noteとその子会社であるTales & Co.による物語投稿サイト「Tales」の執筆機能ベータ版が3月10日に公開されました。本オープンは4月を予定しているとのこと。
現段階では、読者からの反応を分析する機能、作品から収益を得られるパートナープログラムなどはまだ開放されておらず、そもそも作品の公開もまだできない状況です。しかし、投稿サイトの肝となる執筆画面は実際に触って使い心地を試すことができます。
先んじて公開された執筆画面を使ってみて、気になった箇所などについて触れていきたいと思います。
まずはアカウント作成
Talesの機能を使うためには、noteのアカウント作成が必要です。すでにnoteのアカウントを所持している場合は、そのアカウントを使ってTalesのアカウントを作成することも可能です。

noteのアカウントを持っていれば、それに紐付けてアカウントが作成されるだけなので、面倒な操作はありません。
早速エディタを使ってみる
それでは早速、エディタについて見ていきましょう。画面右上の「執筆」を押すと、作品管理画面が開きます。

当然、まだここに作品はありません。「新しい作品を作成」を押します。

作品情報を入力する画面が開きます。noteでは、先に文章を書いた後、公開する前にタグなどを設定するので、ここは逆の手順になっていますね。しかし、小説投稿サイトを普段から使っている人にとっては、お馴染みの設定方法・項目でしょう。

まず気になるのが「ジャンル」。Talesでは、11個のジャンルの中から一つを選ぶことになります。Web小説で人気のジャンルは一通り抑えられているほか、「仕事・家族」などでいわゆる文芸ジャンルに目配せをしている形でしょうか。「創作論・評論」がジャンルとして提供されているのもおもしろいポイントです。
このジャンルは、ランキング掲載に用いられるとのこと。noteのランキング機能については、今から7年前にCXOである深津さんが「PVランキングは収奪的な設計である」と述べていたので、Talesにおいてどのようなランキングが提供されるのか、あるいはランキング以外の作品との出会いの場が提供されるのか、といったところが気になります。
参考:ランキングの設計はどうあるべきか? | 深津 貴之 (fladdict)
「キャッチコピー」、「テーマカラー」といった機能はカクヨムなどでも実装されていますね。「セルフレイティング」や「コメント」の受付なども、他の投稿サイトでよく見かける設定項目です。
全体的に、シンプルで使いやすい画面だと感じました。
必須項目をすべて入力したら、画面右上の「執筆に進む」を押して次に進みましょう。
「章」と「エピソード」で作品を管理
Talesでは、「章」と「エピソード」を使って作品を管理していくようです。

「章」の作成は必須ではなく、「エピソード」を束ねる役割を果たしています。「章を作成」を押すことで、新規作成されます。章はタイトル以外の情報を持たず、非常にシンプルな作りです。
続いて「エピソード」を押すと、作品執筆用のエディタが開きます。こちらもかなりシンプルで、タイトルと本文のみが入力できます。

本文にはテストで15万字ほど入力できることを確認しましたが、僕が使っている環境だと10万字を超えたくらいから如実にブラウザの挙動が重くなり始めたので、1エピソードに長大なテキストを詰め込むのは現実的ではなさそうです。読者の便益を考えれば、そんなに長く書く方もいらっしゃらないとは思いますが……。
テキストを選択すると装飾パレットが開きます。また、画面右上を見ると、選択中の字数が表示されているのも気が利いていますね。

装飾は、太字・ルビ・傍点が利用できます。

画面右上の「公開に進む」を押すと、公開設定を変更できます。現在選択できるのは「今すぐ公開予約」のみですね。すぐに作品の公開を行うことができず、来るべき時が来たら公開されるようです。

以上で、エディタの紹介はおしまいです。
実際に触ってみた感想
Talesを実際に触ってみた感想ですが、まずシンプルにまとまっていて非常に良いと思いました。noteの画面を踏襲しながらも、作品情報などは既存の投稿サイトの文法に則っており、個人的には直感的に作業を完了できると感じました。
エディタも非常にシンプルで、本家のnoteに比べて設定できる項目が少ないですね。一方で、ルビ・傍点など小説でよく使われる装飾は利用でき、非常に気が利いていると思いました。
今後公開予定の機能について
Talesのメニューを見ると、今後公開予定の機能として「読者からの反応」「パートナープログラム」などが予定されているようです。

特に「読者からの反応」はどのようになるのか気になるところ。本家noteは、課金無い限り「ビュー」という謎指標でしか読者からのインプレッションを確認できないのですが、Talesではどのようになるでしょうか。
また、パートナープログラムも今後に期待が高まります。noteの強みといえば記事・マガジンの有料販売による収益化なので、それと同じようなシステムがTalesにも実装されるのでしょうか。あるいは、直近の投稿サイトの流れとしてはPVに応じた広告収益の分配もメジャーなので、そちらの方向性もあるかもしれません。
Talesの機能などについては、下記のQA記事に現状が記載されているので、詳細はそちらもご覧ください。
創作大賞の「エンタメ原作部門」先行エントリーを開始
今回で4回目となるnote主催の創作コンテスト「創作大賞」が、2025年4月下旬から作品募集を開始します。
今回はnoteとTalesの共同開催となり、Talesではすでに先行エントリー受付を開始。ただし、対象となるのは「エンタメ原作部門」のみです。
Talesの作品情報に「コンテストに参加」という項目があり、こちらの「応募する」を押すことでエントリーが完了します。

4月21日までにTalesから応募した作品が先行エントリーの対象になること。10の参加メディアによる先行審査が行われ、メディア化したい作品がある場合は随時声がかかります。詳しくは、以下の記事もご覧ください。
参考:物語投稿サイト Tales(テイルズ)の機能を一部公開!創作大賞のエンタメ原作部門の先行エントリーを開始します。
まとめ
Talesの発表をはじめに聞いたときは、正直なところ「別にnote内で全て完結させれば良いのでは……?」と思っていたのですが、Talesは小説執筆向けにかなりカスタマイズされており、なるほどこれなら分離する意味があるなと頷けました。
創作大賞の参加メディアも豪華で、Talesへの投稿がきっかけでデビューを果たす書き手の方も今後増えるのではないかと期待できます。すでに多くの投稿サイトがある中でも、今後のサイトの成長がとても楽しみです。