2018年10月に正式リリースされた「音声小説配信サービス」がある。それが「Writone」だ。
通常の小説投稿サイトと違うのは、投稿されている小説に、筆者以外の人が「音声」を付けられるということ。
小説家になろう、カクヨム、エブリスタをはじめとした大手サイトから、個人が運営するものまで多くの小説投稿サイトがある昨今。Writoneには、どのような特徴があるのだろうか?
Writoneの3つの機能
Writoneには、以下のモードが3つ用意されている。
- ライターモード
- アクターモード
- リスナーモード
それぞれどのような機能か、順次説明していこう。
ライターモード
ライターモードは、投稿サイトとしては基本の「小説を投稿する」機能だ。大方の小説サイトと同じように「章」や「エピソード」を設定できる。
その他、主に実装されている機能は以下の通り
- ジャンル設定機能
- セルフレイティング機能
- オートセーブ機能(10秒ごと)
- ルビ機能
まだ始まったばかりのサービスということもあり、必要最低限の機能だけがある印象だ。
こちらは、作品の新規作成画面。「ジャンル」は基本的なものがそろっているが、「VRゲーム〔SF〕」などが特徴的だろうか。
こちらは本文の編集画面。
章・エピソードの編集が可能なほか、ルビを振ることもできる。
小説に音声をつける
さて、ここからがWritoneの特徴的なところだ。
このサイトは、作成された小説に音声をつけることができる。もちろん、自分の作品を自分で読むこともできるが、多くの場合は他の人が音声をつける。
これが「アクターモード」だ。ライターモードが小説家志望のためのサービスだとすれば、こちらは声優志望のためのモードと言えるだろう。
音声をつけるために特別な環境は必要ない。普段使っているPCかスマホがあれば、その場で録音できる。
小説を聴く
そして、音声が付いている小説を聴くモードがある。それが「リスナーモード」だ。
小説には、複数の人が音声をつけることが可能だ。聞き手は、その中から好きな音声を選んで聴くことになる。
Wirotneが特徴的なのは、小説を「聴く」機能しか用意されていないことだ。厳密に言うと「アクターモード」を選べば作品を読めるが、ここでは小説を「録音」することが前提となっているため、純粋に本文を読むのを楽しめるわけではない。この制限こそが、Writoneの新しさだ。
小説家と声優のコラボレーション
インターネットは、基本的に共創文化が根強い。
ニコニコ動画にアップロードされているボーカロイド動画の主体は、P(プロデューサー)と呼ばれる作詞・作曲家の存在だろう。しかし、動画を一つ作り上げるためには、イラストを描く人や動画を作る人、リミックスを担当する人などが必要だ。
つまり、一つの動画を作るために、様々な人がそれぞれの才能を発揮している。
ところが小説投稿サイトにおいては、作家が自分の文章のみで戦わなくてはならない。コラボレーションの場がなかなか無い状況だった。
そこに現れたのがWritoneだ。このサービスは、小説家志望と声優志望がそれぞれの得意な領域でクリエイティビティを発揮できる。
マネタイズ機能
今後はクリエイターが収益化できる機能も実装される予定とのこと。
具値的には、声優サイドが音声に値段を設定でき、それが購入された場合は作家にも一部が還元されるという仕組みだ。
作家は面白い作品を書けばたくさんの声優に読んでもらえる可能性がある。また、有名な声優に見初められたことがきっかけで、自身の小説がブレイクするこのもあるかもしれない。
まとめ
いわゆる「若者の活字離れ」というものがどれほど進行しているのかはわからないが、少なくとも出版業会は衰退の一途を辿り、YouTubeやライブ配信などの動画コンテンツが流通している。それと同時に、「音声」コンテンツも、文字に変わる大きな潮流となってきている。
しかし、文字コンテンツの重要性は変わらない。音声を作るにしても、動画を作るにしても、その元になるテキストはいつの時代も必要だ。
Writoneは、音声の力を借りて自身の小説が広まっていくかもしれない新しい形のサービスだ。
小説家志望にとって、あるいや声優志望にとって、どのようなサービスになっていくのか。これからもWritoneの進化に期待したい。
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