Bunkamuraドゥマゴ文学賞に堀川理万子『海のアトリエ』 絵本での受賞は初

第31回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を堀川理万子『海のアトリエ』が受賞したと9月3日に発表されました。本賞を絵本が受賞するのは初。

Bunkamuraドゥマゴ文学賞は、パリの老舗カフェが主催する「ドゥマゴ賞」の精神を引き継ぎ、1990年にBunkamuraが創設した文学賞。受賞作品は任期が1年のひとりの審査員によって選ばれ、今回の選考委員は作家の江國香織氏でした。

選評で江國氏は「一人で選んでいいというこの贅沢な文学賞に、これ以上なくふさわしい、贅沢な絵本だと思う」とコメントしています。

▼あらすじ
おばあちゃんの部屋には、女の子の絵がかざってあります。「この子はだれ?」って聞いてみたら、「この子は、あたしよ」って教えてくれました。おばあちゃんが話してくれたのは、少女時代に海辺のアトリエに暮らす絵描きさんと過ごした、特別な夏の日の思い出。いやなことがあって、学校にいけなくなっていたおばあちゃんは、その夏、絵描きさんに誘われて、海辺のアトリエで1週間を過ごすことになったのだそうです。

名前のわからない料理、食事のあとのしずかな読書時間、朝の不思議な体操、全身を使った創作活動……絵描きさんとの生活は、すべてが新鮮なことばかり。いつもとはちがう、自由で伸び伸びとした暮らしを送るうちに、しだいに少女の心は開放されていきます。

少女と一人の人間として付き合う絵描きさんの、適度な距離感が心に残る絵本。映画のシーンのような見応えのある場面の連続が豊かな時間をあたえてくれます。

▼著者紹介

堀川理万子(ほりかわりまこ) :
1965年東京都生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修了。画家として絵画作品による個展を定期的に開きながら、絵本作家、イラストレーターとしても作品を発表している。おもな絵本に、『権大納言とおどるきのこ』、『くだものと木の実いっぱい絵本』、『おひなさまの平安生活えほん』、『けしごむぽん いぬがわん』、『びっくり まつぼっくり』(多田多恵子)、『氷河鼠の毛皮』(宮沢賢治)などがある。

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