文学フリマのこと気になる! 文学フリマに出店してみたい! でも、何を準備すれば良いのか分からない、自分でも出店できるか不安……と考えている方が、この記事を読み始めているのではないかと思います。
僕がはじめて文学フリマに出店したのは今からおよそ10年前。何の準備も無しに参加して、「もっとこうしておけば良かったな〜」といろいろ反省しました。そこから、文学フリマ東京、大阪、京都、福岡など地方も含めて何度も文学フリマに出店する中で、文学フリマに出店するのにも段々と慣れてきました。
それらの経験や知識をどこかにまとめておきたい。そう思いましたので、ここに文学フリマに出店するための流れを、できるだけ網羅的に書いてみたいと思います。
出店申し込みをしよう
文学フリマに出店するにあたり、最初に考えるのは「売るものを作ろう!」だと思います。
たしかに、せっかく出店したのに売るものが何も無かったらとても困ります。というか、何もすることがありません。だから、「売るもの」もしくは「無料で配布するもの」は必須です。
しかし、必須だからといって、出店が決まる前にそれが完成している必要はありません。というか、「本ができたら出店申し込みをしよう」などと考えていては、おそらく一生出店はできません。なぜなら、締切は神だからです。我々は、締切が無ければ本を作ることができません。だから、まずは出店申し込みをして、そこから本作りのことを考えるのがおすすめです。
不安ですか? いえいえ、ぜんぜん大丈夫です。「本づくり」というのは、どこまでもこだわれるものです。逆に言うと、どれだけでも手抜きができるものでもあります。そのため、締切を見据えながら、間に合わないと思った場合は、徹底的に作るものをグレードダウンさせていきましょう。締切に合わせて、とりあえず何かしら作り出すことができれば、それはもうあなたの「勝ち」です。
出店するイベントを決めよう
ここからは、具体的に出店する方法について説明していきます。
出店したい! という気持ちが高まったら、まずはどの文学フリマに参加するかを決めましょう。
文学フリマの中で最も規模が大きいのは「文学フリマ東京」で、年に2回開催されています。会場は東京ビッグサイト。出店者数は年々増えており、2025年11月開催の文学フリマ41では、3,308出店・3,862ブース(予定)となっています。
そのほか、地方都市でも文学フリマが開催されており、これまでに大阪、福岡、岩手、京都、札幌、香川で開催されています。
文学フリマ東京は入場者も多いですが、遠方から行くのは大変という方もいらっしゃるでしょう。また、最近は東京ビッグサイトでの開催となった影響か、入場料がかかる仕様になっています。
一方で、地方の文学フリマは出店者数・入場者数が少なめですが、入場料は無料で立ち寄りやすく、その地方の方に来ていただけるというメリットもあります。
それらの事情を鑑みて、どのイベントに出店するかを決めましょう。なお、文学フリマの出店に合わせて、開催地を旅行するという話もよく聞きます。普段は足を運ばない地に文学フリマをきっかけにして行ってみるのも面白いのではないでしょうか。
イベント申し込みをしよう
どのイベントに出店するかを決めたら、イベント申し込みを行います。
出店申し込みは、文学フリマWebカタログ+エントリーのサイトから行えます。

サイトにアクセスしたら、「マイメニュー(出店申し込みはこちら!)」を押します。出店申し込みには、ユーザ登録が必要になります。メールアドレスとパスワードを入力し、登録を完了させましょう。
登録を完了させてログインすると、マイメニューに「イベント申込・Webカタログ編集・出店者管理」が表示されるので、そちらを押してください。

すると、出店申込を現在受け付けているイベントが表示されます。ここから、参加したいイベントを選んで「申込」を押します。

続いて、出店者名を登録するなどして、画面に沿って操作をすれば出店申込みは完了します。
最近の文学フリマは、出店希望者多数により抽選が実施される場合があります。早めに申込みをすれば確定枠として抽選が免除されますので、出店することを決めたら、なるべく早めに申込みをするのがおすすめです。抽選対象になった場合は、申込みから抽選が行われるまでしばらく待ちましょう。
出店料を支払おう
出店の申込みが完了すると、出店料を支払うことになります。出店料はイベントによって異なりますが、たとえば文学フリマ東京42の場合は、1ブース定員1名で6,600円でした。定員を1名から2名に増やしたり、ブース数を増やしたりすると、それに応じて出店料が変わります。
なお、出店料はPayPal経由でクレジットカード払いをするのが最もスムーズです。そのほか、銀行振り込みやコンビニ払いなどが利用できます。
出店料の支払いには期日があり、これを過ぎると出店資格が取り消されてしまいますので、できるだけ早く支払うようにしましょう。
出店料の支払いが終われば、申込み作業は完了です! あなたは文学フリマに出店する資格を得ました! おめでとうございます!
本を作ろう
さて、出店申込みが完了したら、いよいよ本丸。そう、本作りに取りかかります。
本を作るにあたっても注意するべき点がたくさんあるのですが、ここではポイントを絞ってご紹介していきます。
まずは中身を書こう
本を作るにあたって、まずは中身が無いと話が前にすすみません。とりあえず原稿を書きましょう。話はそこから始まります。
なお、文学フリマで販売・配布可能なものについては、文学フリマの公式サイトで以下のように書かれています。
文学フリマでは、その理念に照らし「自らが〈文学〉と信じるもの」であれば、形態・内容・価格を問わず、自由に販売・配布できます。
そのため、もちろん小説にこだわって書く必要はありません。とりあえず文章を書けば何でも良いです。いや、自らが〈文学〉と信じるのであれば、文章である必要もありません。いずれにせよ、とにかく原稿を進めていきましょう。
なお、すでにインターネットなどで公開している文章を本にまとめようと考えている方や、PCやスマホで長年温めていた作品をこの機会に発表しようと考えている方は、すでにこの項目をクリアしています。おめでとうございます!
蓼食う本の虫では、原稿執筆に役立つ記事も掲載しておりますので、よければ合わせてご覧ください。
PDFにする方法を考えよう
さて、原稿の進捗は順調でしょうか?
仕上がった原稿を本にするにあたって、ここでも気をつけるべきこと・考えるべきことはたくさんあるのですが、さしあたっては、原稿をPDFにすることができればそれでOKです。では、一体どのようにしてPDFにするか?
はじめて本を作る場合に最も使いやすいのは、WordやGoogleドキュメントなどのワードプロセッサソフトを使うことでしょう。これらのツールを使って印刷用のPDFを作る方法は、Google検索をすればたくさん出てくるかと思います。
また、スマホで書いた文章をPDFに変換する機能を提供しているサービスもたくさんあります。たとえばpixiv小説では、pixivプレミアムに登録することで、pixivに投稿した小説を縦書きの入稿用PDFデータとして書き出すことができます。
また、iOSで提供されている「縦式」というアプリにも、PDFデータを出力する機能があります。
本作りに慣れている方であれば、AdobeのIndesignなどを使ってさらにこだわって作る方法もありますが、いずれにせよ、入稿用のPDFデータが何かしらの形で準備されていればOKです。
奥付を忘れずに
はじめての同人誌を作る時に気をつけたいのは、本の「奥付」を忘れずに作るということです。
奥付は、本の最後に入れる、その本や発行者にまつわる情報が載っているページです。同人誌の印刷を依頼する場合、基本的にはこの奥付ページが必須となります。
奥付には、主に以下のことを書きます。
- タイトル
- 発行年月日
- 著者・編者
- 連絡先
- 印刷所
最低でも上記の情報が書かれていれば問題ないかと思います。ここに、必要に応じて別の情報を書き加えることもあります。どのような奥付が必要なのかについては、依頼する印刷所で紹介されていることもあります。最終的にはそちらの情報も確認するようにしましょう。
表紙データをつくろう
本を作るにあたって、本文のデータとは別にもうひとつ作らなければならないものがあります。それが表紙データです。
文字書きにとって、表紙データは鬼門となる場合があります。イラストが描けたり、デザインに長けていたりすれば表紙データ準備への計画も立てやすいのですが、そうでない場合は「どうやって表紙をつくれば……?」と途方に暮れてしまうかもしれません。
しかし、表紙は読者の目を引くようなものにできればそれに越したことはありませんが、とりあえずは本のタイトルと著者名が書いてあればそれで大丈夫です。WordやPowerPointを開いて、いい感じに文字を入力してみましょう。
印刷・製本をしよう
さて、本文や表紙のデータは完成しましたでしょうか? いや、完成していなくてもこの先を読み進めていただいて大丈夫です。なぜなら、データを作る前に、そもそもどのようにして本の印刷・製本を行うのかを知っていた方が、データ作成の作業もスムーズに進められるからです。
印刷・製本は、一般的には「印刷業者に依頼する」か、「コンビニプリントや自宅で印刷する」のどちらかが基本となります。
印刷業者に依頼した方が仕上がりが綺麗なので、「わー! 自分の書いたものが立派な本に……!」という感動が得られると思います。しかし、当たり前ですが印刷業者に依頼する場合は、入稿してから実際に刷り上がるまでに多少の時間がかかります。また、ある程度の部数が必要になるため、1回あたりの印刷コストも高くなりがちです。
そこで、印刷所への入稿が間に合わなかった場合、あるいは少部数の本を作りたいという場合は、コンビニプリントや自宅のプリンターを使って作る、いわゆる「コピー本」もおすすめです。
印刷業者に依頼しよう
さて、まずは印刷業者に依頼する方法からご説明しましょう。
といっても、基本的な流れはいたってシンプルです。
- 見積もりと入稿日締切を確認する
- 印刷の申込みを行う
- データを入稿する
- 料金を支払う
- 印刷・製本が行われる
- 手元に本が届く
このあたりの手順は印刷所によって異なります。そのため、いくつかの印刷所を見てから発注するところを決め、その印刷所が公開している手順などを見ながら発注するのがおすすめです。
ここでは、私が個人的によく利用している印刷所を2つご紹介します。
①ちょ古っ都製本工房
圧倒的なコスパを誇るのがちょ古っ都製本工房。これまでにさまざまな印刷所の見積もりを見てきましたが、大抵の場合はこのちょ古っ都印刷工房が最も安くなることが多いです。しかも、ちょっとだけ安いのではなく、圧倒的に安いことがほとんど。
そのため、できるだけ安く印刷費を抑えたい場合は、ちょ古っ都製本工房に頼むが最も良いと思います。実際に見積もり試算して確かめてみてください。びっくりすると思います。
ただし、料金が安い分、予約などは早めにしておかないと、希望する納品日までに本が届かない可能性が多いにあります。そのため、ちょ古っ都製本工房は、ある程度スケジュール管理能力があって、早めの予約や早めの入稿ができる方向けの印刷業者さんになります。
②ポプルス
最近よくお世話になっているのがポプルスです。
ポプルスは、イベント合わせの発注がとにかく便利です。文学フリマをはじめとしてさまざまな同人イベントの開催日が網羅されたカレンダーがあり、そこから希望するイベントを選択すれば、データ入稿の締切がすぐに出てきます。
また、入稿する際に事前予約なども不要なので、たとえばちょ古っ都製本工房で予約が取れなくなってしまった時の保険としても優秀です。
また、イベント合わせの締切に間に合うように入稿すれば、なんとその本をイベント会場に直接送ってもらえます。イベント会場への搬入は、期限が決まっていたりと自分でやるのは何かと面倒なのですが、そのあたりの手続きも全てポプルスがやってくれます。
コンビニプリントや自宅で印刷するのもあり
はじめての出店で少部数だけ本を刷ってみたい場合や、あるいは原稿の準備が全然間に合わずにとりあえず数ページの本を間に合わせで出したい場合などは、コンビニプリントや自宅で印刷するのもおすすめです。
コンビニプリントで本を作る方法については、過去に以下の記事でも詳しく書きましたので、参考にしてみてください。
基本的な流れは以下のとおりです。
- PDFデータをコンビニで印刷する
- ホチキスで留める
簡単2ステップで作れます! 自宅で印刷する場合も、印刷する場所がコンビニから自宅になるだけで、基本的には同じ流れです。
告知しよう
せっかく本を作ったのですから、どうせならたくさんの買っていただきたいですよね? 「完売しました!」とツイートしたいですよね? 黒字にしてそのお金で打ち上げを楽しみたいですよね?
本を売りたいのであれば、ぜひ告知に力を入れるようにしましょう。しかし、告知に力を入れるといっても、一体どうやって……? ここでは、告知の方法について紹介します。
Webカタログを充実させよう
告知を行うにあたり、まずは文学フリマの「Webカタログ」を編集しましょう。
Webカタログは、文学フリマWbeカタログ+エントリーから編集できます。
「マイメニュー(出店申込はこちら)」→「イベント申込・Webカタログ編集・出店者管理」→「Webカタログ編集」に進み、自身が参加するイベントの「編集」を押します。
すると、「出店者紹介を編集」「アイテム情報を変数する」というボタンが出てきます。
出店者紹介を編集しよう
出店者情報には、以下の情報を登録できます。
- サークル名
- サークル名(カナ)
- メンバー
- URL
- X
- 紹介文

なお、サークル名は出店申込み時に申請したものから変更できないので、ご注意ください。
Webカタログは、一般来場者が気になるサークルを探すための重要なツールとなります。このWebカタログには「気になる!」という機能があり、行ってみたいと思ったサークルをブックマークして一覧にすることができるため、効率的にサークルを回るために必須のツールとなっています。
そのため、自身のサークルの情報できるだけ丁寧に記載することをおすすめします(と書きながら、いつもサボりがちなので、今後はちゃんと書こうと思いました)。
アイテム情報を編集しよう
アイテム情報では、既刊・新刊の情報を登録できます。こちらは、出店者情報と一緒にWebカタログの一覧に表示されるので、できるだけ登録するようにしましょう。
サークル情報と共に、販売されている本の情報が事前に分かれば、お客さんはそのサークルに行く気持ちが高まります。そのため、その本のコンセプトやアピールポイント、仕様、ページ数、価格など分かる葉にで書いておくのが良いでしょう。
SNSやブログで告知しよう
Webカタログの入力が終わったら、使っているブログやSNSなどで宣伝を始めましょう。小説投稿サイトを使っているのであれば、その投稿サイトの近況報告機能などを使っても良いでしょう。
ブログやSNSをやっていないのであれば、この機会に始めるのがおすすめです。というのも、最近の文学フリマは特に、ブースにやって来てすぐに「この本をください」と言う方が多いです。少し前の文学フリマ東京では、ブースをゆっくり回っている方も多い印象でしたが、東京ビッグサイトではそうも言っていられません。何せブース数がめちゃめちゃに多いのです。1人で3,000ブースを全て見て回るのは現実的ではありません。
そのため、事前の告知には特に力を入れておくのがおすすめです。というか、当日の販売部数は事前の告知がほぼ全てだと思っていた方が良いです。
宣伝は、できれば何度もやりましょう。手を変え、品を変え。特に細かい技術は必要なく、以下の情報を伝えるのがおすすめです。
- その本のタイトル
- その本の特徴
- その本の価格
- 文学フリマで販売すること
- 文学フリマの開催日時
世の中には、何十年も前から知られている者を売るためのマーケティングフレームワークがたくさんあります。たとえば、AIDMAやAISAS、AISCEAS、AIDCASなどなど。今も最新の考え方が出てきますが、これらに共通しているのは全て「Attention」から始まっているということです。すなわち、知ってもらわなければ購買は発生しないのです。魅力的に紹介するとか、格好良く紹介するとか、そういうことは一旦脇に置いておいて、まずは知ってもらうために何度も告知を行いましょう。
おしながきを作ろう
販売する本が複数ある場合は、「おしながき」を作るのもおすすめです。
僕は最近、ピクページというサイトでおしながきを作っています。

ピクページについては、以下の記事でもご紹介しています。
HTMLなどの知識が無くても簡単にホームページを作成することができますし、アニメーションを入れるのも手軽なので、ぜひおしながきに使ってみてください。テンプレートも充実しており、おしながき用のテンプレートもあります!
会場に行こう
出店に必要な本はできましたか? それでは、あとはイベント登場に会場に行って本を売るだけです!
持っていくもの
ところで、イベント出店に持って行くものの準備はお済みでしょうか? 初めての参加の場合は何を持っていけば良いか分からないと思いますので、絶対に持っていくべきもの、なるべく持っていた方が良いものを紹介しますね。
作った本
文学フリマに絶対に持っていくべきもの、それは作った本です。この記事の最初の方でも書きましたが、自分で作った本が無いと、ブースで何もすることが無くなってしまいます。
ただ、ここでひとつ問題があります。この本とかいうやつ、結構重いです。コピー本の場合や、あるいは10部程度しか持っていかないならあまり気にならないかもしれませんが、本を30部も持っていこうと思ったら普通にめちゃくちゃ重いです。そのため、どのように持ち運ぶのかを考えた方が良いでしょう。
たとえば、電車で行ける距離かつ本の量もそこまで多くないのであれば、大容量のトートバッグを使うのも良いでしょう。私は、最近の文学フリマ福岡に出向いた際は、三省堂書店の「たくさん本を持ち歩きたい人のためのトートバッグ」を使いました(現在は売り切れのようです)。
また、本の量が多い場合は、キャリーケースなどを使うのもおすすめです。遠方の文学フリマに出店する際に、新幹線や飛行機を利用する場合もキャリケースを使うのが良いでしょう。実際、出店者として会場に行ってみると、キャリーケースを引いている出店者がとても多いことに気づきます。
入場証
文学フリマへの参加申込を行うと、イベント開催前に出店案内一式が入った封筒が文学フリマ事務局から送られてきます。この出店案内は、届いたら必ず内容を確認するようにしましょう。
そして、その案内一式の中で特に重要なのが「入場証」です。この紙が無いと、出店者の入場時間に文学フリマ会場に入ることができません。忘れた場合でも、最悪の場合は一般入場者として入れば良いのですが、準備の時間が無くなりますし、文学フリマ東京の場合は入場料もかかってしまいます。
そのため、まあ自分の作った本を持ってくるのを忘れるのに比べたら何とかなるのですが、できれば絶対に忘れたくないものになります。
お釣り
お釣りも、事前に必ず用意するようにしましょう。特に小銭が大事です。
自分で作った本をすべて1,000円刻みで販売すれば小銭を取り扱わなくても済むのですが、ページ数等の兼ね合いによっては、500円や800円、あるいは1,200円などで販売したいことがあると思います。そのような場合は、お釣りを小銭で用意しておくことは必須です。
ただ、基本的には100円玉と500円玉を準備しておけば事足りるでしょう。自身で作った本の値段を248円など端数が出やすい価格にするのであれば、さらに細かい硬貨も用意した方が良いですが、だいたいの場合は100円刻みで価格を設定するでしょう。
小銭が手元に無い場合は、事前に銀行などに行って両替を行うようにしましょう。当日に近隣のコンビニなどで両替をするのは迷惑になりますので避けてください。少額の商品を1万円札で買うようなことも、嫌がられる場合があると思います。
なお、僕はカール事務機の以下のコインケースを愛用しています。普段の生活の中で出た小銭をここに貯めていけば、イベント前に慌てることもありません。
テーブルクロス
文学フリマに実際に足を運んでみると、多くの出店者が机にテーブルクロスをかけているのを目にすると思います。個人的には必須ではないと思っているのですが、あればブースが華やかになりますし、何より悪目立ちしないので、最近は必ず持っていくようになりました。
特にこだわりがなければ、Amazonで即売会専用のテーブルクロスが販売されているので、こちらを購入すると良いでしょう。以下の商品は防炎加工が施されており、安心して使える設計になっています。
値札
販売している本の値段が伝わるように、値札があった方が便利です。値札が無いと、「すみません、これいくらですか……?」と毎回聞かれてしまいます。また、値札が無いと不安でそもそも買わない人が出てくる可能性もあるので、なるべく作るようにしましょう。
といってもこだわって作る必要はなく、書名と値段が書かれていればOK。当日、会場で手書きしても良いでしょう。また、紙に印刷してそれを平置きしてもOKです。
僕は、三角形に折れば自立するような値札を自作しています。
また、以下のような値札立てを購入しても良いでしょう。値札は立てておいた方がスペースを有効活用できますし、お客さんも価格が見やすくなります。
ポスター
文学フリマでは、会場をゆっくりと巡って気になったブースに立ち寄るという方もいらっしゃいます。そういう方に、自身の本をアピールしたいですよね? そういった時に役立つのがポスターです。
ポスターは、自分が書いた本の内容が伝わるようなものにしましょう。作るのが面倒な場合は、本の表紙をA3サイズに拡大印刷したものでもOKです。タイトルが魅力的なものであれば、「お、これはなんだろう?」と気になる方がいるかもしれません。
ポスターは、市販のポスタースタンドを使うのがおすすめです。僕はAmazonで以下のポスタースタンドを買ったのですが、会場に行ったら全く同じものを使っている方がたくさんいてびっくりしました。組み立てて使うタイプで、バラせばかなりコンパクトになるので、とてもおすすめです。
はじめての参加であれば1個で良いと思いますが、今後も出店するのであれば2個入りを買っても良いかなと思います。そちらの方がお買い得ですし。
メモ帳とペン
メモ帳とペンも持っていくと便利です。おそらく皆さん売り上げた冊数を記録することになると思うので、特に複数の種類の本を持っていく場合は持っていった方が良いでしょう。
メモはスマホで取れるし持っていかなくても良いかなと思うかもしれませんが、何かと忙しい出店中は、手軽にメモができるメモ帳・ペンの組み合わせの方がおすすめです。
メモ帳は、やや小さめのものが扱いやすいでしょう。ペンは好きなものを使ってください。
マスキングテープ・セロハンテープ
文学フリマのブースに行くと、「ここにこれを貼りたい……!」と思う時が来ます。きっと来ます。たとえば、「手描きのPOPを作ってみたから、このポスターの下に貼り付けたいな」「追加で印刷したポスターを机の前に貼りたいな」なんてことを思う時が来ます。
そんな時に、マスキングテープかセロテープがあると便利です。かさばるものでも無いので、出店する際の持ち物に加えておくのがおすすめです。
会場への行き方を確認しよう
持ち物を確認したら、会場への行き方も確認しておきましょう。前日や当日に確認すると、移動時間が意外とタイトなことに気づいて大変なことになったりするので、できれば早めに。
文学フリマ東京は、以前は東京流通センターで開催されていましたが、最近は東京ビッグサイトでの開催となっています。いずれにせよ、東京の南西の方にあり、場所によっては移動に時間がかかるので、要確認です。
たとえば、僕は熊本から出店するために東京へ行くのですが、大抵の場合はLCCを使って夜の内に成田空港へ行き、空港近くのホテルに前泊します。しかし、成田空港からビッグサイトまでは1時間半くらかかってしまうので、ホテルを出る時間は事前にちゃんと確認しておいた方が良いです。僕は確認を怠り、「まあなんとかんなるでしょ」と考えた結果、一般入場者と同じ時間に会場入りしたことがあります。何とかならないので、事前に移動時間や移動経路は確認しておきましょう。
出店の準備をしよう
さて、会場に到着してからもまだまだやることがあります。文学フリマは準備が80%だと個人的に思っていますが、とは言っても当日のイベント参加のためにここまで頑張ってきているので、気を抜かずにいきましょう。
会場に入る
まずは会場に入るところから。事前に調べたルートに沿って会場へ向かいましょう。少し早く着くくらいが安心ですが、朝に弱い方は無理せずにいきましょう。僕も、出店者開場の20分後くらいに到着することが多いです。
会場に到着したら、出店者専用の入場レーンがあるので、そこで入場証を見せて中に入ります。忘れ物が無いように、入場案内の封筒は一式全て持っていくのがおすすめです。また、入場証は点線に沿って切り離す必要があるので、事前に切り離しておきましょう。
この入場証と交換する形で、出店者用のシールが渡されます。再入場の際に必要となるので、胸あたりの分かりやすいところに貼り付けましょう(回によっては、腕に巻くタイプのこともありました)。
本が到着しているか確認する
印刷・製本を業者に依頼し、会場への宅配搬入を選んでいる場合は、イベント会場の自分のブースに本が届いているはずです。会場によっては、ブースのある列の後方にまとめて置いてある場合もあるので、当日の案内を確認しましょう。
ここでドキドキの新刊との対面です。ここで毎回「背表紙がめっちゃズレてたらどうしよう……」「右開きと左開きを間違えていたらどうしよう……」「表紙がめちゃくちゃ変な色になっていたらどうしよう……」とかなり緊張しますが、大抵の場合は杞憂に終わります。
ブースを設営しよう
到着している本の確認が終わったら、いよいよブースの設営です。といっても、ここまで準備してきたものを良い感じに並べていけばそれで終了です。
参考までに、文学フリマ福岡に出店した時のブース写真を共有いたします。
設営完了! 文学フリマ福岡11、ブースはJ-13でお待ちしております〜〜〜!!! pic.twitter.com/lDl5QuVkrd
— あとーす | 蓼食う本の虫 (@atohsaaa) October 5, 2025
蓼食う本の虫ブースはそれほど本の種類が多くないので、まだ平置きで何とかなっていますが、本の種類が多い場合は段ボール製のスタンドなどを使っている方も多いです。「スマート本棚」などが有名で、実際に使っている方をよく見かけます。
見本誌を置きにいこう
文学フリマには、「見本誌コーナー」というものが準備されています。これは、来場者が一挙にたくさんの本を確認できるコーナーです。
出店してみると分かるのですが、どこからともなく真っ直ぐとブースにやってきて、「これをください」と言ってくださる方が結構いらっしゃいます。話を聞いてみると、どうやら見本誌コーナーで本を見つけてやってきてくれているようです。読者の方との接点を増やすために、ぜひ見本誌コーナーに見本誌を置くことをおすすめします。
見本誌は最大で3冊まで置くことができます。見本誌を置くためには、入場証などを一緒に送られてきている見本誌シールの貼り付けが必要になるので、忘れずに持ってきましょう。見本誌シールには記入欄がありますので、会場で書いても良いですが、余裕があれば事前に書いておくと良いでしょう。
ブースでニコニコしていよう
ブースの設営と見本誌の設置が完了したら、あとはひたすらブースでニコニコしていましょう。
お客さんが全然来なかったら、本などを読んでいても良いと思います。僕は、一般入場が開始されるのと同時に目当てのサークルをすぐに回り、それを自分のブースに持ち帰って読んだりしています。ただし、ブースにお客さんがやってきたのに気づかないと良くないので、読書に集中しすぎるのは考えものです。
お客さんがブースの前で立ち止まって、ポスターや本の表紙に興味を持ってくれているようであれば、「よろしければお手に取ってご覧ください」と声をかけてみましょう。体感としては、60%くらいの方が実際に手に取ってよんだくさります。
また、手に取って読み始めて1分くらい経ったところで、本の軽い紹介を挟むのも良いでしょう。ただ本を売るだけではなく、来てくださったお客さんとお話できるのも文学フリマの魅力ですからね。
しかしまあ、基本的にはブースでニコニコしていれば大丈夫だと思います。過度にお客さんを呼び込んだりしなくても大丈夫。どうせ売れ行きのほとんどは、事前の告知で決まっているので、ニコニコして、来てくださるお客さんに圧迫感を感じさせなければそれでOKです。
撤収しよう
さて、ブースでニコニコしていたり、お客さんとお話していたりすると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。本が売れたか売れなかったかは分かりませんが、いずれにせよ、イベントが終わったら会場から撤収する必要があります。
家に帰り着くまでに文学フリマです。撤収で気をつけるべきことについてもご紹介します。
残部を自宅に送ろう
売れ残った本は、そのまま持ち帰っても良いのですが、宅配で自宅まで送ると荷物を軽くすることができます。
文学フリマでは、イベント終了の少し前から宅配搬出の受付行っています。着払いで残部を送ることができるので、少し料金はかかってしまいますが、ぜひ利用することをおすすめします。
印刷所からの宅配搬入を行った方は、本が元々入っていた段ボールに詰め直し、緩衝材を入れて送りましょう。
片付けの手伝いをしよう
会場によってルールは異なりますが、文学フリマ東京の場合は、ブースの椅子や机の片付けも出店者が一丸となって行います。
もちろん、用事があったりする場合は先に帰っても良いのですが、特に急ぎではなければ片付けまで手伝って帰りましょう。
帰ろう
気をつけて帰りましょう。お疲れさまでした!
まとめ
文学フリマの出店なんて、申し込んで本を作って参加するだけだから簡単〜! と思っていたのですが、あれこれ書いていたら1万5千字くらいの文章になってしまいました。長い。
ここに書いたことはあくまでも僕が出店する場合のことを紹介したものであって、全てを真似する必要は無いのですが、少なくても初めて参加する方に対して「この辺を気をつけた方が良いよ!」という点を伝えることができたのではないかと思います。
文学フリマに出店するのは面倒くさいです。本を作るのも正直つらいです。まじで大変。しかし、文学フリマの会場に実際に行って、自分の本が売れているのを目にすると、「次はこういう本を作りたいな〜!!!」とウキウキで考えている自分がいるんですよね。
この記事を読んで、文学フリマに出店したいと思ってくださる方が1人でもいらっしゃれば幸いです!


