2025年5月7日に、株式会社東京ドームから「コトアム」というサービスがリリースされました。「ことばを編むSNSアプリ」と銘打っており、同アプリには短文投稿機能や、投稿されたアプリを「プレイリスト」として編集できる機能が備わっています。
株式会社東京ドームとは、あの読売巨人軍の本拠地たる東京ドームを運営している会社です。そんな企業が、なぜこのようなアプリを……? と思ったら、東京ドームグループの社内新規事業提案制度「mokuMOKU」というものがあるようですね。
東京ドームグループの社内新規事業提案制度から初の事業化 ことばを投稿・編んで楽しむ新感覚SNSアプリ『コトアム』リリース
この「コトアム」は、前身となる「ブンサイ!」というサービスの好評を受けてリリースされたもの。「ブンサイ!」は投稿された作品をLINEでランダムに通知するサービスで、3週間足らずで7,000作品もの投稿があったとのこと。
「現代短歌ブーム」ということばを聞くようになって久しく、木下龍也『あなたのための短歌集』は2024年6月時点で累計発行部数5万1000部、岡本真帆『水上バス浅草行き』は2023年11月時点で累計発行部数2万部と、短詩系の単行本としては好調な売れ行きを記録しています。
また、短歌アプリ「57577」は2025年6月10日時点で毎月3万首以上の短歌が投稿されており、短文の文芸シーンのが盛り上がっていることを確認できます。
そんな中でリリースされた「コトアム」には、一体どのような機能が備わっているのでしょうか。実際に触ってみました。
コトアムの利用はスマートフォン向けアプリから
コトアムは、App Store もしくは Google Play で提供されているアプリから投稿・閲覧することができます。
今回は、iOS版アプリを使っていきます。
アプリを開くと、ホーム画面には「公式レコメンド・キャンペーン」「人気作品TOP50」「人気投稿者TOP50」などの項目が並んでいます。ここから、自身の興味のある投稿者や作品を見つけていくと良いでしょう。

「新着」タブに移ると、まずはパブリックなタイムラインが開きます。

また、「フォロー中」のタブに移動することで、自身がフォローしている投稿者の作品が表示されます。
「プレイリスト」を作ろう
コトアムの特徴的な点のひとつとして、「プレイリスト」を作成する機能が備わっていることが挙げられます。
プレイリストといえば、最近はSpotifyなどのストリーミング音楽アプリで、自身が好きな曲をテーマに沿ってまとめたものを想起する方が多いでしょう。コトアムでは、それと同じような感覚で「ことばのプレイリスト」を作ることができます。
プレイリストへの追加は簡単です。まず、作品の右下に表示されている「+」ボタンをクリックします。

すると、「プレイリストに追加」画面が開きます。デフォルトでは「お気に入り」プレイリストが準備されており、こちらにチェックを入れて「完了」をタップすることで、お気に入りに作品が追加されます。

また、画面上の「新規プレイリストを作成」をタップすることで、新しいプレイリストを作ることもできます。

新規プレイリストを作る時は、プレイリスト用の画像を入れたり(CDのジャケットみたい!)することもできます。プレイリスト名を入力して、公開の有無を選び、「作成する」をタップしましょう。

プレイリストの閲覧・管理をしよう
作成したプレイリストは、「マイページ」→「マイプレイリスト」から確認できます。
プレイリストの編集や削除はこちらの画面から行うことが可能。また、プレイリストの中身も確認できます。
プレイリストは、「カードビュー」「リストビュー」の2種類の形で見れます。


作品を投稿しよう
コトアムは、作品を見たりプレイリストを作ったりするだけではなく、自身の作品を投稿することもできます。

コトアムへ投稿する作品は、2025年6月現在で以下のカテゴリから選択が可能です。
- 短歌
- 俳句
- 自由律俳句
- 川柳
- 詩(一部)
- 詩(完結)
- 小説(一節)
- 小説(完結)
- エッセイ(一節)
- エッセイ(完結)
- 日記
- おすすめ本(読書記録)
- 人文
- ことば(その他)
作品のフォントは、明朝体・ゴシック体から選択が可能。タイトルは25字以内で付けられます。
作品は最大10行で、1行は30文字まで入力が可能です。つまり、コトアムでは300字までの作品が投稿できるということになります。
作品は縦書きで表示されます。入力画面の下にプレビューが表示されているので、こちらで仕上がりを確認しましょう。

最後に「投稿する」をタップすれば、作品の投稿は完了です。書いている途中の作品は、「下書きを保存」から保存することもできます。
充実のコトアムアンバサダー・協力企業
コトアムはアプリの機能的な面だけではなく、ソフト面でもおもしろい企画を展開しています。
その核となるのが「コトアムアンバサダー」制度。第一期のアンバサダーとしては、歌人の岡野大嗣さん、元日向坂46で小説家・タレントの宮田愛萌さんなどが名を連ねています。


また、リリース初期からさまざまな企業・媒体が協力していることも特徴です。左右社、書肆侃侃房、短歌研究社、百万年書房、『スピン/spin』、『GOAT』と、短詩系や文芸に強い出版社や媒体の名が見えます。
母体が株式会社東京ドームという大きな企業ということもあってか、このあたりの巻き込み力には今後も期待したいところです。