“過保護”なネタ帳・プロット管理ツール 「ストーリープロッター」の使い方

先日、「小説のアイディアが浮かばないときに使えるひらめきツール3選」という記事を書かせていただきました。

小説のアイディアが浮かばないときに使えるひらめきツール3選

この記事を読んでくださった方の反応を見ていると、「アイデアが思いついたとして、そのアイデアを形にするのが難しいんだよな……」と言っておられる方が多数。本当にそう。その通りです。思いついたアイデアを、自分の思い描いた形にするのが本当に難しい。

その手助けをしてくれるツール、何か無いかな……と思って見つけたのが、「ストーリープロッター」というアプリ。実はこのアプリ、以前から使用させていただいているのですが本当に使いやすいんです。

というわけで、今回は「ストーリープロッター」というアプリをおすすめさせてください。

「ストーリープロッター」とは?

「ストーリープロッター」とは、貯めたネタから簡単にプロットが作れるアプリ。

Android・iOS両方に対応しており、PCからはWeb版も使用できます。このアプリの良いところは、ネタ帳とプロットを一括管理できるところ。日常生活でふと思いついたネタを、忘れないうちにすぐメモしておきたい創作者は多いはず。「ストーリープロッター」はアプリを開いてすぐにメモを残すことができます。さらに、メモ帳の中から選びだしたネタを別のノートに順番に並べて……という作業も不要。物語の骨組みを作る作業も、このアプリの中だけで完結させることができるのです。

さらに創作の中で難しいのは、書きたいところと書きたいところを繋ぐ作業ではないでしょうか。「ストーリープロッター」開発者様の言葉を借りると、このアプリは「そこをなんとかする」ために開発されました。妄想と妄想の間を繋ぐヒントが、このアプリの随所に散りばめられています。

自分の想像した物語を、なるべく簡単に、ラクに形にする。それを叶えてくれるのが、「ストーリープロッター」なのです。

ストーリープロッターの基本機能

ネタ帳

「ストーリープロッター」のネタ帳は、アプリを起動してすぐに表示されます。

画面上部の「ネタを入力してください」と書かれたバーをクリックするとネタを追加できます。スマホアプリ版では「新しいネタの追加」というボタンから追加します。ネタをフォルダ分けして整頓することで、見やすく管理することができます。ネタの検索や並び替えもボタン一つで簡単に行なえます。

ネタ入力画面が表示され、思いついたその時にすぐメモすることができます。ネタにはイメージ画像をつけることも可能。ネタの色分け・タグ付け機能もあるので、メモしたネタを見失う心配もありません。

プロット帳

「ネタからプロットを作る」をクリックすると、貯めたネタからすぐプロットを作ることができます。

ネタを選ぶヒント・おすすめの数が表示されるので、ネタを厳選するのに役立ちます。もちろんここでも検索機能や並び替え機能が使用可能。たくさん貯めたネタの中から最適なものを見つけやすくなっています。

最後まで選択すると、選んだネタを順番に並べたプロット帳に変換してくれます。

物語のプロットを作るためのヒントや分量予測機能など、プロット作りのハードルが低くなる工夫が散りばめられています。世界観やキャラクターなど、物語の設定を深掘りするための機能も充実。キャラクター設定タブの中には、登場人物たちの関係性が一目で分かる相関図設定機能も。直感的な操作で設定を作ることができるので、誰でも簡単に深い設定を作ることができます。

「ストーリープロッター」を実際に使ってみる

ネタ帳を使う

ここからは、「ストーリープロッター」の使い方を具体的に説明していきます。実際に小説を一本書いてみるつもりで作ってみます。思いつくままにネタをメモしていきます。

メモにタグを設定することで、ネタ帳の中でどんどんネタが増えても探しやすくなります。画像の追加から、イメージ画像などを追加することもできます。

作ったメモは、「蓼食う本の虫」というフォルダを作成して整理しておこうと思います。

メモが完成したら「完了」をクリックして保存します。

これを繰り返して、創作に関するネタをどんどん溜めていきます。

ネタをプロットにする

ある程度メモが溜まったので、プロット帳にしていきましょう。基本機能の紹介で説明した通り、必要なネタを順に選んでプロットにします。

個人的にとても助かっているのが、このプロットの種類選択画面。

プロットを作る最初の段階で目指すゴールが明確に分かるので、最後までモチベーションを保つのに役立っています。今回は例として「超短編」を選択しています。

最後まで使用するネタを選び終わると、確認画面になります。

ここで修正したい場合は戻るをクリックして先程の画面に戻ることもできます。問題なければ決定をクリックして、次のステップに進みましょう。

プロット画面が開きます。

この画面でも、話をどう展開していくかについてのヒントがいくつか表示されています。このヒントを参考にしたり、ヒント自体を編集し自分の好きな展開に作り変えたりすることも可能です。

ネタを並び替えたい時は、並び替えアイコンを押したままドラッグします。

現段階では細切れのネタを、「あらすじ」にしていきます。緑色で表示されているネタをクリックすると、このような画面が開きます。

ネタを膨らませるためのヒントが書かれているので、それを参考にして話のあらすじを作っていきましょう。出来たら「完了」をクリックし、全てのネタでこの作業を繰り返します。

改めて「意外性」って聞かれるとめちゃくちゃ難しいな……どうやって出せばいいんだ、意外性。

どうにかこうにか、全てのメモをあらすじに変換しました。緑色の細切れだったネタが、青色のあらすじに変換されました。

「ストーリープロッター」でしっかりプロットを作り込むと、メモからあらすじに変える作業の間で、考えなければいけない「繋ぎ」の部分や削ってもいい部分が見えてきます。情報を詰め込みすぎて収拾がつかなくなったり、どうしても場面と場面が繋がらなくて途中で執筆に飽きたりといった問題も、ここで解決しておくことができるのです。

設定の深掘り:世界観編

今回、例として作っているプロットは超短編小説用ですが、せっかくなので世界観の設定も行います。「世界観」をクリックすると、デフォルトでこのような画面が表示されます。

物語の時系列を編集していきます。画面真ん中に表示されている「出来事メモ」のペンアイコンをクリックすると、編集画面が表示されます。

出来事やグループ名を編集します。

グループ名のデフォルトは、「主人公側」「事件」という名前で設定されています。登場人物別、世界別などで分けていくと物事の整理がしやすいです。ここでも画像を追加して、イメージを詳細にすることができます。

次に、その出来事が起こった年月日を設定していきます。

範囲は年単位から分単位まで自由に選ぶことができますので、設定に沿ったものを選択してください。今回は1日のうちに起こる出来事を書く予定なので、「時単位」を選び、時間などを入力していきます。

時間を設定する際、こんな画面が開きます。なんかめちゃくちゃカッコいい。

「期間に変更する」を選択すると、連続した時間の設定も可能になります。

タグ設定なども行い、出来事の編集が出来たら「完了」をクリック。時系列の表に出来事が追加されました。

出来事を削除したい場合は、ゴミ箱アイコンをクリックします。

別の時系列を追加したい場合は、出来事の追加をクリックし、グループ名に別のグループの名称を入力します。

長い期間を扱ったり、複数の時代を扱う場合は時代の追加ができます。出来事の名前と時代の期間などを入力すると反映されます。

これらのことを繰り返して、色々な時系列メモを追加しました。

表にしてみると、時間経過の面での矛盾点に気付くことができます。執筆を始めてしまってから気付くと、修正に時間がかかり、やる気を失いかねないので、矛盾点はなるべく早い段階で潰しておきましょう。

この画面の下部には、さらに世界観を深く設定する場所があります。

舞台や仕掛け、過去に起きた事件など、ヒントを参考に入力していきます。またその他に、自分で設定を追加することもできます。

設定の深掘り:キャラ編

左側に表示されているキャラアイコンをクリックするとこのような画面が表示されます。

どうやら、先程プロットに変換する際に「キャラクター」として選択したネタが反映されているようですね。助かる……! せっかくなのでキャラクターも詳しく作っていきます。

表示されているキャラクターのネタをクリックすると、このような画面になります。

キャラクターの名前、役割、性別、年齢など細かく設定していきます。

元から用意されている項目がめちゃくちゃ多い!

数えてみると、大項目が6個、小項目がそれぞれに数十個ずつありました。ここまでしっかりキャラクターを作り込めば、「トラブルが起きたとき、このキャラクターならどうするか」をすぐに想像できそうです。キャラクターへの親近感もかなり湧くはず。

もちろん、この項目すべてに入力する必要はありません。短編であれば、主だった数個だけ入力すれば十分でしょう。入力し終わったら「完了」をクリックします。

キャラをクリックして最初に表示される画面の下部には、キャラクター相関図を設定する場所があります。

矢印をクリックすると、関係を設定できる画面が開きます。

相手に対する印象を入力したり、相関図が見やすいように矢印の色を変更することができます。

「保存する」をクリックすると反映されます。

アイコンをドラッグすると、アイコンの場所を移動させることができます。

キャラの追加からキャラクターを追加できます。キャラクター設定画面が開きますので、追加したいキャラクターの設定を入力していきましょう。

キャラクターを追加すると、相関図にも表示されます。各キャラクターとの関係が入っていない状態なので追加していきます。追加したキャラクターのアイコンをクリックすると、次のような画面が表示されます。

矢印を繋げたいキャラクターのアイコンをさらにクリックすると関係性追加画面が開くので、先程と同じように編集していきます。

同じことを繰り返し、相関図を完成させていきます。

キャラクターそれぞれの性格や関係性をきちんと決めておくことで、世界観を決めたときと同様に作品完成時の矛盾を減らすことができます。

設定の深掘り:テーマ

テーマ画面を開くと、このような画面が表示されます。

画像の追加やテーマ、ポイント、コンセプトなどを一括で管理できるこの画面。創作内容が長くなればなるほど、自分の書きたかったことやコンセプトがブレてしまいがちなので、出来る限り埋めておいて時々見返すことで、ブレを直すことができます。
元々用意されている設定に追加して、自分で設定を追加することも可能です。

まとめ

「ストーリープロッター」の基本機能や使い方について書いてきました。今回初めてPCでWeb版を使用してみたのですが、ほとんどアプリと同じ操作感でプロット作りがサクサク進みました。

「ストーリープロッター」の魅力は何よりも過保護さ! 創作を何から始めていいか分からない初心者から、自分の慣れに頼りすぎて矛盾が見えづらくなった上級者まで、自分の気付いていなかった穴に気付いてそれを埋める作業を手取り足取り助けてくれるのです。

これから創作を始めたい人も、最近創作が行き詰まっている人も、この機会に「ストーリープロッター」を使って新たな扉を開きませんか?

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