新人作家への登竜門!五大文芸誌の新人賞を比較しました

小説をい書いている人であれば、誰しも一度は専業作家になることを夢見たことがあるのではないでしょうか。

今でこそ作品がネットで話題になってデビューということも珍しくなくなってきていますが、純文学系の小説は、まだまだ文芸誌の新人賞から新たな才能が発掘されることが多いですね。

そんな純文学系の新人賞のうち、いわゆる「五大文芸誌」と言われる雑誌が主催している新人賞を比較します。

五大文芸誌とは?

「五大文芸誌」といえば、一般的には『文學界』、『新潮』、『群像』、『すばる』、『文藝』の五誌のことを指します。近年の芥川賞候補作のほとんどは、この五大文芸誌に掲載されたものです。また、芥川賞受賞者はかつて五大文芸誌の新人賞でデビューした方であることが多いです。

五大文芸誌を発行している企業と発行ペースは、以下の表を参考にしてください。

(※情報はいずれも、2016年2月末に確認したものです。)

雑誌名出版社発行ペース定価
文學界文藝春秋月刊970円(税込)
新潮新潮社月刊980円(税込)
群像講談社月刊907円(税抜)
すばる集英社月刊950円(税込)
文藝河出書房季刊1404円(税込)

 

なお、『新潮』、『すばる』とは別に『小説新潮』、『小説すばる』というものもあります。これはいわゆる「小説誌」と呼ばれるもので、主にエンタメ作品を掲載しています。

各賞の特徴を比較

各賞の特徴を以下の表に示しました。

賞名枚数締め切り賞金選考委員過去の主な受賞者
文學界新人賞70~1509/3050万円円城塔、川上未映子、松浦理英子、吉田修一、綿矢りさ円城塔、中山智幸、宮下奈都、絲山秋子、吉田修一、松浦理英子、石原慎太郎など
新潮新人賞~2503/3150万円川上未映子、桐生夏生、中村文則、福田和也、星野智幸上田岳弘、高尾長良、滝口悠生、中村文則など
群像新人文学賞70~25010/3150万円青山七恵、辻原登、高橋源一郎、野崎歓、多和田葉子諏訪哲史、島本理生(優秀作)、村田沙耶香(優秀作)、阿部和重、多和田葉子、村上春樹、村上龍など
すばる文学賞100程度~3003/31100万円江國香織、奥泉光、角田光代、高橋源一郎、堀江敏幸金原ひとみ、辻仁成、又吉栄喜など
文藝賞100~4003/31 50万円 斎藤美奈子、町田康、保坂和志、藤沢周 青山七恵、山崎ナオコーラ、羽田圭介、中村航、綿矢りさ、星野智幸、田中康夫など

文學界新人賞

第122回 文學界新人賞

【枚数】
400字詰原稿用紙で70~150枚

【締め切り】
2016年9月30日

【賞金】
50万円

【選考委員】
・円城塔
・川上未映子
・松浦理英子
・吉田修一
・綿矢りさ

【過去の主な受賞者】
円城塔、中山智幸、宮下奈都、絲山秋子、吉田修一、松浦理英子、石原慎太郎など

【備考】
8月より、Webから応募することができる。

【詳細】
文藝春秋|雑誌|文學界_文學界新人賞原稿募集

新潮新人賞

第48回 新潮新人賞

【枚数】
400字詰原稿用紙~250枚

【締め切り】
2016年3月31日

【賞金】
50万円

【選考委員】
・川上未映子
・桐生夏生
・中村文則
・福田和也
・星野智幸

【過去の主な受賞者】
上田岳弘、高尾長良、滝口悠生、中村文則など

【備考】
特になし。

【詳細】
応募規定|新潮新人賞|新潮社

群像新人文学賞

第60回 群像新人文学賞

【枚数】
400字詰原稿用紙70~250枚

【締め切り】
2016年10月31日

【賞金】
50万円

【選考委員】
・青山七恵
・辻原登
・高橋源一郎
・野崎歓
・多和田葉子

【過去の主な受賞者】
諏訪哲史、島本理生(優秀作)、村田沙耶香(優秀作)、阿部和重、多和田葉子、村上春樹、村上龍など

【備考】
賞金は、受賞作複数の場合は分割。

【詳細】
群像-群像新人文学賞 原稿募集

すばる文学賞

第40回 すばる文学賞

【枚数】
400字詰原稿用紙100枚程度~300枚

【締め切り】
2016年3月31日

【賞金】
100万円

【選考委員】
・江國香織
・奥泉光
・角田光代
・高橋源一郎
・堀江敏幸

【過去の主な受賞者】
金原ひとみ、辻仁成、又吉栄喜など

【備考】
特になし。

【詳細】
| 第40回すばる文学賞原稿募集 | すばる – 集英社 |

文藝賞

第53回 文藝賞

【枚数】
400字詰原稿用紙100~400枚

【締め切り】
2016年3月31日

【賞金】
50万円

【選考委員】
・斎藤美奈子
・町田康
・保坂和志
・藤沢周

【過去の主な受賞者】
青山七恵、山崎ナオコーラ、羽田圭介、中村航、綿矢りさ、星野智幸、田中康夫など

【備考】
特になし。

【詳細】
文藝|文藝賞原稿募集|河出書房新社

どの賞を狙う?

新人賞を取るためにどの賞を狙うか、ということについては各自判断基準があると思いますが、選考委員や過去の受賞者、各誌に掲載されている作品・作家などを見て傾向を分析するのがおすすめです。

枚数にもそれぞれ特徴がありますね。文學界新人賞は70~150枚と中編クラスの作品を求めているようです。また、300枚を超えるような大作であれば、この中では文藝賞に出すしかありません。

新潮新人賞、すばる文学賞、文藝賞の締め切りが3月末。文學界新人賞が9月末で群像新人文学賞が10月末なので、多作の方は半年に一回くらい新人賞を狙ってみるのも良いかもしれません。もっとも、じっくりと執筆するのをおすすめしますが……。

CRUNCH MAGAZINEに掲載されている以下の記事も、新人賞選びの参考になるでしょう。
作家志望なら知っておきたい最低限の出版のはなし【第1回】純文学系新人賞編

まとめ

以上、五大文芸誌の新人賞についての情報をまとめました。

さて、この記事を執筆するにあたって過去の受賞者をたくさん見てきましたが、著作を継続して出版している方はごく一部ですし、中には受賞したのに単行本が出版されていないという方もいらっしゃいました。

新人賞受賞はゴールではなく、始まりと捉えるべきでしょう。

情報は、随時更新していきたいと思っております。

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