第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞が新名智『虚魚』に決定 応募総数538作品

4月6日に、第48回横溝正史ミステリ&ホラー大賞の受賞作が新名智『虚魚』に決まりました。正賞として金田一耕助像、副賞として賞金500万円が贈られます。

応募総数は538作品。その中から最終選考に4作品が残り、大賞が選出されました。選考委員や綾辻行人氏、有栖川有栖氏、黒川博行氏、辻村深月氏、道尾秀介氏の5名。選評は「小説 野生時代」7月号に掲載され、受賞作『虚魚』はKADOKAWAより2021年10月末に単行本として刊行予定です。

なお、一般から選ばれたモニタ審査員によって最も多く支持された作品に与えられる「読者賞」は、秋津朗『デジタル的蝉式リセット』が受賞しました。

横溝正史ミステリ&ホラー大賞は、株式会社KADOKAWAの新人文学賞としてともに四半世紀以上の歴史を持つ「横溝正史ミステリ大賞(第38回まで)」と「日本ホラー小説大賞(第25回まで)」の2つを統合した賞。ミステリとホラーの2大ジャンルを対象とした新たな新人文学賞として2018年2月に創設されたものです。エンタテインメント性にあふれた、新たなミステリ小説またはホラー小説を募集しています。

第41回 横溝正史ミステリ&ホラー大賞梗概

【大賞】
『虚魚』(そらざかな)
怪談師の丹野美咲は、体験した人が死んでしまう怪談ばかりを集めている。その怪談を使って、両親を事故死させた男に復習しようとしているのだ。美咲の同居人のカナちゃんはかつて自殺志願者だったが、三咲と出会い怪談探しを手伝うようになった。ある日、カナちゃんから「釣り上げた人は死んでしまう魚がいる」という怪談を聞いた三咲は、その怪談の真偽を調べることにする。そのなかで、実はカナちゃんが、三咲が以前から怪談ライブで語っていた怪談の関係者であることを知る。その怪談のせいで、祟りで親友が犠牲になったと悔やんでいたカナちゃんは、祟りのせいで親友を失ったのではないことを証明するため、呪いや祟りを自分の体で試し、何も起こらないことを確かめようとしていたのだった。カナちゃんのためにこの怪談を追いかける決心をした三咲は、ついにすべての発端と思われる事件までたどり着くが、そこで待ち受けていたのは――。

著者略歴:新名智(にいな さとし)※ペンネーム
1992年4月29日生まれ。28歳。男性。長野県上伊那郡辰野町出身。東京都あきる野市在住。早稲田大学大学院文学研究科修士修了。現在、会社員。

【読者賞】
『デジタル的蝉式リセット』
倉坂尚人はある日、有川弥生と名乗る女性の訪問を受ける。尚人が高校時代に交際していた芦原小夜子のルームメイトだという。帰省したきり連絡が取れない小夜子を連れ戻すために、一緒に来てほしいと依頼された尚人は、もう一度小夜子と会いたい一心で承諾する。だが、向かった先の稲守村で、小夜子は23年ごとに行われる『ナキメサマの儀式』の巫女に選出されていた。古い習わしにより、儀式中の巫女との接触を禁じられた尚人たちは、小夜子の無事を確認できるまで村に滞在することを決意する。そんな中、村に泊まった最初の夜、二人は神社の境内を徘徊する異様な姿の人影と遭遇する。更に翌日、人間業とは思えぬほど凄惨に破壊された死体を発見し……。

著者略歴:秋津朗(あきつ ろう) ※ペンネーム
1960年4月25日生まれ。61歳。男性。兵庫県神戸市兵庫区出身、同在住。大学卒業後IT企業に就職。 現在、嘱託として同社勤務。

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