iPhoneにはじめからインストールされている「メモ」アプリ(以下表記:メモ)で小説を執筆できたらと思ったことはありませんか?
MacやiPadなどのApple製品を他にお持ちであれば、iCloudを通してメモの内容をそれぞれの端末で同期することができます。出先で思いついた構想やセリフをiPhoneからメモに残しておいて、ご自宅でMacからじっくりと続きを加筆することが可能です。また、参考になる写真や表を一緒に保存することも出来るので、執筆スタイルに応じて幅広い使い方が出来ます。
しかし、メモには小説を書く上で致命的な欠点があります。それは、「デフォルトで文字数が数えられない」ということです。
今回は、メモをiPhoneの『ショートカット』機能を使ってカスタマイズして小説執筆に最適な環境にする方法を解説いたします。最初の設定は少し専門的でややこしいですが、一度設定してしまえばその後は5秒で文字数を計測できるようになります。
私はエブリスタさんが主催されているコンテスト「三行から参加できる 超・妄想コンテスト」によく応募するため、100文字(三行程度)~8000文字までという文字数制限をザックリと計測するのによく使っています。
※半角も全角も等しく1文字とカウントしています
※公募などに使用される際は対象サービス・原稿とカウント方法と異なる場合がありますので、こちらの結果だけを使用することはせずに複数のカウント方法をご利用ください。
この記事の目次
ダウンロード
この記事で紹介しているカスタマイズ部分を読まなくても、ダウンロードするだけでiPhoneで文字数カウントができるデータをご用意いたしました。ぜひ、リンク先からダウンロードしてご活用ください。
https://www.icloud.com/shortcuts/7cebed62b27346ed884a1dd1cbd95c3a
【完成形】カスタマイズ後の文字数カウントの手順
まずは、今回のカスタマイズ後にどのような形になるのかをお見せいたします。慣れれば5秒で文字数をカウントできるようになります。
[使用方法]
- メモに原稿を執筆し、共有ボタンをタップします
- 下から出現したウィンドウをスクロールして設定したショートカットを選択します
- 通知で文字数が表示されます
※Wordなどのように常に文字数が表示される形にはなりません。一区切りするまで文字数をカウントしない、最終的な文字数の微調整は他のサイトを使う、といった用途におすすめです。
私は超・妄想コンテスト用に使用しているため、最終的な文字数調整はエブリスタさんの文字数カウント機能を使って調整しています。8000字ギリギリで書くと大体100文字程度はズレがあるので校正をしながら文字数を整えます。
【作業】ショートカットから文字数カウントを表示できるようにする
では実際にiPhoneのメモをカスタマイズして文字数カウントが出来るように調整してみましょう。4ステップで簡単に設定が可能です。
1:制作準備
- iPhoneのホーム画面を一番右までスワイプして検索ウィンドウから「ショートカット」アプリを検索します
- 「ショートカット」アプリを開きます
- 「すべてのショートカット」をタップします
- 「+」をタップして新しいショートカットを作成します
2:ショートカットの名前を設定します
- 「新規ショートカット」をタップします
- 名称変更をタップします
- 「文字数カウント」などわかりやすい名前を入力します(※自由な名前で構いません)
3:アクションを設定します
5つのアクションと表示の設定を行います
①〜②「共有シートから任意の入力を受け取る」
A「アクションを追加」をタップします
B「書類」をタップします
C「入力からテキストを取得」をタップします
D「入力」部分をタップし候補から「ショートカットの入力」をタップします
E 合わせて2つの吹き出しの項目が表示されていればOKです
③「ショートカットの入力からテキストを取得」
A下部「書類」ウィンドウを上にスワイプして広げ、下にスライドします
B「テキストを置き換え」をタップします
C「こんにちは」部分を「\n(バックスラッシュ 半角エヌ)」に置き換えます(※これを設定しないと改行が1文字としてカウントされます)
D「>」のマークをタップして詳細項目を広げます
E「大文字/小文字の区別」をオフ、「正規表現」をオンにします
④「アップデートされたテキストの文字の数を数える」
A「書類」の右上のバツボタンから閉じます
B検索窓から「カウント」を検索します
C「カウント」をタップします
D「項目」の表示をタップして「文字」に変更します
⑤「通知Σ数を表示」
A検索窓から「通知」を検索します
B「通知を表示」をタップします
C「こんにちは」をタップして「Σ数」に変更します
→表示の設定
A 下部「i」マークをタップします
B 共有シートに表示」にチェックします
実際に表示されるかを確認しましょう
メモに原稿を執筆し、共有ボタンをタップします
下から出現したウィンドウをスクロールして設定したショートカットを選択します
通知で文字数が表示されます
無事に通知で文字数が数えられていたら完成です!
トラブルシューティング+Tips
実装にあたってよくある要望やトラブルについてまとめました。
1:通知で表示される文章を「〇〇文字」の形にしたい!
>3-⑤-Cの後、「Σ数」をタップして、その後にテキストを入れることで
通知の際に表示される文字を変更することができます。
2:アイコンの形や色を変えたい!
>2-①、もしくは設定後にショートカットの設定画面で「文字数カウント」のアイコンをクリックして、オプションを開いてください。アイコンのカラーや形を好きな形に変更することが可能です。
3:通知がやってこない!
>「3→表示の設定-B」の際に「プライバシータブ」を開いて「このショートカットにアクセスを許可」がONになっていることを確認してください
4:ショートカットの順番を変えたい
>以下の手順で順番を整理することが可能です
- メモ帳を開いた状態から、共有ボタンを押します。
- 下にスワイプして「アクションを編集…」をタップします。
- アクションの項目一覧が表示されるので、上部に表示させたい項目を「+」マークをタップします。
- 「完了」をタップすると順番が入れ替わります。
5:メモ帳のロック機能を使いたい
>完成した作品をロックすることで誤って消してしまったりする誤動作を防ぐことができます。また、R18に匹敵するコンテンツなど人に見られたくない作品を執筆することも可能です。
- メモ帳の右上の「…」をタップします
- 右上のロックをタップします
- 「iPhoneのパスコードでメモをロック」か「別のパスワードを作成」を選ぶことが出来ます
- ※別のパスワードを作成した場合は忘れてしまうと復旧ができません
iPhoneメモの執筆で出来ること
実際に私がどのようにメモ機能を活用しているかを共有させていただきます。
メリット
iPhoneとMacのW執筆環境が構築できます
出先ではiPhoneで、家ではMacでという2通りの執筆環境でデータの同期が簡単にできるところが1番のウリです。移動が多い環境のため、データが常に最新なことにいつも助けられています。
端末の紛失に強いです
iCloudと同期することで、クラウド上にデータが保存されるため端末の急な不調やクラッシュが起きてもデータは安心です。
横書き小説が書けます
私がメインに書いている作品はWeb作品です。実際にユーザーに見られる環境であるiPhoneなどの横書き環境で執筆が出来るため、出来上がりのレイアウトと認識の齟齬が生まれない部分はメリットかなと思っています。
チェックリストの作成機能があります
例えばコンテストのテーマで予め「この要素を入れよう」というメモをチェックリストにして置いています。コンセプトを洗い出すことで構想をまとめながら執筆を進められます。
タイトルや見出しの設定が容易です
テキストのスタイリングが可能なため、タイトルなどの大きさを変更したり、アンダーラインなどを付与したりすることができます。
フォルダ分けで日常のメモと区別が可能です
また、フォルダを超えた部分でもタグをつけて検索することもできます。
ダークモードへの変更が可能です
夜中の執筆環境のお供、ダークモードの利用が可能です。目に優しいので夜執筆の罪悪感を減らすことができます。
ゴミ箱機能で削除後も最大30日間復元ができます
誤ってゴミ箱に捨ててしまっても30日間復元ができます。
デメリット
誤動作(例:猫や子供が戻るボタンで全て文章を消してしまった等)には弱いです。
おわりに
設定するまでは面倒ですが、一度設定してしまえば出先の環境と家の環境を統一することが可能になります。散歩の途中で浮かんだあのフレーズや寝る前に考えたことをメモして、あなたの発想を1%もロストしない執筆環境を築いてください。
あなたの便利な執筆活動を応援しております!