本屋大賞受賞作品おすすめ5選

本屋大賞とは、書店員の投票だけで選ばれる賞で、過去一年の間、書店員自身が自分で読んで「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」と思った本を選び、投票するものです(本屋大賞公式HPより)。

今回は、本屋大賞の受賞作の中からおすすめ作品を5作選びました。

町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』(2021年大賞)

52ヘルツのクジラ。世界で一番孤独だと言われているクジラ。その声は広大な海で確かに響いているのに、受け止める仲間はどこにもいない。誰にも届かない歌声をあげ続けているクジラは存在こそ発見されているけれど、実際の姿はいまも確認されていないという。

(本文より)

2024年に映画化される作品。

大分県の小さな海辺町に引っ越してきた女性・貴瑚(きこ)は、家族に虐げられていた過去をもつ。また、ある出来事によって、心に傷を負っていた。ある日、家族から「ムシ」と呼ばれ、虐待されている少年と出会い……。

自分や他者の心の声に向き合いたい人におすすめ。孤独や寂しさに向き合いたいと思える作品です。誰かを頼ったり頼られたり、健全な人間関係の大切さを感じます。

瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』(2019年大賞)

私には父親が三人、母親が二人いる。家族の形態は、十七年間で七回も変わった。

(本文より)

2021年に映画化された作品です。

森宮優子は17歳の高校生。様々な事情で家族のカタチが変わりながらも、5人の親たちからたくさんの愛情を受け、たくましく成長していって……。

その時々で大変なことがありながらも、主人公の優子が一生懸命に生活していく姿に胸を打たれます。また、親たちのそれぞれの愛情と優子との関係に、血の繋がりがあってもなくても、家族のことを思う気持ちが大切だと感じられます。人との繋がりや絆について考えるきっかけになるかもしれません。優しくてあたたかな物語です。

三浦しをん『舟を編む』(2012年大賞)

2013年に映画化、2016年にはアニメ化されている作品。

大手総合出版社の玄武書房辞書編集部では、新しい辞書企画が立ち上がり、大学院を出て入社3年目の風変わりな社員・馬締光也(まじめみつや)が抜擢されることに。どこかずれている馬締ですが、個性豊かな編集部の仲間たちや下宿先の大家・タケおばあさんと、その孫・林香具矢(はやしかぐや)とともに日々を過ごしながら、辞書作りに邁進していって……。

普段見ることのできない、辞書作りの裏側。真面目にコツコツ、気の遠くなるような長い時間をかけて手元に届くのだと知ることができます。不器用な馬締が、辞書作りを通して少しずつ成長していく姿も必見です。情熱をもって仕事をしている物語を読みたい方、辞書や言葉についてもっと深めたい方におすすめ。読後、各出版社の辞書を開きたくなるかもしれません。

東川篤哉『謎解きはディナーの後で』(2011年大賞)

2011年にドラマ化された作品。

国立署に勤める女性刑事・宝生麗子は、様々な事業を手掛ける『宝生グループ』の総帥の娘。つまりは、正真正銘のお嬢様。「本当はプロ野球選手かプロの探偵になりたかった」と語る謎の執事・影山はお嬢様に毒づきながらも抜群の推理力を発揮し、2人は日々巻き起こる事件を紐解いていって……。
トリックにあっと驚いたり、お嬢様と執事のテンポの良い会話にクスっと笑ったりと魅力が盛りだくさん。また、お嬢様×執事という独特の世界観を楽しむことができます。ミステリ好きな方はもちろん、普段あまりミステリを読まない方にもおすすめの1冊です。

佐藤多佳子『一瞬の風になれ』(2007年大賞)

第28回吉川英治文学新人賞受賞作。

天才的なサッカーセンスを持つ高校生の兄・健一と同じチームでサッカーすることを夢見ていた中学生の新二。しかし、夢は叶わず、近所の高校に進学することに。サッカー部には入部せずに、幼馴染の天才スプリンター・連とともに陸上部へ入部。持ち前の身体能力を活かし、仲間たちとともに成長していって……。

目の前のことに悩んだり葛藤したりしながらも、自分の可能性を信じて1つ1つ乗り越えて成長していく、等身大の新二の姿に勇気をもらいます。読み進めるうちにきっと応援したくなるはず。新二の所属する春野台高校のメンバーをはじめ、他校の陸上部員や顧問の先生も個性的で、注目してもらいたいところ。陸上に詳しくなくても楽しめます。爽やかな青春小説を読みたい人にお勧めです。

まとめ

いかがでしたか?

バラエティ豊かな受賞作品たちをぜひお楽しみください。

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