皆さんは、文章を書くときにキーボードをいくつ使っていますか?
1台ですよね。そうですよね。しかし世の中には、2台のキーボードを同時に使って文章を書いている人たちもいるのです。
2台のキーボードを使うことを俗に「デュアルキーボード」と呼びます。そのまんまですね。キーボードを2台も使うと机の上が狭くなってしまうのですが、それを補ってあまりあるメリットに惹かれて、僕も普段からデュアルキーボード体制で執筆活動を行なっています。
なぜキーボードを2台使うのか?
そもそも、どうしてキーボードを2台使う必要があるのか。
普段使うキーボードといえば、こういう見た目の物が多いかと思います。
ここにファンクションキーがついたりテンキーがついたり……と多少の変化はあありますが、キーボードは概ね、このように平たく1枚につながっているものですよね。
しかし世の中には、我々の想像を超えた様々な形のキーボードがあります。詳しくは、「エルゴノミクスキーボード」で検索すると色々なタイプのものが出てくるので、そちらもご確認ください。
とにかく多種多様な形のキーボードが出てきて「本当にこれでタイピングできるの……?」と思ってしまうのですが、人間工学に基づいて設計されているので、疲労が軽減されるとのこと。そのために様々なアプローチがあるわけですが、中でもよく見かけるのがキーボードを2つに分割したようなタイプのものです。「左右分離キーボード」とか「セパレートキーボード」などと呼ばれています。
人間がタイピングをするとき、キーボードが真ん中にある関係上、どうしても肩を内側に丸めて打つ必要があります。それを解消するのが左右分離キーボードで、右手と左手の位置が離れていれば肩を開いてタイピングができる! というものなわけです。
ただしこの「エルゴノミクスキーボード」というやつ、おしなべて値段が高いという問題があります。左右分離キーボードを見てみると、大抵どれも1万円超え。ちょっと気軽に試してみるのは難しいですよね。
そこで、最初の「キーボードを2台使う」という提案に戻ってくるわけです。左右分離キーボードは、要するに1枚のキーボードの配列を左右にわけたものです。つまり同じキーボードが2つあれば、左右分離キーボードを再現できるのではないか……?
そんな趣旨から、本稿では2台のキーボードを使う方法……デュアルキーボードをご紹介している次第です。
デュアルキーボードを使ってみよう
紹介といっても、デュアルキーボードのやり方は至って簡単。
まず、キーボードを2台用意しましょう。自然にタイピングできるようにするために、できれば同じキーボードを2台揃えたいところ。左右で違うキーボードを使っていると、ずっと違和感と共にタイピングすることになります。有線か無線かはお好みで。準備ができたら、2台ともパソコンに接続します。
2台のキーボードの置き方には様々な流派がありますので、自分が疲れにくくてタイピングもしやすい位置を探してください。2個を並行に置いても良いし、への字に配置しても良し。少し離して置いて、間にトラックパッド置くというのも見たことがあります。
あとは、普通にタイピングをしていくだけ。最初は違和感があると思いますが、まあ1日くらいタイピングをしていれば慣れるでしょう。
デュアルキーボードのメリットとデメリット
専門の左右分離キーボードを使うのに比べ、デュアルキーボードを使うことにはメリットもデメリットがあります。
まずはメリットから。第一に、キーボードの種類を選ばないので安価に作業環境を整えることができます。2,000円くらい払えばそれなりのキーボードが手に入りますから、まずはこのあたりを2台揃えてみると良いでしょう。効果を実感したら、自分の好きなちょっと高いキーボードを2台使う……といったステップアップもありです。
また、タイピングに多少癖があるという方にも、デュアルキーボードはおすすめです。たとえば僕は、どうしても「B」や「T」をどうしても右手でタイピングしてしまう癖がありまして。左右分離キーボードにしてしまうと、これらのキーを打つときに右手か空振りしてしまいます。ちゃんと矯正すれば良いのですが、長年の癖なのですぐにはなおすことができません。しかしデュアルキーボードを使っていれば、そもそもキーがフルで揃っているので、このような心配がないわけです。
好きなキーボードを使えるというのもメリットですね。僕はHHKBという高級キーボードの打ち心地が好きでかれこれ5年くらい使っているのですが、これを左右分離キーボードで再現しようと思うと難しい。でも、デュアルキーボードは同じキーボードを2個買ってしまえば解決なので、同じ打ち心地を維持しながら肩を開いてタイピングすることができます。最強です。
以上がメリットなわけですが、もちろんデメリットもありまして……。
まず、キーボードを2つ置かなくてはいけないので、かなり場所を取るということ。広い机の上で作業する長時間作業する場合は良いのですが、狭いところだとデュアルキーボードは邪魔になってしまいます。
次に価格面。メリットで「安く済むよ!」と言っていますが、自分の好きなキーボードを揃えるとなると話は別です。僕はHHKBというシリーズでデュアル環境を作っているのですが、1台で3万5千円くらいするので、デュアルキーボードにすると7万円になってしまいます。だったら左右分離キーボードを買えば良いじゃんという話なのですが、打ち心地のためなら7万円くらい……という気持ちになってくるのがキーボード沼の怖いところなのです。
実際に使ってみて
さて、僕も実際に3ヶ月ほどデュアルキーボード環境で執筆を行なっているので、使い心地を紹介したいと思います。
僕が使っているキーボードは、
・HHKB Professional JP Type-S(白)
・HHKB Professional HYBRID Type-S(日本語配列/墨)
の2種類です。
5年ほどProfessional JP Type-Sを使っていて、デュアルキーボードにしてみたいな……と思っていたところで無線対応のProfessional HYBRID Type-Sが発売され、これは良い機会だと早速購入してみました。
本当は全く同じ型のキーボードで試してみたかったのですが、Professional HYBRID Type-Sを新たに2つ買う勇気はさすがになかったので、ひとまず旧型と新型の2つでデュアルキーボードを試してみています。
同じシリーズなので、キーボードの配列は変わりません。形状もほとんど同じ。キータッチが若干違っていて、新しいProfessional HYBRID Type-Sの方が若干軽い押し心地になっています。しかし最初のうちは全く気づかず、2週間くらい比較してようやく気づきました。大きな違いではないので問題なく使えています。
僕の場合、デュアルキーボードを使い始めて3日ほどで効果を感じられるようになりました。姿勢は明らかによくなっています。また、以前に比べて腕の付け根あたりの痛みが軽減されているのも感じます。
あと、これは副次的かつ最も本質的な効果なのですが、執筆するときにとてもテンションが上がりますね。合計7万円のキーボードを変態的に使っているという優越感が、僕の執筆意欲を駆り立ててくれます。最高です。
デスクの上のケーブルを極力減らしていきたいので、本当はProfessional HYBRID Type-Sが2台欲しいのですが、今の環境でもある程度満足しているので、少し様子見をしたいと思っています。
HHKBは大変高価なキーボードですが、打ち心地は最高だし、ファンクションキーやテンキーがついていなくてコンパクトなので、比較的省スペースでデュアルキーボード環境を作ることができます。Professional JP Type-Sの方は5年使っていますがびくともしないので、耐久性も抜群。少々高いですが、一生物の道具になるんじゃないかなと思います。
無理にHHKBを買わずとも、デュアルキーボードにするだけでかなりテンション上げて執筆できますし、肩こりもある程度解消できるんじゃないかなと思います。長時間の執筆をされている方々、ぜひご検討くださいませ。