「読む」人にも「詠む」人にも参考になる!短歌の“生息地”を紹介します

5・7・5・7・7の31音からなる短歌。

気軽に始められる文芸創作として、インターネットを中心に幅広い層に向けてじわじわ広がりを見せています。

ここでは、短歌に取り組む人や作品がどこに存在するのか、世間からは見えづらい短歌の生息地をご紹介します。

まずはTwitterを見よ!

140字以内でつぶやくツイートと31字からなる短歌の相性は抜群。ネット上での活動を主とする歌人以外にも、短歌界隈で有名な歌人も多く見かけることができます。

自作短歌の発表はもちろん、他の人の短歌を引用して感想を述べる(評をするとも呼ばれます)ことも盛んです。

投稿作品の掲載情報や自主企画の告知も多く、うまく使えばあらゆる情報を集められるといっても過言ではありません。なによりたくさんの短歌仲間が見つかることは、心強いことでしょう。

有名な短歌作品をまとめて読みたいなら!

短歌は気軽に作ることができるジャンルですが、一体どんな作品があるのだろう、まとめて読んでみたいけど、何から読めばいいかわからないかたも多いかもしれません。

そんなとき、ぜひ手にとってほしいのが「アンソロジー」と呼ばれる、複数人の作者の作品が一冊にまとめられた本。短歌の幅広い作風を見ることができる点でも、非常に楽しむことができます。

現在入手しやすいものとしては、

  • 『現代短歌の鑑賞101』『現代の歌人140』(ともに小高賢編著、新書館)
  • 『桜前線開架宣言』(山田航編著、左右社)
  • 『短歌タイムカプセル』(東直子ほか編著、書肆侃侃房)

が挙げられ、現代短歌の作品を一度に見比べることができます。ここから気になった歌人の歌集を手にとれば、お気に入りの作品に出会えるかも。

自作の短歌を読んで欲しいなら!

インターネットに発表する

作品ができると、誰かに読んでもらいたくなるのが創作者の性(さが)。もっとも手軽なのがウェブ上での公開です。一般的なSNSやブログサービスを利用して発表することもできますが、実は短歌投稿に特化した「うたよみん」「うたのわ」というサイトがあります。

会員登録をすると、自分のページを持つことができるだけでなく、気に入った作者のフォローや、いいね・コメントをつけることが可能となります。

作風はサイトごとに異なるものがあり、「うたよみん」はカジュアルな口語短歌、「うたのわ」は和歌の雰囲気を残したものが多い傾向にあります。

また、「うたの日」という歌会サイトも見逃せません。
一般的に歌会とは、主題テーマに沿った作品を提出し、その作品について意見や感想を交わすものです。このサイトでは「投票システム」を採用し、歌会テーマごとにランキングが発表されるゲーム性の高さも魅力です。こちらも作品に対してコメントすることができます。

各種メディアに投稿する

作品に作り慣れてきたら、今度は選者のいるところへ投稿して見ましょう。応募のなかから、選りすぐりの作品として掲載されることは、とても励みになります。気軽に応募できる投稿先としては以下のようなものが挙げられます。場によっては、短歌に関わりのない読者にも目に触れる機会もあるかも。

なお、注意して欲しいのが、投稿する際の作品は「未発表作品」に限定するところがほとんどだということ。他所への二重応募はもちろん、インターネット上でのアップも不可(=既発表)扱いにするところが多いので、応募の際は要項をよく読んでください。

新聞歌壇

各新聞の短歌投稿先。毎日歌壇(毎日新聞)・日経歌壇(日経新聞)・読売歌壇(読売新聞)・朝日歌壇(朝日新聞)のような全国紙で掲載される以外にも、地方紙で募集しているところがあります。複数の選者別に欄が設けられていることが多く、新聞社によっても、独自のカラーが存在します。応募はハガキのみのケースが多かったのですが、現在はWebフォームからの投稿が可能なところもあります。

雑誌の投稿コーナー

文芸系雑誌の短歌コーナーも根強い人気があります。『ダ・ヴィンチ』の「短歌ください」(穂村弘選)や『野性時代』の「野性歌壇」(加藤千恵・山田航選)、『公募ガイド』の「短歌の時間」(東直子)などがあげられます。作品に対する選者からの評が充実していることもあります。
また短歌は、『短歌』(角川学芸出版)、『歌壇』(本阿弥書店)、『短歌研究』(短歌研究社)、『現代短歌』(現代短歌社)など総合誌が複数あり、投稿コーナーを設けています。総合誌では多くの短歌作品をはじめ、歌集評や時評といった批評を読むことができるので、創作や解釈をより深める一助となります。

インターネット

Web上で「テーマ」に合わせた投稿を募り、ネットプリントやフリーペーパーへ編集・掲載するものもあります。こちら短歌界隈で有名なのが「うたらば」。美しいグラフィックとともに採用作品が楽しめるフリーペーパーと、主催の評も楽しめる充実のネットプリント(両者ともPDFデータとして公開あり)はぜひ一度入手するのがおすすめです。

また歌会形式で採用作品の評をするのが「たかまがはら歌会」。主催とゲストによる解釈を動画サイトからでリアルタイムのライブで聞ける面白さがあります。

「歌会」へ参加する

上でも少し触れましたが、短歌をしていると「歌会」という言葉に出会うことがあると思います。歌会とは、いわゆる作品批評会のようなもので、あらかじめ用意した作品について、参加者皆で読み合い、歌の内容やレトリック、韻律について意見を交換するのが基本的なスタイル。自分がいいと思った歌を選んで票を入れる「選歌」を行う場合もあります。作者がわからないよう「無記名式」のスタイルをとる場合は、会が終わるまで自分の作品を明かしてはいけません。

初めは、感想を言うだけで精一杯なことも多いかもしれませんが、参加を重ねるごとに着目するポイントもつかめるようになるので、司会者にあてられたときは気後れすることなく何か言葉にしてみてください。

とはいえ、誰が参加しているかわからない場へ行くことにハードルの高さを感じることもあるでしょう。そのときは初心者向けや超結社と呼ばれるオープンな歌会、知り合いが参加している会に見学するのをおすすめします。

終わりに

インターネットの発達により、どこにいても短歌に触れやすくなった現代。

短歌というジャンルが盛り上がりを見せることで、歌会や歌人がゲストのトークショー、「文学フリマ」のような同人誌即売会への参加のハードルも低くなりつつあります。

一歩足を踏み入れるだけで世界が広がっていくため、積極的にいろんな場を体験してみてください!

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