三浦しをん氏による『好きになってしまいました。』(大和書房)が2月18日(土)に発売されます。3年半ぶりのエッセイ集で、本の話、旅の話、食の話や子供の頃の思い出話などが収録されています。
「残念すぎるお知らせだよ」と友人はため息をついた。「私たちはどう努力しても、絶対にオシャレな部屋には住めない運命ってこと?」
「つらいけど、そういうことになるね。だって、漫画や洋服がドワーッとある部屋を見ると、どんな気持ちになる?」
「『すごいなあ!』って、うきうきわくわくして、幸せを感じる」
「でしょ? それが私たちにお似合いの部屋ということだよ」
「しをんちゃん。今後も収納が多い倉庫みたいな部屋を探すから、手を貸して。収納たっぷりでさえあれば、ネズミと酸っぱいパンを分けあうような薄暗い部屋でもかまわない」
「ラジャ!」
──本文より
三浦しをん(みうら・しをん)氏は、2000年に長編小説『格闘する者に〇(まる)』でデビュー。2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞、2012年『舟を編む』で本屋大賞を受賞。エッセイに『ビロウな話で恐縮です日記』『お友だちからお願いします』『マナーはいらない 小説の書きかた講座』などがあります。