ネネネの短歌条例第六回「ノータイトル」


シナリオがなくてよかった。結末を気にしないまま抱き合えたから、
いたずらなあなたの笑顔がつくられた偽物だって別によかった。

目を閉じてしまえば全部夜なのに、光を探してしまったことを
悔やんではないよ。かすかな幸せを少し遠くで感じるたびに、
過ちの数も静かに増えたけど、会いたいだけでいつも走った。

分かってる。地球はそんな都合よく回ってなんかくれないことも
悲しみは時間が過ぎれば霞むのも、いつかすべてを忘れることも。
いつだって刹那ばかりが美しい。あなたの魔法にかかりたかった。

伏線を回収できないまま醒めた夢の続きを思い出せない。

はじまってすらいないのにおしまいが分かってしまう温度のように
ぬくもりと呼べない余熱を知ったこと、うれしかったの。ばかみたいでしょ。

もう一度肩甲骨を触れたら、たぶん泣くけど気にしないでね。