上橋菜穂子氏が長編『香君(こうくん)』を3月24日に文藝春秋より刊行します。新たな物語の刊行は7年ぶり。また、長編作品としても『鹿の王 水底の橋』から3年ぶりとなります。
上下巻の装丁も公開。装画は、草花のモチーフを数多く手がけ、カラフルな色彩と美しさが特徴のmia氏が担当。上巻は主人公アイシャが感じている、植物と虫のコミュニケーションをモチーフに、美しく咲き誇る花々と戯れる蝶やテントウムシを描くことで、昼間のイメージに。下巻では、物語で重要な役割を果たす「オアレ稲」と鳥たちを夕映えの雄大な山を背景に描き、人々が享受する大地の豊かさと、物語の壮大さをイメージしているとのこと。
『香君』あらすじ
遥か昔、〈神郷〉から降臨した初代〈香君〉が携えてきたとされる奇跡の稲〈オアレ稲〉の力によって、多くの国を従え、繁栄を誇って来たウマール帝国。
その属国〈西カンタル藩王国〉の藩王の孫、16歳の少女アイシャは人並外れた嗅覚を持ち、植物や昆虫たちが香りで行っているコミュニケーションを〈香りの声〉のように感じながら生きていた。
祖父の失脚の後、彼女の運命は大きく変転していき、やがて、ウマール帝国を庇護する美しい活神である当代〈香君〉の元で働くことになる。
神授の稲〈オアレ稲〉によって人々は豊かな暮らしを謳歌していたが、実はこの稲には恐ろしい性質があった。
害虫はつかぬはずのオアレ稲に、あるとき不思議な虫害が発生し、この稲に過度に依存していた帝国は、凄まじい食糧危機に見舞われる。
アイシャは当代〈香君〉と共にオアレ稲の謎に挑み、人々を救おうとするのだが――。
「香り」と植物や昆虫の生態をテーマに描く壮大なファンタジーの誕生!
上橋菜穂子氏は1962年東京生まれ。1989年に『精霊の木』で作家デビューし、『獣の奏者』シリーズや『鹿の王』シリーズなどのファタンジー小説で知られています。