかけて募集を行っていた「第一回ステキブンゲイ大賞」の一次選考通過作品が発表されました。 1,293作品の応募があり、一次選考通貨作品は574作品。通過作品は以下…
1月4日の新刊書籍の中から、気になる作品を紹介します。 新年最初の月曜日ということで、紙・電子書籍でたくさんの作品が刊行されるようです。 ラインナップ
Audibleで最近配信開始となった作品たちをまとめました。 Audibleは、Amazonの関連会社が提供するオーディオブックサービスです。散歩中や家事の最中など、手が離せないときに耳で読書ができる点が魅力。 サービス…
「私と飲んだ方が、楽しいかもよ?笑」LINEのたった16文字から少しずつ始まった恋は、報われることのないものだった。 彼女への想いに雁字搦めにされる主人公「僕」のまさに沼の様な5年間を描いた作品です。 「初恋」を覚えてい…
年々増え続ける本たち。圧迫される本棚。 溢れ出した書籍は床の上に平積みされ、部屋の景観を阻害していました。このままでは、本の海に溺れて死んでしまう……。それはそれで本望かもしれませんが、もう少し生き延びたいので、新しい本…
私が森瑤子さんの文章に出会ったのは大好きな小説の文庫の解説だった。 読者のみなさんは文庫で小説を読むとき、解説から読むだろうか。私は、たとえばミステリーであればそれだけで犯人やトリックが分かってしまう場合もあるし、その他…
*** 本当に好きなものについて語るというのは嬉しくもあるけど怖くもある。別に反論とか批判とかが怖いというのではなくて、自分がその対象をきちんと捉えているかとか、自分の考えがその対象を歪めていないかとか、そういう不安…
現在公開中の映画、『きみの瞳が問いかけている』には、ノベライズされたものがある。 今回は、その映画と小説との比較論を試みたいと思う。それをするにあたって、まず本作品のあらすじを記したい。小説は映画作品のノベライズ本で…
十二国記クイズに挑戦!
「本を読みたいけど時間がない」「読みたいんだけど、目が疲れてしんどい……」そんな、じれったい思いをしたことはありませんか? 私はよくあります。 実は、そんなお悩みをまるっと解決してくれるサービスがあるんです。それがAud…
10月14日は鉄道記念日。今回は日本文学の鉄道描写をとりあげる。なお、引用文はすべて現代仮名遣いにあらためた。 1.鉄道史と文学史 1872年10月14日、日本初の鉄道、新橋―横浜間の〈開業式〉が行われた。出発の汽笛…
推しが燃えた なんともわかりやすい書き出しだなと思った。 同時にこれ今しか伝わらないかもしれないな、とも思った。 10年、20年過ぎたら、すっかり違和感のある言葉になってしまうかもしれない。 なので、今、読んでほ…
歴史は語り継がれる。ありきたりな言葉である。そう、歴史は確かに語り継がれるし、私たちはその圧縮された過去の出来事を紙面から学ぶことがある。 いったい誰が、その出来事を「事実」だと言い切ることができるだろうか。誰が、も…
小説を書き上げたら、誰かに読んでもらいたいですよね。 そんな時、最も手軽に小説を読んでもらえる方法は、「小説投稿サイト」と呼ばれるサイトに作品を投稿することにもあります。 老舗サービスから新興サービスまで様々なものがある…
「日本の純文学はもう終わり」そういわれていた時代があったことをご存知でしょうか。それは昭和の終わり、批評の対象にマンガやアニメが入ってきた頃のことです。 批評家の柄谷行人氏は論文『近代文学の終り』で「日本の純文学小説は…
『52ヘルツのクジラたち』は、大分の海辺の町にやってきた「キナコ」という女性と、親から虐待を受けている少年「52」との交流を描いた物語である。著者の町田そのこ氏は、第十五回 女による女のためのR-18文学賞を「カメルーン…
「スクロールしない」「ページをめくらない」資料作り 創作のために調べたものをまとめたいとき、あなたはどうしていますか? デジタルでなんでも管理できるご時世なので、すべてデジタル化して綺麗にまとめているよ~という方もいる…
伊藤計劃クイズに挑戦!