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小説を公募に出す場合、書き方の考え方は大きくわけると二つあります。
一つは、公募先の要求に合わせて作品を生み出す方法。もう一つは、既に書き上げてある作品から公募先を決める方法です。
前者が公募先の要求から外れてしまう可能性は、未熟さ以外にほぼありませんが、後者では幾ら作品としての出来が良かろうと、ジャンル違いによる失敗が起きかねません。
そこで、ここでは小説を公募に出す際の、基本的なジャンルの選び方について紹介いたします。
この記事の目次
ジャンル違い(カテゴリーエラー)とは?
ジャンル違い(カテゴリーエラー)とは、提出した作品が募集要項に沿わない、もしくは公募先が求めている傾向に沿わないことを言います。
その乖離に差はあれど、たとえば形態について「小説」と指定がある公募先に、詩を送り選ばれる筈はないでしょう。
あるいは、ライトノベル系の公募に純文学風の作品を提出しても受賞する可能性は低いでしょうし、その逆も然りです。
多くの公募では、募集要項にその賞でどのような作品を求めているのかを記載しています。公募に出す側は、それに合わせて作品を書く必要があります。
小説公募における大まかなジャンル
小説のジャンル分けには色々な方法がありますが、大きく4つに分けるとするならば、以下のようになるでしょう、
- 純文学
- 大衆文学
- ライト文芸
- ライトノベル
この中で、あなたに向いているジャンルはどれでしょうか?
純文学
「純文学」は、主に「芸術であること」に重きを置いているジャンルと言えます。
ストーリーの面白さよりは登場人物の心の動きや文体の工夫がなされており、全体的に硬めの文章のものが多いように思います。抽象的な主題を扱っている場合も多いですね。
純文学に応募したい場合は、五大文芸誌と呼ばれる『文學界』『新潮』『すばる』『群像』『文藝』がそれぞれ新人賞を開催しています。これらの雑誌に掲載されている作品を参考にすると、純文学というジャンルの大まかな傾向が掴めるかと思います。
また、純文学新人三賞と言われる「芥川賞」「三島賞」「野間文芸新人賞」の過去の受賞者や作品もチェックしておくと良いでしょう。
大衆文学
純文学と比較すると、「読者の心を動かすこと」が前提にあるジャンルです。
「エンタメ作品」と呼ばれることもありますね。このことからも分かる通り、エンターテインメント性を重視しているということもできます。
ストーリーの面白さはもちろん、読み手に対してわかりやすく伝える技術も重要となります。もちろん、純文学にそういう技術が不要というわけではないのですが、純文学はどちらかといえば、読者に想像させる余地を残すような書き方をすることが多いです。
大衆文学と一口にいっても、「ミステリ」「SF」「時代小説」などさらに下位のジャンル分けがありますので、自分の書いている小説がそのどこに属するのかも考える必要があるでしょう。
ライト文芸
「ライト文芸」は比較的新しいジャンル概念で、「大衆文学」と「ライトノベル」の中間と考えると良いかもしれません。
「キャラ文芸」と呼ばれることもあり、個性的で魅力的なキャラクターが多く登場する傾向があります。
また、ライトノベルと同様に表紙にキャラクターのイラストを掲載することが多いのも特徴です。どちらかといえばライトノベルはいわゆる「萌え」系のイラストが採用されるのに対して、ライト文芸は同じアニメ調でも違うタイプのイラストが使われることが多いです。
ライトノベル
青少年を対象とした作品群で、突飛な作品を持ったファンタジー作品が多いのが特徴的。特に昨今は、異世界ものが隆盛を極めているジャンルと言えるでしょう。
10代〜20代くらいの男性が主人公で、魅力的なヒロインが登場するパターンが多いです。
他のジャンルと比べると、文章が口語的かつ現代的なのが特徴だと言えるでしょう。
公募先を決める方法
魅力から選ぶ
色々な作品を書いていると、作家としての自分の強みが見えてくると思います。
以下の特徴のうち、あなたが強みとしているものはどれでしょうか…?
- 文体や心情描写
- ストーリー
- キャラクター
1を選んだあなたは、特に純文学を書くことに向いているでしょう。純文学では、独特の文体や緻密な心理描写に評価が集まることが多いです。
2を選んだあなたは、大衆文学やライト文芸、ライトノベルが向いているでしょう。どのようなストーリーが好みかで、どのジャンルに応募するのかを決めると良いでしょう。
3を選んだあなたはライト文芸、ライトノベルが向いているでしょう。場合によっては、キャラクター性の強い大衆文学も書くことができるかもしれません。
レーベルから選ぶ
あなたの作品と似た文体の作品が出版されているのは、どのレーベルでしょうか。
「岩波文庫」「新潮文庫」「河出文庫」「文春文庫」「中公文庫」「ちくま文庫」
→純文学が向いているかも?
「講談社文庫」「角川文庫」「集英社文庫」「新潮文庫」「創元SF・推理文庫」
→大衆文学が向いているかも?
「メディアワークス文庫」「角川文庫」「新潮文庫nex」「集英社オレンジ文庫」
→ライト文芸が向いているかも?
「電撃文庫」「角川スニーカー文庫」「ヒーロー文庫」「コバルト文庫」「ビーンズ文庫」「MF文庫J」「ファンタジア文庫」
→ライトノベルが向いているかも?
作家さんから選ぶ
遠藤周作、村上龍、村上春樹、池澤夏樹、小川洋子、川上弘美、堀江敏幸、綿矢りさ、村田沙耶香など
→純文学が向いているかも?
辻村深月、恩田陸、米澤穂信、上橋菜穂子、伊坂幸太郎、森見登美彦、宮部みゆき、乙一、有川浩、三浦しをん、宮下奈都、赤川次郎
→大衆文学が向いているかも?
有川浩、村山早紀、浅葉なつ、綾崎隼、入間人間、時雨沢恵一、三秋縋、三上延、美奈川護、山口幸三郎、住野よる
→ライト文芸が向いているかも?
時雨沢恵一、谷川流、桜庭一樹、川原礫、鎌池和馬、支倉凍砂、鴨志田一、伏見つかさ
→ライトノベルが向いているかも?
表紙から選ぶ
抽象的な表紙、絵画的な表紙、写真の表紙をつけたい
→純文学、大衆文学が向いているかも?
現代的なイラストの表紙をつけたい
→ライト文芸が向いているかも?
アニメ風の表紙をつけたい
→ライトノベルが向いているかも?
ジャンル別おすすめ公募賞
ジャンル別に、おすすめの公募賞をご紹介します。
純文学
・文學界新人賞
・新潮新人賞
・群像新人文学賞
・すばる文学賞
・文藝賞
など
大衆文学
・小説すばる文学賞
・松本清張賞
・メフィスト賞
・角川春樹小説賞
・野性時代フロンティア文学賞
・オール讀物新人賞
・ポプラ社小説新人賞
など
ライト文芸
・電撃大賞
・ノベル大賞
・角川文庫キャラクター小説大賞
など
ライトノベル
・電撃大賞
・スニーカー大賞
・ファンタジア大賞
など
カテゴリー傾向の罠
さて、ここまでは似ているところに投稿しようというお話でしたが、当然似過ぎていても受賞からは遠のいてしまいます。
基本的には文体は似ているが内容は新しいもの、また切り口の新しいものが好まれるように思います。
まとめ
傾向を把握しつつ楽しい公募ライフを送りましょう。
ここまで読んでくださり、どうもありがとうございました。
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