第46回川端康成文学賞に上田岳弘「旅のない」

第46回川端康成文学賞が発表され、上田岳弘「旅のない」が受賞作となりました。同作は、文芸誌『群像』2021年5月号に掲載されたもの。

あらすじ
IT企業に勤める傍ら小説も書いている「僕」は、九州での出張を終え、現地販売店の社員の車で送られている。途中、村上というその男が学生時代に撮った「旅のない」という未完の映画の話になる。常に何かから逃げている男が、名前も職業も変えながら各地を転々とする話だという。そして、「私には旅がない」と話す村上の素性も、次第にわからなくなっていく。

受賞者の上田岳弘氏は1979年兵庫県生まれ。2013年に「太陽」で新潮新人賞を受賞してデビューした後、15年に「私の恋人」で三島由紀夫賞を、19年に「ニムロッド」で芥川龍之介賞を受賞しています。

川端康成賞は、川端康成の没後に、ノーベル文学賞の賞金を基金にして生まれた短編小説が対象の文学賞。2019年に一時休止しましたが、川端康成没後50年を控えた昨年に復活を果たしました。その年度の最も完成度の高い作品を授賞対象としています。第46回の選考委員は、荒川洋治氏、角田光代氏、辻原登氏、堀江敏幸氏、村田喜代子氏の5名でした。