小説を書くのにそれほど多くの道具は必要ない。ノートPC1台あれば、あとはそこにプリインストールされているソフトでまずは執筆を始めることができる。
しかし、生産性を上げるという目的があれば、道具探しの旅は始まったばかりだ。
今回は、Macを使う僕がたどり着いたテキストエディタの到達点「stone」を紹介したい。
シンプルなテキストエディタ
テキストエディタというと、プログラミングをする人なら、かなり強力で複雑なツールを思い浮かべるかもしれない。マクロや構文の色分け、補完入力、スペルチェック……などなど。.htmlや.pyなどたくさんの拡張子のファイルを開ける必要もあるだろう。
しかし、今回紹介するテキストエディタの機能はいたってシンプル。ファイルは.txt形式のもの以外は開けない。まさに、テキストの編集のみに特化したエディタなのだ。
そして、設定できる項目も以下の5項目しかない
字体
自分の気分に合わせて自体を選択することができる。しかし、選べるのは「明朝体」か「ゴシック体」の二択。
個人的には、ブログなどの文章を書くときにはゴシック体で使い、小説などを書くときは明朝体にしている。
もちろん、それにこだわらず、気分に応じて使い分けることもある。字体が変わると、文章を買いている途中に見えている景色が一変するように感じる。
横書き・縦書き
文章の方向を縦と横の二種類に切り替えることができる。
普段は横書きで書くことが多いが、短歌や詩を書くときなどは明朝体+縦書きで書くこともある。
また、横書きで行き詰ったときに縦書きにしてみると、違った言葉が降りてくることも多い。
文字の大きさ
文字の大きさは10段階で調節可能だ。
文章の全体を俯瞰したい場合は小さくし、細かい点を見たい場合は大きくする。
行間
行間も10段階で調節することが可能。
滅多にいじらないが、これも行き詰ったときに変更してみると、不思議とするする文章が書けてしまうことがある。
基本的には、4〜5で設定していることが多い。
字数
1行に入る文字数を8文字〜調節することができる。
折り返しの位置を決めることができるので、一文が長くなりがちな文章はちょっと狭めにして前後の文章を追いかけやすくしたりする。
また、スクリーンショットを撮るときに見た目を細かく調整できて便利だ。
stoneの何が良いのか?
上で説明したように、stoneはシンプルなテキストエディタで、これといった機能はほとんどない。
しかし、一度使い始めると他のテキストエディタで文章を書く気になれない。一体、stoneの何が良いのだろうか?
考える必要がない
多機能なテキストエディタを使用すると、無限に設定を変更したりカスタマイズしたりすることができるので、一文字も書かないうちに自分好みのエディタにする遊びを始めてしまう。
しかし、僕たちが本当にやりたいのは文章を書くことだ。テキストエディタがいくら自分に馴染んだとしても、それだけでは文章が生成されることはない。
stoneは設定できる項目が少ないが、最初から気持ちよく文章を書けるような設計になっている。僕らは何も考えることなく滑るように文字を書き始めることができるし、少し疲れてきたらちょっと設定をいじって気分を変えることができる。
そんな手軽さ、気軽さがstoneの特徴だろう。
心地よいデザイン
テキストエディタには、見た目がちょっと不恰好なものが多いと思っている。
文章を書くためには論理と感情が必要だ。不恰好な見た目のテキストエディタは論理を表現するには最高の力を与えてくれるかもしれないが、往々にして感情をぶち壊す。
しかし、stoneは違う。立ち上げて画面いっぱいに表示させるだけで、不思議と文章を書いてみようという気持ちになる。真っ白な画面にすらすらと文字を落としてみたくなる。そうして、気がつけばあっという間にたくさんの文字を生み出している。
文章を書くことは旅に似ている。どこで終わっても良いし、休憩してもまた再開してどこまでも遠くへ行ける。そして、できるだけ遠くへ行くためには最高の伴侶が必要だろう。僕にとってstoneは、文章を書くときに無くてはならない相棒だ。
まとめ
さて、stoneには些細な問題は一つだけある。
それは、このテキストエディタはフリーソフトではなく、3,000円払わないと使えないということだ。また、Macのみでしか使えない。
しかし、繰り返すがこれは大した問題ではない。stoneをたとえば5年間使ったとすれば、1日にかかる金額は1円にも満たない。また、stoneを使うためだけにMacを買う価値だってあるだろう(stoneが使えなくても、Macは文字を書くすべての人におすすめしたいコンピュータだけど)
stoneについて、詳しいことは公式サイトをご覧いただきたい。