何を当たり前のことをと思われるかもしれませんが、ネット小説にはライトノベルにしか居場所がないということを再確認しました。
再確認するきかっけとなったのは、カドカワとはてなが共同で開発・運営している小説投稿サイト「カクヨム」を見たことです。
二次創作が可能な「カクヨム」
これは正式オープン前から分かっていたことですが、カクヨムでは、カドカワのレーベルの小説の二次創作を掲載することができます。
しかし、二次創作可能な作品はライトノベルばかり。まあ、この辺りはカドカワにはラノベレーベルが多く、また、ライトノベル作品で二次創作をしたい人が多いという要因があるでしょう。
とはいえ、大体的にライトノベルの二次創作が可能であるということを看板として引っ提げていれば、カクヨムにはさらにライトノベルを書くユーザーが増えていくことでしょう。
オープンに際してのメッセージ
カクヨムでは、「人気作家の方々からの応援コメント」と題して、以下の作家からのコメントを掲載しています。
著名なライトノベル作家の方々が名を連ねていますね。これもカドカワと縁のある作家の方々ということなのでしょうが……。(というか、二次創作の掲載許可を出している作家さんですよね)
エブリスタは作家の石田衣良氏との企画を打ち出すなど、いわゆる一般文芸との結びつきも強めていこうという姿勢がやや見られますが、カクヨムはラノベ色が強いといえます。
また、投稿された作品をざっと見てみましたが、タイトルだけで判断するに、ラノベっぽいなと思う作品が多く見られました。もちろん、「ラノベっぽい」の定義も「多い」の定義も曖昧なので、これだけでカクヨムのラノベ色が強いという証拠にはなりません。しかし、僕と同じような感想を抱く方も多いのではないでしょうか。
頑張れクランチ。負けるな破滅派。
別にラノベが悪いと言っているわけではありません。しかし、ネット小説にラノベしか居場所がないというのは、創作の幅を狭めてしまうのではないでしょうか。ネット小説で幅を利かせている小説家になろう、エブリスタ、Pixivなどもラノベが色が強いため、大衆文学や純文学は投稿しにくく、評価もされづらいように思います。
カドカワ×はてなの「カクヨム」は間違いなく小説投稿サイト界の巨人になるので、総合的なプラットフォームとして機能してほしいなと思っていたのですが、二次創作や寄せられたコメント、すでに投稿されている作品を見るに、このままではラノベのプラットフォームになりそうな予感がしています。
しかし、それならば住み分けをすればいいという話でもあります。
ラノベ以外の作品が多く集まっているプラットフォームとしては、「CRUNCH MAGAZINE(クランチマガジン)」と「破滅派」がおすすめです。
CRUNCH MAGAZINE(クランチマガジン)
「クランチマガジン」は、第48回文藝賞を受賞した今村友紀氏が開発した投稿サイトです。キャッチコピーは「研ぎ澄まされた言葉を、一行でも」。
純文学系の新人賞でいいところまで残ったような方たちも多く使っている印象があります。
破滅派
「破滅派」は、第39回新潮新人賞を受賞した高橋文樹氏が運営するオンライン文芸同人誌。WordPressをベースとした投稿システムで、ログインすることで誰でも作品を投稿することが可能です。
投稿した作品をKindleで電子出版する機能も魅力的ですね。
Kindleに電子書籍を出すお仲間を募集します | 告知 | 破滅派|オンライン文芸誌
まとめ
何だかんだと書きましたが、新小説投稿サイト「カクヨム」には僕も大注目しております。
企業が運営する小説投稿サイトとして、近年はnovelaboやtaskeyなどが登場しています。どのサイトもそれぞれに特徴があり、小説を書く方が自分にあった投稿サイトを選ぶことができるようになっています。
そのうえで、カクヨムの特徴はやはりなんといっても「二次創作」でしょう。公認された文芸二次創作で、どのような現象が起きるのか注目したいと思います。
【参考サイト】
カクヨム – 「書ける、読める、伝えられる」新しい小説投稿サイト
CRUNCH MAGAZINE(クランチマガジン) | 先鋭的な作家・作品のための投稿文芸誌
novelabo | 出版社ディスカヴァーが運営する小説投稿サービス「ノベラボ」
taskey(タスキー) | 世界中のクリエイターと共に、スマートフォン小説をつくろう