スクラップ・アンド・ビルドで僕たちは傷つきにくい心をつくる。
そうしなきゃ生きていけない世の中で、出会ったことは奇跡じゃなくて
なんとなく触れてしまった傷跡が似ている位置にあるだけだった。
ユニクロのセールで買ったスウェットが結局いちばん馴染むみたいに、
ぼんやりと君のつめたい背を撫ぜて、かすれた声を遠くで聞いた。
この先もなんだかんだで毎日が続いていくと思ってたけど、
気がつけば君は隣にいなかった。
終わり方さえ覚えていない。
コンタクトケースを捨てて歯ブラシを捨てれば何も残らなかった。
君の目がやさしい茶色だったこと、忘れていいよと微笑んだこと。
思い出す日々のかけらに君がいて、どうしてだろう、涙は出ない。
別にもう全然悲しくないのになぁ。
春めく風に世界が揺れて、自転車の速度を少しだけ上げる。
記憶が過去になるまで、はやく。
ひとりでも変わらず日々は過ぎるって、ごめんやっぱり嘘だった。
あぁ。