小説家になるにはどうしたらいいのでしょうか。資格がいるわけではないので、自分で名乗ったり名刺に肩書きを書いたりすれば、あなたも今日から「小説家」です。
しかし、職業として小説家を選ぶのであれば、いわゆる「食える小説家」を目指す必要があります。
「食える作家」への王道は、出版社が主催している新人賞に応募することです。純文学系であれば文藝賞や文學界新人賞、大衆文学系であれば小説すばる新人賞やオール讀物新人賞、ラノベ系であれば電撃大賞やGA文庫大賞など、様々なタイプの新人賞があります。
ところが、このような新人賞を受賞したからといって、確実に「食える小説家」になれるとは限りません。新人賞の賞金だけでその後ずっと食べていけるわけもなく、その後も継続して小説を書き続けなければなりません。ところが、特に純文学系の新人賞などは受賞作が本として刊行されるとも限らず、受賞後は全く名前を聞かなくなってしまう人も多数います。
この記事の目次
インターネット時代の同人小説家
パソコンとスマートフォンの普及で、無名の個人でも気軽に情報発信をすることができ、きっかけを掴めれば莫大なアクセスを集めることができるようになりました。そんな中で、ラノベ系を中心として、インターネットで公開してた作品が話題となり、それが書籍として刊行されることも多くなってきました。『ソード・アート・オンライン』などがその好例です。
また、小説以外に目を向けても、ブログで多くの読者を獲得したり、Twitterでたくさんの人にフォローされたりして、その結果として書籍化されるという人もいます。また、そこからWebライターとして活躍していると方も多く見かけるようになりました
これからもしばらくは新人賞が小説家デビューの王道であることは間違いないと思いますが、それを介さないルートも今後はさらに可能性が広がってくると予測しています。そして、新人賞以外のルートで小説家デビューを目指すときに重要となるのがセルフブランディングです。
では、どのようにセルフブランディングを行なっていけば良いのでしょうか。
Web上に小説を掲載する
たくさんの方に小説を読んでもらうために、まずはWeb上に小説を掲載するのがおすすめです。ここはすでに実践されている方も多いでしょう。
Web上に小説を投稿するには、いくつかの方法があります。一番お手軽なのは小説投稿サイトに掲載すること。小説掲載に特化された機能が用意されていますし、読んでくれる方も集まってきます。
小説投稿サイトは、以下のようなところが有名です。
この他にも様々な投稿サイトがありますが、まずはこの辺りから一つ選んで投稿してみるのがいいかと思います。その後で、自分にあったものを探してみるといいでしょう。
また、小説の投稿用にサイトを作るという手もあります。こちらは作成に手間がかかりますし、投稿するのも面倒なので、、最初の段階ではあまりおすすめではありません。しかし、ある程度ブランディングが進んできた段階で自分用のサイトを作ってみるというのは面白いかもしれません。
僕としましては、小説の投稿は投稿サイトで行い、プロフィールやポートフォリオ用にサイトを作成、ブログやSNSなどで情報発信するのが最も良いのではないかと考えています。
同人誌を作成する
自分で同人誌を作成して販売してみるのもブランディングの施策としては有効です。
冊数にもよりますが、同人誌を作るのにはお金がかかります。また、それが売れる保証はありませんし、全部売れたとしても赤字ということだって多々あります。ネット上だけで作品を公開するよりハードルが高いと言えるでしょう。
だからこそ、同人誌を作っている人たちは本気で文芸に取り組んでいる方が多く、レベルの高い作品も多いです。そこに飛び込んでいくことで、レベルの高い同人作品を求めている人たちにも自分の作品を届けることができます。
SNSを活用する
情報発信にはSNSを活用しましょう。フォロワーが増えれば、作品発表の告知などをしたときに、小説を読んでくれる人が増えます。同人誌を発行している方は、それを買ってくれる方も増えるでしょう。
Twitterを使う
SNSを活用するのであれば、まずはTwitterを使ってみるのがおすすめです。
Facebookはほとんど知り合いとしか繋がれないのに対して、Twitterであれば知らない人からもフォローしてもらうことができます。また、拡散力も高いので、継続使っていれば発信した情報がどんどんと広まっていくこともあるでしょう。
Twitterでブランディングを行ったりフォロワーを増やしたりするのにまず大切なのは、脳内ダダ漏れのツイートをしないということです。思っていることをすべてツイートするのはストレス発散になります。しかし、「眠い」や「今からご飯食べる」というような短文でどうでもいい情報ばかりをツイートしていては、「そんなのどうでもいいわ!!!」と思われてしまうだけです。知り合いだったり、めちゃくちゃかわいいアイドルだったらいざ知らず、それが全く知らない誰かであれば絶対にフォローされることはないでしょう。
それでは、どのようなツイートをすればいいのかということですが、こればっかりは自分で考えるしかありません。誰も思いつかないようなツイートをするからこそ人気が出るのです。ただ、自分が「小説を書く人である」ということを意識してツイートすることは重要です。作品を掲載しているサイトへのリンクばかりを掲載するのではなく、読んだ本の紹介や、最近あった面白いことをツイートしてみましょう。「眠い」「今からご飯食べる」以外だったらだいたい大丈夫です。
あとは、定期ツイートもやめましょう。特に自分が書いた小説へのリンク。フォロワーが秒速で増えているのであれば、毎日リンクを貼っても効果があるのですが、そういう人はまれでしょう。たかだか数百人から数千人のフォロワーに対して毎日リンクをツイートしても、それを踏んでくれるわけがありません。なんなら、毎日同じことをツイートされるのが鬱陶しくてフォローを外されてしまうかもしれません。時報ツイートとかは最悪です。毎日欠かさずにツイートするという方ならば定期ツイートも気にならない場合があるのですが、手動ではツイートしないために、定期ツイートばかりになっているともうフォローする気が失せてしまいます。個人でもそういう状態になっている方が多いですが、同人サークルなどの団体アカウントには定期ツイートまみれになっていることがあります。気をつけましょう。
「Twitterくらい自由に使わせてくれ!」という意見が聞こえてきそうですが、自由に使うのはもちろん構いません。ただ、自由に使っている限りはTwitterのフォロワーは間違いなく増えません。ブランディングをするという目的があるのなら、しっかりと計画して運用しましょう。どうしてもTwitterでストレス発散をしたいのならば、アカウントを分けるのも手です。
Instagramを使う
Twitter以外のSNSは基本的に使わなくてもいいと思います。それよりも、小説を書く方に注力した方がいいでしょう。ただし、Instaramはいま最も勢いのあるSNSといっても過言ではないので、どのような機能があるのかくらいは把握しておくと吉です。
Instagramは写真を投稿してコミュニケーションするSNSです。元々は写真のフィルター機能によって一気に利用者が広まったのですが、最近はSNSとして利用する人も多くなってきました。
ただ、写真を投稿するSNSであるInstagramで小説家がブランディングするのはなかなか難しいことです。ここでは、とりあえず僕の例を紹介したいと思います。
僕は篠原 歩というペンネームで140字小説を書いていて、それを画像化したものをInstagramにアップしています。
また、自分で撮影した写真に140字小説を載せてみるなんてこともしています。
せっかく小説を書いているのですから、Instagramでも文字を基調にして勝負するのがいいと思います。ただ、文字だけではなかなか見られることが少ないと思いますので、自分の書く文章の世界観を体現するような写真・イラストなどと共に掲載するのがおすすめ。
もちろん、自分で写真・イラストを用意できないという方もいらっしゃるかと思います。僕は写真も絵を描くのもへたっぴです。そういう人は、他の人に制作やコラボレーションを依頼してみるのも手です。もちろん、相手側にもメリットのある形にする必要がありますので、その辺りは十分に考えましょう。お互いにアマチュアであれば、それぞれがコラボした作品をシェアすることで、お互いのブランディングにつながるかと思います。
Facebookを使う
Facebookも余力があれば使ってみるといいと思いますが、僕は注力をする必要がないと考えています。
というのも、日本でFacebookを使っているのは基本的にビジネスマンで、小説の更新情報などを流してみたところでなかなかリアクションを得ることはできないでしょう。Facebook上での友だちが多いというのならば、やってみる価値はあるかもしれませんが…。
また、本名が載っている自分のページを作ることはあまりおすすめできません。ペンネームで書いている方が多いでしょうから、その名前で別のページを作りましょう。Facebookでは、個人のアカウントがあれば、そこから企業やブランドなどのページを作成することが可能です。
とりあえずFacebookページを作ったら、あとは小説の更新情報などを随時掲載すれば良いでしょう。それで効果があるようであれば、新しいコンテンツを考えれば良いです。
SNSまとめ
SNSについてまとめると、基本的にはTwitterを使えばOKです。他のものは、余力があるならアカウントを作ってみて試しに運用してみる程度でいいでしょう。あまり興味がなければ、取り組まなくても構いません。
ただ、Twitterは文章主体で勝負できる上に拡散力が大きいので、ブランディングを考えているのであれば絶対にアカウントを取得して運用しましょう。
ブログを書く
情報発信のツールとしては、ブログを書くのも有効です。ただし、自分の日常を日記として書くだけというのはつまらないのでやめましょう。余計に読者が離れていきます。SNS同様、あなたがアイドル並みの人気があるのであれば話は別ですが、そうではない限り日記みたいな記事は読まれません。
それでは、どんな記事を書けばいいのか。
自分が面白いと思っているブログがあれば、それを真似してみるのも一つの手だと思います。はてなブログのおすすめ記事一覧なども参考にしてみてください。
また、読んだ小説や漫画などの書評記事は、あなたのセンスを表す一つの武器となりますし、興味のある方が多いと思いますので、この辺りから始めるといいでしょう。世間の問題に対してあなたなりのオピニオンを示す記事を書くというのもおすすめです。
とりあえず、最初はなんでも好きに書いてみて、そこから自分の得意なジャンルを見つけていけば大丈夫です。それがあなたのブログのカラーになります。
ブログを読んで面白いと思ってくれた人の全員があなたの小説を読んでくれるとは限りません。しかし、ブログ記事であなたの個性がにじむような記事を書いていれば、同じく個性の表出した小説を読んでもらえる可能性は高まります。重要なのは、あなたが個人として誰かに認知されるということです。そのための間口を広げるための一つの手段が、ブログを書くということなのです。
ただ、ブログを書くくらいなら小説を書く方に時間を割いた方がいいのではないかと考える方もいるかもしれませんね。でも考えてみてください。小説を書いていてスランプに陥り、もう一行も書けないというようなことがあるでしょう。そんなときに時間を書けて小説を書こうと思っても大抵うまくいきません。それよりも、一度頭を切り替えて小説以外の文章=ブログ記事を書くことで、脳をリフレッシュさせるのです。ブログを書いたり、そのための取材をする過程で新たな発見があって、それを小説に生かすことができるかもしれませんよ。
さて、ブログを書いたことのない人にとっては、どのブログサービスを使えばいいのか未知の世界でしょう。ここで、いくつかおすすめのブログサービスを紹介いたします。
はてなブログ
僕も個人ブログははてなブログで運用しています。
※参考:あとーすログ
はてなブログを運用している株式会社はてなは、はてなブックマークというオンラインブックマークサービスも提供しています。このはてなブックマークというものをたくさん獲得すると、多くの人にあたなの記事が読まれると考えていただいて構いません。そして、同じ会社が運用している関係上、はてなブログにははてなブックマークが付きやすいのです。
エンジニア系の記事が多いのがはてなブログの特徴なのですが、映画や小説、漫画、アニメ、サブカルチャーに関する記事もかなり多いです。はてなブロガーの同志を見つけて切磋琢磨するのがおすすめです。
ライブドアブログ
無料ブログを始めるのであれば上記のはてなブログがおすすめなのですが、他に勧めるとすればライブドアブログです。
記事を執筆するエディタやテンプレートの違いはありますが、はてなブログとライブドアブログだったら好きな方を使っていいと思います。周りの人がライブドアブログを使っている人が多いということであれば、それに合わせてライブドアブログを使えばいいでしょう。
どっちを使っても大丈夫です。
LINEブログ
最近、LINEブログが一般にユーザー登録を解放しましたね。スマホで文章を書くのが好きだという方は、こちらを使ってみるのも手です。かなり手軽に使うことができます。
ただ、PCで執筆をすることができないので、その辺りが無理という方ははてなブログやライブドアブログ、もしくはこれから紹介するWordPressを使いましょう。
WordPress
本格的に運営したいのであれば、当サイトのようにWordPressで作ってみるのもいいでしょう。
これまでに紹介した無料ブログサービスとは違って、サーバーなどをレンタルしたり、独自ドメインを取得したなど多少の費用はかかりすが、長期的に利用することを考えれば、それほど大きな出費でもありません。年5000円程度で十分に運用できます。WordPressの使用自体には費用がかかりません。
レンタルサーバーは、当サイトではロリポップを使用しています。一番下のエコノミープランではWordPressをインストールすることができないので、それより上位のプランを選んでください。個人のブログであれば、とりあえず月額250円のライトプランを使えば十分です。
しっかり運用したいという方は、エックスサーバーが提供するWordPress特化型のレンタルサーバー「wpX」も選択肢に入るかと思います。月額1000円からとロリポップに比べると割高になりますが、快適に運用することができるでしょう。
ドメインは、「ムームードメイン」や「お名前.com」などで取得しましょう。安いものだと年数百円から取ることができます。
個人的には、ロリポップ+ムームードメインで揃えるのがおすすめです。運営会社が同じなのでドメインとサーバーの連携がしやすいですし、安価で済みます。
まとめ
以上、アマチュア小説家のセルフブランディングの方法についてまとめさせていただきました。
これ以外にもまだまだできることはたくさんありますが、ひとまず
・小説投稿サイトに投稿する
・同人誌を作る
・SNSを活用する
・ブログを書いてみる
ということを実践することを目標にしてみてください。
もちろん、ここに書いたことを全て実践する必要はありません。新人賞に淡々と投稿するのだって、小説家になるための立派な道です。ただ、それだけでは生き残れないと考えている方は、ぜひ上記のことを実践してみてくださいね。
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