森見登美彦は日本の小説家を代表する一人です。
小説家は数多く存在しますが、大人から子供まで楽しめる小説を書ける作家は一握り。森見作品は老若男女に幅広く支持されるものが多く、いくつかの作品はメディアミックスとしてアニメや映画にもなっています。
そんな森見登美彦の小説を、系統別に9作品厳選してご紹介します。
この記事の目次
森見登美彦の作風は?
森見登美彦はどんな人物なのか、作風はどのようなものが多いのか解説していきます。
まだ読んだことがない方はぜひ参考にしてみてください。
人物
森見登美彦は1979年生まれの小説家。京都大学で学び、農学の修士課程を修めています。
デビュー作は日本ファンタジーノベル大賞を受賞した「太陽の塔」で、当時なんと24歳。学生でありながら作家という華々しいデビューを飾っています。
京都で学生生活を送ったことも手伝ってか、作品の舞台にはしばしば京都が選ばれます。
作風
森見作品の魅力はなんといってもその世界観にあります。
どこかノスタルジックで、ずれているのに、なぜだか理解できてしまう。そんな不思議な世界に迷い込んでしまいます。
それでは、奇っ怪で愉快な森見作品をジャンル別に分類し、厳選した9作品をご紹介します。
森見登美彦のおすすめ笑える作品5つ
森見作品は基本的に明るい話が多く、バッドエンドはほとんどありません。
必然的に笑える作品も多く出版されていますので、そのなかでおすすめの笑える話を3つご紹介します。
聖なる怠け者の冒険
さえない青年、小和田くんの前にあらわれたぽんぽこ仮面は、狸のお面をかぶった正義の味方。
街の人気者である彼に、小和田くんはある選択を迫られることになります。
それはぽんぽこ仮面の跡を継いで正義の味方になること。
怠け者の小和田くんはその要求を拒み続けますが、降りかかる非日常的なトラブルによって小和田くんの平凡な休日は過ぎ去っていきます。
森見作品の持ち味である「突飛な世界」と「理論性」がぎゅっと詰まった一冊。
おすすめの笑える森見作品です。
朝日新聞出版 (2016-09-07)
売り上げランキング: 28,137
ペンギン・ハイウェイ
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-11-22)
売り上げランキング: 2,127
2018年にアニメ映画化されたことでも知られている人気作。
小学生のアオヤマくんは聡明で好奇心旺盛な小学生、歯科医院で働くお姉さんと仲がよく、一緒に遊ぶ時間が大好きでした。
お姉さんはある日、突然ペンギンを創り出します。
突如現れたペンギンに、街の人は混乱しますが、アオヤマくんはお姉さんがペンギンを創り出したことを知っています。
お姉さんは何者なのか、ペンギンはなぜ創り出されるのか、アオヤマくんがお姉さんに抱く好奇心が、恋心に移り変わってゆく様を丁寧に描き出した青春の物語です。
四畳半神話大系
タイトルから引き込まれる、森見作品の金字塔。
大学3年生の主人公は、想像していたキャンパスライフには遠く及ばない日々を過ごしていました。
冴えない日々をおくっていた主人公が、もし異なる選択肢を選んでいたらどんな世界にたどり着いていたか、つまりパラレルワールドはどうなっているのかを覗き見る作品です。
サークル選びや、関わる人間の取捨選択で人生はどんな結末を迎えるのか。森見節で語られる学生生活も必見の作品です。
有頂天家族
幻冬舎 (2010-08-05)
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京都には狸がいる――。
狸界の名門である下鴨家の三男、矢三郎が主人公。京都の街で人を化かし、天狗の弟子になり、他の狸たちと派閥争いを繰り広げます。
本当に狸がいて、こんな風に生活しているんじゃないかと思わせられる作品で、アニメ化もしています。
小さなことにくよくよしない狸たちの生き様に、ほっこり笑える小説です。
新釈 走れメロス
KADOKAWA/角川書店 (2015-08-25)
売り上げランキング: 62,453
太宰治の名作「走れメロス」を森見登美彦が書く――。
面白くないわけがありません。太宰治の走れメロスが約束を守るために走る作品だとしたら、森見登美彦の走れメロスは約束を破るために走る作品。
京都の街を舞台に置き換えて、山月記や藪の中といった文学の名作をリメイクした一冊。
原作を知っているとクスリと笑えるシーンも盛り沢山の作品です。
森見登美彦のおすすめゾッとする作品
明るい話が多い森見登美彦作品ですが、実はゾッとする作品も執筆しています。
おすすめの森見登美彦作品からゾッとする小説をご紹介します。
夜行
本屋大賞にもノミネートされた話題作、夜行。
これまでの飄々とした森見節は鳴りを潜め、粛々と不気味な世界が綴られていくホラー小説。
確かな文章力と構成力で描かれる謎が、読者の不安を掻き立てます。
英会話スクールの同級生6人で行った鞍馬の火祭り。そこで失踪した友人、長谷川さんが物語のキーポイントとなります。
残った5人がバラバラの場所で見た「夜行」という絵画と、長谷川さんとの関係はあるのか。
森見登美彦10周年の集大成をぜひ堪能してみてください。
森見登美彦のおすすめ厳選3つ
森見登美彦の作品はこれまで多く刊行されていますが、その中でもおすすめの作品を3つご紹介します。
恋文の技術
ポプラ社 (2011-04-06)
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主人公守田は文通武者修行と称して寂しさを紛らわすために文通をはじめます。
そのまま守田が送った手紙だけで物語は進んでいき、読者は送った手紙を盗み見るかたちになるのが特徴。
手紙を送ることの意味や、恋文の魅力を改めて確認する一冊。
読み終えたときには、誰かに手紙を書きたくなっていること間違いなしの作品です。
夜は短し歩けよ乙女
角川グループパブリッシング
売り上げランキング: 1,777
言わずと知れた森見登美彦の代表作。
大学生の私とそれに憧れる先輩が主人公となり、それぞれの主観が切り替わりながら物語が進んでいきます。
非現実的な登場人物や現象が入り混じり、伏線を張りながら進行するストーリーには森見登美彦の才能を感じずにはいられません。
読み終わったときには晴れやかな気持ちになれる一冊です、初めて森見作品を読む方にはぜひ夜は短し歩けよ乙女をおすすめします。
熱帯
「我ながら呆れるような怪作である」と作者本人が評する話題作、熱帯。
誰も最後まで読んだことがないといわれる小説、熱帯を巡って繰り広げられる幻想的なストーリーや複雑な入れ子構造は森見登美彦ならではの魅力です。
他の快活でわかりやすいストーリーとはまた違ったメタ的な楽しみ方を備えている本書は、まさに本好きのための本と言えます。
森見登美彦の世界にどっぷり浸かりたい方にはおすすめできる、至高の一冊です。
森見登美彦は幻想を具現化する天才だった
森見登美彦の作品はどこかおかしく、軽快で、ありがちだけど斬新な世界観を持っています。まるでパラレルワールドに迷い込んだような感覚を覚えます。
その世界には当たり前の規則が流れていて、ときには主人公や私たち読者だけが、その違和感を感じます。
幻想のなかに迷い込んでしまった感覚をこれほど強く感じるのは、森見登美彦が幻想を具現化する天才だからでしょう。
幻想的な世界観のなかに精巧なリアルを組み立て、森見登美彦の語りがぐいぐいと読者を引き込むのが森見作品の大きな特徴です。
この記事でおすすめした本を参考に、森見登美彦の不思議な世界への扉を開いてみませんか?