文芸好きのための読書ノートの書きかた
「購入」が書けなくなった私 皆さんは普段どのくらい手書きで文字を書いているだろうか? 私は書きものは、ほとんどPCで済ませている。 ある日、私の同人誌をお買い上げいただき、一筆箋を書こうと思ったところだった。 「ご購入あ…
「購入」が書けなくなった私 皆さんは普段どのくらい手書きで文字を書いているだろうか? 私は書きものは、ほとんどPCで済ませている。 ある日、私の同人誌をお買い上げいただき、一筆箋を書こうと思ったところだった。 「ご購入あ…
「最近、誰の本が面白いだろうね?」 本好きが何人か集まってそんな話題になったときは間違いなく彼女の名前が出る。 斜線堂有紀、いま気になって仕方がない作家である。 『キネマ探偵カレイドミステリー』『死体埋め部の悔恨と青春』…
自分が大切にしていること。それは、他の人にしてみたら、とるにたらないものだったりする。いや、本人でさえ、そう思っているかもしれない。とるにたらないもの、なんだけれど、心のなかにずっとある、滑らかな情緒として、そこに流れて…
2020年12月18日に、第164回芥川賞候補作品が発表されました。 候補作品は、以下の5作。 宇佐見りん「推し、燃ゆ」(文藝秋季号) 尾崎世界観「母影」(新潮12月号) 木崎みつ子「コンジュジ」(すばる11月号) 砂川…
半年ほど前に、電子書籍用端末の Kindle Oasis を購入しました。 電子書籍はもともと Kindle を使って読んでいたので、専用端末があったらどんな風な読書体験が得られるんだろう……と気になっていたんですよね。…
1月4日の新刊書籍の中から、気になる作品を紹介します。 新年最初の月曜日ということで、紙・電子書籍でたくさんの作品が刊行されるようです。 ラインナップ
Audibleで最近配信開始となった作品たちをまとめました。 Audibleは、Amazonの関連会社が提供するオーディオブックサービスです。散歩中や家事の最中など、手が離せないときに耳で読書ができる点が魅力。 サービス…
「私と飲んだ方が、楽しいかもよ?笑」LINEのたった16文字から少しずつ始まった恋は、報われることのないものだった。 彼女への想いに雁字搦めにされる主人公「僕」のまさに沼の様な5年間を描いた作品です。 「初恋」を覚えてい…
年々増え続ける本たち。圧迫される本棚。 溢れ出した書籍は床の上に平積みされ、部屋の景観を阻害していました。このままでは、本の海に溺れて死んでしまう……。それはそれで本望かもしれませんが、もう少し生き延びたいので、新しい本…
私が森瑤子さんの文章に出会ったのは大好きな小説の文庫の解説だった。 読者のみなさんは文庫で小説を読むとき、解説から読むだろうか。私は、たとえばミステリーであればそれだけで犯人やトリックが分かってしまう場合もあるし、その他…
現在公開中の映画、『きみの瞳が問いかけている』には、ノベライズされたものがある。 今回は、その映画と小説との比較論を試みたいと思う。それをするにあたって、まず本作品のあらすじを記したい。小説は映画作品のノベライズ本で…
「本を読みたいけど時間がない」「読みたいんだけど、目が疲れてしんどい……」そんな、じれったい思いをしたことはありませんか? 私はよくあります。 実は、そんなお悩みをまるっと解決してくれるサービスがあるんです。それがAud…
推しが燃えた なんともわかりやすい書き出しだなと思った。 同時にこれ今しか伝わらないかもしれないな、とも思った。 10年、20年過ぎたら、すっかり違和感のある言葉になってしまうかもしれない。 なので、今、読んでほ…
歴史は語り継がれる。ありきたりな言葉である。そう、歴史は確かに語り継がれるし、私たちはその圧縮された過去の出来事を紙面から学ぶことがある。 いったい誰が、その出来事を「事実」だと言い切ることができるだろうか。誰が、も…
「日本の純文学はもう終わり」そういわれていた時代があったことをご存知でしょうか。それは昭和の終わり、批評の対象にマンガやアニメが入ってきた頃のことです。 批評家の柄谷行人氏は論文『近代文学の終り』で「日本の純文学小説は…
『52ヘルツのクジラたち』は、大分の海辺の町にやってきた「キナコ」という女性と、親から虐待を受けている少年「52」との交流を描いた物語である。著者の町田そのこ氏は、第十五回 女による女のためのR-18文学賞を「カメルーン…
概要 孤島の館で起こる連続殺人事件。 本作を一言で表すなら、そういうことになる。 いわゆるクローズドサークル。ミステリの世界では王道中の王道シチュエーションだ。 しかし本作では、ここに「天使」という異次元の存在を加え、物…
性食を、考える。 食べる/交わる/殺す これらの言葉を目にしただけで、体の内がゾクゾクとしてきた方はいらっしゃいますか? 吐き気を催すような、嫌悪感を抱きますか? それとも、これこそが私の求めていたものだと、感動で心…
世間の中高生の勉強にそっと寄り添ってくれる電子辞書。 私の傍らにも、2009年の発売からずっと共にいる電子辞書があります。それはCASIO EX-word!気が付けばもう10年を超える付き合いになっていました。そんな…
はじめに 筑摩書房から出版されている「ちくま日本文学」というシリーズをご存じでしょうか。 「ちくま日本文学」全40巻 明治から昭和にかけて活躍した日本の作家たちの作品が、各作家1巻ものの文庫版選集という形で刊行されて…
「女流文学」その周辺 〈女流文学〉という言葉がある。しかし〈男流文学〉という言葉はない。それは文壇が男性作家に専従されてきた事実を示す。らいてうの機関誌『青踏』はあれど、女性文学誌は長谷川時雨創刊の『女人芸術』(1928…
「ラディカル」 ➀根本的 ②過激なさま。急進的。「―な意見」 『広辞苑』より BL好きのみなさん、こんにちは。普段は百合小説を書いていますが、BLも大好きなラディカル・ヤオイストの柳ヶ瀬舞です。 ヤオイストとはなんだろう…
最近、健康のために散歩を始めました。というのも、僕は出生体重4000g超でこの世に生を受けてから一瞬たりとも痩せていたことがなく、就職してデスクワークが中心になってから体重はさらなる増加の一途を辿り、26歳にして体重は1…
『本の雑誌』2020年9月号を購入しました。 以前から書店などで目にしたことがある雑誌だったのですが、実はこれまで購入したことがありませんでした。ところが今回の特集は「つぶやく出版社!」。本とTwitterを愛する者とし…
『四畳半神話大系』をご存じだろうか。森見登美彦氏の代表作とも呼べる青春SF譚であり、その面白さは無類である。 今から10年前、僕は高校生のときにはじめて『四畳半神話大系』を読み、自堕落な大学生が摩訶不思議な現象と共に空虚…
私は「ミステリー」というジャンルをほとんど読まない。 昭和の奇書と呼ばれる『虚無への供物』や『ドグラ・マグラ』は大好きだし、ミステリーの名を借りた奥泉光さんの『鳥類学者のファンタジア』や『神器ー軍艦「橿原」殺人事件』の純…
小説を読んで背筋が凍り、鳥肌が立った経験はあるだろうか。ページを繰って、そこに描かれた情景を想像しながらふと腕元を見やると、細かい点状の突起がびっしり皮膚一面を覆っている。まるで体毛をむしり取られた鳥のようで、おもわずギ…
昨今、文豪を題材とした漫画やアニメが、メディアを賑わせています。これまで馴染みがなかった作家の本を、漫画やアニメ、あるいはゲームなどをきっかけに手に取る人も、きっと増えている事でしょう。また、一部の有名な文豪(漱石、芥川…
ほんとうのことというものは、ほんとうすぎるから、私はきらいだ。 (坂口安吾『恋愛論』) 『恋愛論』は作家・坂口安吾のエッセイ。 この作品は恋愛をタイトルを掲げているのに、著者は冒頭から「(恋愛というものを)私はよく知らな…
2020年4月より、石川啄木を主人公とする『啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)』というアニメが放送されています。時は明治時代——歌人の石川啄木が金田一京助(啄木と同郷の先輩で、言語学者)とバディを組み、謎に挑むという…