文章を書く人のためのキーボードの選び方とおすすめ機種

小説の良いところは、少ない投資で創作を始められるところだと思います。ノートとペンさえあればどこででも書けますし、デジタルで原稿を書くとしても、大抵の人が持っているスマホで作業することができる。本腰を入れて作業をしようとPCを購入する場合でも、それほど大仰なスペックのものは必要ありません。

さて僕は1日のうちのほとんどの時間をPCに向かって過ごしています。そして、だいたいは何かしらの文章を書いている場合が多いです。

1日に大量の文章を書くにあたって重要なもの。人によって答えは様々だと思いますが、僕はキーボードが最も重要な道具なのではないかなと思います。多い時では1日で何千回何万回とタイプしますからね。というわけで、それなりにキーボードもこだわって選んでます。

ひとくちにキーボードといっても様々な種類があります。ノートPCについているキーボードをそのまま使うこともあるでしょうし、外付けのキーボードを買ってくる場合もあります。本当に安いキーボードであれば1,000円程度で買えたりしますが、高いものだと数万円することもザラです。

安いキーボードと高いキーボードは何が違うのか、値段に見合った性能の差はあるのか、どのようにしてキーボードを選べば良いのか。執筆の相棒となるキーボードを選びたい皆さんのために、キーボードの基礎知識や選び方をまとめていきます。

キーボードの種類

キーボードには、大きくわけて4つの種類があります。

メンブレン式

外付けキーボードの中で最も多いのがこのタイプだと思います。キーボードのスイッチが独立しておらず、基本的位にはゴムの部品でスイッチを押す構造になっています。

外付けキーボードをできるだけ安く買いたいのであれば、メンブレン式がまず候補に上がるでしょう。家電量販店などに行けば、数千円でたくさんの種類のものが売られています。試打できる場合はやってみて、打ち心地と価格のバランスを見て購入するのがおすすめです。

これを書いている時点で、エレコムから999円のメンブレンキーボードが出ていますね……。

パンダグラフ式

基盤部分の構造はメンブレン式と変わらないのですが、キーの押し込みが浅くなっているのがパンダグラフ式の特徴となっています。ノートPCについているキーボードはパンダグラフ式ですね。

ノートPCの薄いキーボードが気に入っているという方は、パンダグラフ式のキーボードを購入しても良いでしょう。こちらもパンダグラフ式と同じく安価なものが多いですが、AppleのMagic Kyebordのように高価なものもあります。

外ではノートPCのキーボードを使って家では外付けキーボードを使うという方も、打鍵感を変えずに作業ができるのでおすすめかもしれません。

メカニカルキーボード

メカニカルキーボードはキーがそれぞれ独立しており、「軸」というもので打ち心地が変わるという特徴があります。

最も特徴的な軸が「青軸」で、カチカチと響くような打鍵感があります。キーボードを「押している」感じがとても強いので、叩いていて非常に気持ちいいです。その代わり音も大きいので、周りに人がいる時などは使うのを躊躇するかもしれません。

青軸の他にも色々な特徴を持った軸があるので、気になる方は家電量販店などで試打してみることをおすすめします。

ネックとなるのは、メンブレン式やパンダグラフ式に比べるとやや高価になってしまうことです。ただ、軸を交換したりカスタマイズ性があるので、1台のキーボードを自分好みにして長く使うのには向いているでしょう。

静電容量無接点方式

あまり種類がなく、さらに安価なキーボードに比べるとかなり高級になってしまうというデメリットがあります。

しかし熱狂的ファンが多く、耐久性の高いモデルが多いので、長く執筆のお供にするのであれば視野に入れたいタイプのキーボードです。

「スコスコ……」と表現される打鍵感が特徴的。タイプ音はそれなりに大きいので、メカニカルキーボードと同様に使う場所は選ぶかなと思います。

有線か無線か

以前はPCとキーボードをUSBケーブルなど有線で接続するのが一般的でしたが、最近はBluetoothなど無線で接続できるモデルも多くなってきています。

無線の特徴は、なんといっても机の周りがすっきりすること。ケーブルがなくなるので、ごちゃごちゃと絡まったりすることがありません。物理的な制約がないので、ある程度離れたところからでも操作できたりします。

一方で有線は安定した接続が特徴。無線だとたまに接続が切れたりすることもありますが、有線の場合はほとんど不具合がありません。また、無線は充電式や電池式なのでいざという時に使えなかったりしますが、有線は一般的にPCから電源を取るので、どんな時もすぐに使えるというメリットがあります。

安定志向の方は有線がおすすめですが、個人的には取り回しの良い無線モデルが好きです。

キーの数

キーボードによって取り付けられているキーの数は様々で、作業スペースや用途に合わせたものを選ぶことが重要になります。

フルキー

文字通り、すべてのキーが搭載されているキーボードです。「すべて」の定義が難しいところですが、日本語配列の場合はだいたい109キーくらいあります。製品によってはちょっと少なかったりしますが、それほど変わりはないと思います。

とにもかくにも全部付いているので、大は小を兼ねる派の方はこれを買っておけば間違いないでしょう。ただし、机の上のスペースを広くとってしまうという問題はあります。

テンキーレス

フルキーボードには右側に電卓のようなテンキーが搭載されていますが、テンキーレスはこれを廃したものです。

数値入力を頻繁に行う場合はテンキーがあった方が便利だとは思いますが、文章を書く場合は、テンキーを使う場面はそうそうないでしょう。

キーボードが小さくなれば、当然使える机の面積は広くなります。ここにペンとノートなどを置くと、メモを取るときに便利ですね。

60%キーボード

テンキーレスからさらに、Enterより右側のエリアとファンクションキーが取り除かれています。文字を入力するのにストレスないサイズとしては、このくらいが限界かなと思います。なお、ファンクションキーでの操作も、キーの同時押しで可能となっています。

除外されているキーボードを多用されている方には不便な仕様ですが、それらを滅多に使わない場合は、非常にコンパクトでおすすめのキーボードです。これくらいの大きさであれば、バッグに入れて外へ持ち出したくなりますね。

さらに小さいキーボードも

これよりもさらにキーを取り除いて小さくしたキーボードもありますが、よく使う記号がキーの同時押しでしか入力できなかったりと、少し不便な部分が増えるのかなと思います。また、ここまで来るとかなりマニアックな世界になってしまうので、気になる方だけ情報収集をしてみるのがおすすめです。

人間工学に基づいたキーボード

人間工学に基づいた、「エルゴノミクス」の名を冠したキーボードも様々なものが販売されています。

普通のキーボードとは異なる形状をしていたり、左右に分離していたり、手元にクッションがついていたりと、長時間使っても疲れにくいような工夫が様々な角度からなされています。

しかし価格が高く、かなりマニアックな世界になってしまいますので、これもキーボードにこだわった結果「もっと究めたい!」と思ったときに踏み込むくらいで丁度良いかなと思います。

有名なのは、KinesisのAdvantage2ですね。お椀みたいな形のとても大きなキーボードで、強気なお値段設定です。

おすすめのキーボード

以上のことを踏まえまして、個人的におすすめのキーボードを紹介します。長年使っていたり、色々と試打してみて良い感じだなと思ったりしたものになります。

HHKBシリーズ

最初から高級キーボードで申し訳ないのですが、僕としてはHHKBシリーズが一番のおすすめです。

静電容量無接点方式を採用しており、打鍵感が最高。60%キーボードでコンパクトなので、机の上のスペースもそれほど取りません。

一番おすすめしたいのは、HHKB Professional HYBRID Type-Sです。HHKBのフラッグシップモデルで、価格は3万5千円超え。確かにお高いのですが、有線/無線のどちらでも接続することができ、高速タイピング性と静粛性に優れたシリーズになっています。

別に有線接続で良いのになあと思う方には、HHKB Professional Classicがおすすめ。

また、カチカチとしたタイプ音が好きだという方には、Type-Sを冠していない無印のHHKB Professional HYBRIDが合うかもしれません。

HHKBはキー数が少なくて気に入らないという方は、RealForceというシリーズを探してみると幸せになるかもしれません。また、60%の静電容量無接点方式の選択肢としてはNizなどがあるのですが、こちらは英語配列しかないのが悩みどころ。

FLICO Majestouch Convertible2

メカニカルキーボードの中で僕がおすすめしたいのが、FLICOのMajestouch Convertible2です。僕はテンキーレスのものを使っています。

普段遣いとしてはHHKBを使っているのですが、気分を替えてメカニカルキーボードを使いたいなと思っていた時がありました。条件として「なるべくコンパクト」かつ「無線接続ができる」モデルを探したところ、最終的にこのモデルへと行き着きました。

もっとコンパクトなモデルとしてはMajestouch MINILA-R Convertibleというものがあるのですが、こちらはスペースキーの横にFnキーがついているという独特な配列のため、購入には至りませんでした。

別にテンキーレスじゃなくても良いというのであれば、ロジクールがゲーミング用のメカニカルキーボードをたくさん出しているので、そこから選んでみても良さそうですね。G913 TKLはテンキーレスタイプになります。キーストロークがちょっと浅くなっているのが特徴で、独特のシャリシャリとした打ち心地があります。

おわりに

キーボードの種類やおすすめのキーボードを紹介しきましてが、文章を書く人が最終的に行き着くのはHHKBシリーズなんじゃないかなと思っています。様々なキーボードを試してみるのも楽しいですが、最初から究極体になりたいという方は、ぜひHHKB Professional HYBRID Type-Sを購入してください。

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