ネネネの短歌条例第十一回「ずっとやさしい」

天井の低い世界に寝転んで隣の人の匂いを嗅いだ。
ずたずたに傷つきたくてここにきた。いまさら言い訳なんてしないよ。

それなのに、底の底まで落ちたのに、必死に光を探してしまう。
(うしなった視力は濁ったままなのに。どうせ涙も流せないのに。)

何もかも手放してしまえるほどにあきらめられたら違ったのかな。

まぶたより薄くて柔らかい場所をちぎって破いて叫んだことも
後先を考えないまま駆け出してしまった理由もわからないんだ。

本当はわたしがわたしを殺すのをずっとどこかで待ち望んでた。

大丈夫。大丈夫じゃないときだってちゃんと笑ってこれたんだから。
去年より弱くなっても殴ってね。ずるい人ってやさしいんだよ。

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短歌をつくって絵を描くライター。
最近川の近くで一人暮らしを始めました。食べられるチーズと食べられないチーズがあります。特技はおいしいコーヒーのお店を見つけること。