欠点を愛してほしいと泣く人の涙をきれいと思えなかった。
ぼくたちは適度な他人だったのに、どうしてあのとき手を伸ばしたの。
慰めの言葉もやさしい眼差しも、持ってるふりをしていただけで
本当は大事なことがわからない。かなしい嘘をついてしまった。
朝焼けを並んで見た日、アクセルをぐんとふかして飛び込んだとき、
意味なんてないのに名前を呼んだ夜、みじめな罪を分け合った海。
設定の上書き保存はしないって決めたことさえ保存できずに
どこまでが偽物なのか確かめた。ぼくもあなたも平等だった?
正常に壊れる音を聞きながら、それでもやっぱり気づけなかった。
くちびるが乾く。しずかな耳鳴りがやめばいつもの静寂がある。
虹色にひかる道路の水たまり、きれいと思う。ぼくは、どうして。