小説を書いていると、漢字とひらがなのどちらで書けばいいのか分からなくなることがありませんか?
文脈や文章の硬軟に応じて書き分けることもあると思いますが、漢字・ひらがなの書き分けには基本的なルールが存在します。
今回は、共同通信社が発行している『記者ハンドブック 第12版』を参考にしながら、書き分けに気をつけたい言葉を7つ紹介いたします。
基本的な書き分けのルール
書き分けをする際、副詞的・補助動詞的な働きをする言葉はひらがなで書くと覚えておけばほぼ間違いはないでしょう。
以下で、例を挙げながら説明していきます。
是非・ぜひ
「是非・ぜひ」は、名詞の場合は「是非」を使い、副詞のときは「ぜひ」を用います。
○たい焼きはお腹から食べるべきという意見の是非を問う。
×たい焼きはお腹から食べるべきという意見のぜひを問う。
○不要になった眼鏡拭きの買い取りは、ぜひとも我が社にお任せください。
×不要になった眼鏡拭きの買い取りは、是非とも我が社にお任せください。
出来・でき
「出来・でき」の場合、名詞で使用する場合は「出来」を使い、動詞で「できる」とするときはひらがなを用います。
○今年のカリブロの出来はどうだ?
×今年のカリブロのできはどうだ?
○僕はもう18歳だから、トイレくらい一人でできる。
×僕はもう18歳だから、トイレくらい一人で出来る。
無い・ない
物体などがそこに存在しないことを表す場合には「無い」を、否定を表す場合などは「ない」を用います。
○昨日買ったはずのまろやかプリンが無い。
×昨日買ったはずのまろやかプリンがない。
○あいつがM-1で優勝するなんてありえない。
×あいつがM-1で優勝するなんてありえ無い。
時・とき
時間そのものを表すときには「時」、場合を表すときには「とき」を使います。
○まろやかプリンを取り戻す計画を実行に移す時が来た。
×まろやかプリンを取り戻す計画を実行に移すときが来た。
○僕がM-1の予選で負けたら、そのときは思いっきり笑ってくれ。
×僕がM-1の予選で負けたら、その時は思いっきり笑ってくれ。
なお、『記者ハンドブック』によると、「使い分けに迷う場合は平仮名書き」だそうです。
事・こと
具体的な事象を指す場合は「事」、抽象的なものを指す場合は「こと」を使います。
○悩み事があるんだけど、君はとてもとても優しいから聞いてくれるよね?
×悩みごとがあるんだけど、君はとてもとても優しいから聞いてくれるよね?
○まろやかプリンのことは知らないと言ってるじゃないか!
×まろやかプリンの事は知らないと言ってるじゃないか!
頂く・いただく
物を受け取るときなどは「頂く」、補助動詞的に「~していただく」という場合にはひらがなを用います。
○絶妙にかわいくないカエルのキーホルダーを頂いた。
×絶妙にかわいくないカエルのキーホルダーをいただいた。
○彼との思い出の品を丁寧に焼却していただいた。
×彼との思い出の品を丁寧に焼却して頂いた。
下さい・ください
「頂く・いただく」と同様に、補助動詞的な使い方の場合はひらがなの「ください」を使います。
○その腐ったみかんを一つ下さい。
×その腐ったみかんを一つください。
○私のためにあの不細工ならんちゅうを買ってください。
×私のためにあの不細工ならんちゅうを買って下さい。
まとめ
今回は、共同通信社が出版している『記者ハンドブック(第13版)』を参考にいたしました。
主に新聞記事を書く際などの基準にするものですが、小説を書くにあたっても、書き分けに悩んだときのためにあると便利ですよ。
繰り返しになりますが、ここで示した基準は必ず守らなければならないというわけではありません。文脈や文章の硬軟によって使い分けることが必要です。
例えば、優しい雰囲気を出したい場合に、本来は漢字で書くべきところをひらがなで書くという場合もあるでしょう。それでも、基準を知っておけば、表記揺れを少なくすることができますよね。
他にも書き分けに困る単語や、小説執筆にまつわる悩みなどございましたら、ぜひお問い合わせよりご要望をお送りください!
まろやかプリンが食べたくなった方のために、一応貼っておきますね……。