文学やその周辺領域にまつわる研究・調査・評論に関する記事をまとめています。

太宰治とキリスト教
イントロダクション‐太宰治とキリスト教 太宰治の作品を読むとき、そこにはかならずと言っていいほど、聖書あるいはキリスト教の影響が見られます。聖書・キリスト教に関連する作品をおおまかに区分するならば、主に3つに分けられるで…
文学やその周辺領域にまつわる研究・調査・評論に関する記事をまとめています。
イントロダクション‐太宰治とキリスト教 太宰治の作品を読むとき、そこにはかならずと言っていいほど、聖書あるいはキリスト教の影響が見られます。聖書・キリスト教に関連する作品をおおまかに区分するならば、主に3つに分けられるで…
はじめに はじめまして、こんにちは。寝ても覚めても日本近代文学に夢をみる文筆家、西 一六八(にし いろは)と申します。 私が住んでいるところは、山にかこまれた関西の田舎です。夏が近づいてくると、水かがみの田んぼに稲が植え…
太宰治が描く登場人物たちは、とにかくよく飲む。失敗しても、美味しいと感じなくても、ただただ飲んでいます。 太宰権帥大伴の何とかって云ふ人が、酒の歌を詠つてゐたので、酒が好きだから、これがいゝつていふわけで、太宰。 関千恵…
前編はこちらから→物語を消費せよーー「動物の時代」の文学論(前編) 前回の記事では、日本の文芸界隈が直面している危機について考えて、それを打開するための示唆を与えてくれる大塚英志・東浩紀両氏の著作の紹介をいたしました。引…
文学はオワコンか? 「文学はオワコンか?」 昨今の文芸界隈を見ていると、このような疑念を抱くようになりました。 「オワコン」とは「終わったコンテンツ」の略称で、ブームが過ぎ去った時代遅れの商品やサービスなどを指します。 …
前編・後編では、金沢市内の文学館をご紹介させていただきました。番外編では、金沢を舞台とした作品の中から、そのほんのごく一部をご紹介したいと思います。ここで取り上げた作品以外にも、金沢ゆかりの作品はたくさんあるので、ぜひ探…
前編では金沢三文豪こと室生犀星・泉鏡花・徳田秋聲の文学館を中心にご紹介しました文学旅行記・金沢編。後編では、金沢三文豪以外の文学施設をご紹介いたします! ▼前編はこちら 書を携えよ、旅へ出よ 文学旅行記・金沢編(前編) …
日本全国にはさまざまな文学館、記念館があります。作家を生み出した風土や文化を身をもって感じたり、文学者ゆかりのエピソードを知れたりと、一味違った旅行ができるのが文学旅行の楽しみです。また、その土地出身の作家だけでなく、そ…
*** 本当に好きなものについて語るというのは嬉しくもあるけど怖くもある。別に反論とか批判とかが怖いというのではなくて、自分がその対象をきちんと捉えているかとか、自分の考えがその対象を歪めていないかとか、そういう不安…
10月14日は鉄道記念日。今回は日本文学の鉄道描写をとりあげる。なお、引用文はすべて現代仮名遣いにあらためた。 1.鉄道史と文学史 1872年10月14日、日本初の鉄道、新橋―横浜間の〈開業式〉が行われた。出発の汽笛…
「女流文学」その周辺 〈女流文学〉という言葉がある。しかし〈男流文学〉という言葉はない。それは文壇が男性作家に専従されてきた事実を示す。らいてうの機関誌『青踏』はあれど、女性文学誌は長谷川時雨創刊の『女人芸術』(1928…
【梗概】 五月の半ば、新緑のまぶしい頃、日本海海戦の音が聞こえてくる。妹の看病のことで半狂気の有様であった姉には、それが地獄で打ち鳴らす太鼓の音に聞こえた。草むらで泣き続け、日が暮れかけたころに帰宅すると、妹が呼ぶ声が…
戦後文学の多様なアプローチ 原爆投下による敗戦後、GHQの管理下で「民主主義」が多くの矛盾を孕みながら推しすすめられていくなか、バラエティに富んだ書き手と文学作品が次々に生みだされていった。作家たちは検閲と闘いながら戦後…
2019年は吉屋信子さんについての論文(『吉屋信子研究』竹田志保著 翰林書房 2018)を読んだり、『屋根裏の二処女』の読書会に参加したり、私にとって吉屋信子さんの本に縁がある1年だった。 吉屋信子さんは大正・昭和に活躍…
舞台を原作とするメディアミックス作品「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」(以下、レヴュースタァライト)をご存じでしょうか。 2018年夏にはアニメも放送され、それをきっかけに存在を知った人も少なくないと思います。 様々な…
ライトノベルの定義については、これまでさまざまな意見が取り交わされてきた。しかし、ライトノベルの定義が何であるのかにたいする決定的な解答と呼べるものは、いまのところ見当たらない。ライトノベルの定義の候補はいろいろと提出さ…
突然ですが私は歌が好きです。音楽が好きです。だからって合唱部に所属したこともなければ吹奏楽部に所属したこともない、部活は体育会系一筋で育ってきたいうなればゴリラプロパーが私な訳ですが、そんなゴリラな私ですら夜な夜なシャワ…
『「文芸誌連載小説のスマホ無料公開」から考える純文学の「流通」について』の前編・後編を御読み頂きました皆様、まことに有り難うございました。特に前編は結構広く読んで頂けたらしくて感謝の極みでございます。 原稿を編集様に送信…
※前編はこちら→「文芸誌連載小説のスマホ無料公開」から考える純文学の「流通」について【前編】 さて、これからの文章を読むにあたっては、改めて前編でも紹介した以下の記事を読んで頂きたいと思う。 …
2017年9月7日のこと。 僕のタイムラインに興味深いニュースが流れてきた。 新潮新人賞・三島由紀夫賞作家の上田岳弘の新作『キュー』が、文芸雑誌『新潮』と同時連載でYahoo! JAPANのスマートフォン版でも無料公開さ…
小説を読んでいると、他の文学作品に対する言及があることがよくあります。 そんな作品しらないよ!って思ったり、この小説なら読んだことがある、なるほどーと思ったりした経験のある方は多いのではないでしょうか。 文学作品はその中…
1.肉体の延長 道具は肉体の延長である、という考え方がある。 箸は指の延長、自転車は脚の延長、衣服は肌の延長、といった具合に。 肉体の延長としての道具……少しだけ解釈を変えてみれば、肉体を何らかの方向へと延長させる道具。…