半年ほど前に、電子書籍用端末の Kindle Oasis を購入しました。
電子書籍はもともと Kindle を使って読んでいたので、専用端末があったらどんな風な読書体験が得られるんだろう……と気になっていたんですよね。というわけで、買った当初は「こう使おう」という明確なプランがあるわけではありませんでした。
しかし購入してからじっくり使ってみる中で、Kindle Oasisにどのように向き合えばより良く使っていけるのかが段々わかってきました。
この記事の目次
Kindle端末って何?
そもそもKindle端末が何か分からない方のために、簡単に紹介をします。
一般的に「Kindle」と呼ばれるものには2つの種類があります。1つは、電子書籍サービスとしての Kindle 。これは Amazon が提供しているもので、購入した電子書籍は iOS や Android のアプリ、Windws や Mac の専用ソフト、そしてブラウザ上でも読むことができます。国内外を含めてさまざまな電子書籍サービスが展開されていますが、『電子書籍ビジネス調査報告書2020』によると、日本では Kindle ストアの利用率が26.2%と最も高くなっています。
そしてもう1つが、Kindle 電子書籍を読むことに特化したタブレット端末のこと。現在、以下の4種類のラインナップがあります。
- Kindle
- Kindle Paperwhite
- Kindle Oasis
- Kindle キッズモデル
Kindle 端末の何がいいの?
Kindle 端末が普通の端末と違うのは、ディスプレイの e-ink を採用していること。別の言葉で言い直すと「電子ペーパー」というのがわかりやすいでしょうか。紙に近い形で電子書籍を表示してくれるので、非常に読みやすいです。
モノクロしか表示できませんが、文字がたくさん並んでいる本を読むのにフルカラーで表示できる必要はありませんよね。また、日本の漫画は白黒のものが多いので、Kindle端末でも十分に楽しめます。
Kindle 端末の特徴としてはもうひとつ、電子書籍を読む以外のことができない、というものがあります。iOS や Android が搭載されているタブレットであれば、電子書籍を読む以外に動画視聴や様々なアプリの利用ができますが、Kindle は電子書籍しか読むことができません。これは一見不便なようですが、他のことに気をとられず読書に集中できるというメリットがあります。小説を書くのに集中したい人が好んでポメラを使うのと似ていますね。
なぜKindle Oasisを選んだのか
今回紹介する Kindle Oasis は、Kindle 端末の中では最上位のモデルとなります。価格は29,979円からと、電子書籍しか読めない端末としてはかなり高額です。そしてコストパフォーマンスが良いかというかというと、実はそんなことはないと思います。それでも僕が Kindle Oasis を選んだのには理由があります。
Kindle 端末で最も人気があると言われているのが Kindle Paperwhite 。これは間違いなくコストパフォーマンスが一番高い Kindle 端末だと思います。ディスプレイサイズは6インチで、解像度は300ppi 。防水機能もついていて、価格は13,980円からと、Kindle Oasis の半額以下です。正直、これを買うのが一番幸せになれる方も多いのではないかと思います。
ガジェットや家電というものは、基本的にエントリー向けのモデルの満足度が一番高いように思います。僕は数年前に一眼レフカメラの初心者向けセットを5万円ほどで買ったのですが、スマホでは撮れないクオリティの写真が撮れることに大興奮しました。その後はカメラ沼にはまって20万円のカメラボディや15万円のレンズを買うことになるのですが、最初に5万円のカメラを買ったときほどの高揚感はありません。もちろん満足はしているのですが、ハイエンドモデルは細かい機能や使い心地を向上させることにコストをかけており、かつ生産数も少ないので、価格に対しての満足度の上昇は低減していくと考えた方が良いです。
Kindle Oasis にしかない機能を以下に紹介していきますが、この機能に対して1万円以上の価値を感じられるか? ということを考えると、幸せな選択ができるのではないかなと思います。
7インチのディスプレイ
最も大きな違いは、 Kindle Oasis が7インチのディスプレイを搭載している点でしょう。Kindle Paperwhite が6インチなのに比べて、1インチ大きくなっています。この1インチの違いは、たとえば図がたくさん載っている書籍や漫画を読むときに効力を発揮するでしょう。片手で持てって快適に使えるギリギリの大きさが7インチなのではないかなと思います。
明るさの調整
Kindle Paperwhite はフロントライト用の LED が5個ついているのに対して、Kindle Oasis には25個搭載されています。いつでも輝度をMAXにして使うわけではありませんが、明るいところでも画面が見やすいというのが利点の一つです。
色調調節ライト
画面の色調を調節できる機能が、Kindle Oasisの最も重要な機能かもしれません。光には色温度というものがあり、色温度が高いと青っぽい光に、色温度が低いとオレンジっぽい光になります。「ブルーライト」という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、大雑把に言うと、あれは色温度が高い光のことです。寝る前にこういった光を浴びると、眠りが妨げられると言われているんですね。
Kindle Oasisは色温度を調整することができるので、たとえば日中に気合を入れて読書をしたいときは色温度高めの青っぽい光で、眠る前にリラックスして読書をしたいときは色温度低めのオレンジっぽい光で、という風に使い分けることができます。
ページ送りボタン
ページ送り用の物理ボタンがあるのも重要なポイントです。Kindle PaperWhiteは、ページを送るために画面を指でスライドしたりタップしたりする必要があります。この操作を片手で行うと、端末がグラつくので安定して読むことができません。かといって両手で読むのも面倒なんですよね。しかし Kindle Oasis には物理ボタンがついており、これでページを先に進めたり前に戻したりすることができます。画面はやや大きいのですが、持つところにグリップがついてるので、片手ですいすいと読めてしまいます。
自動画面回転
この機能が最高。片手で読んでいて疲れてくるとたまに持ち替えたくなるのですが、自動で画面が回転する機能がついているので、手を持ち替えても物理ボタンを使うことができます。反応もめちゃめちゃ早いです。
差額を払えますか?
以上が Kindle Oasisの特徴です。あなたは、これらの機能に差額を支払えるでしょうか?
もし魅力を感じるのであれば、 Kindle Oasis を買うことで読書生活が豊かになることでしょう。でも、「物理ボタンがなくても読めるし、暗いところでしか読まないし、寝る前にブルーライト浴びるのも構わないし……」ということであれば、 Kindle Paperwhite を買った方が幸せになれると思います。
まだどちらにするか決めかねている、という方のために、僕がどのように Kindle Oasis を使っているのかも紹介しますね。
スキマ時間のためではなく、じっくり電子書籍に向き合いたい人のための端末
まず最初に言っておきたいのは、 Kindle Oasis はスキマ時間に読書を進めるための端末ではないということ。僕もはじめは、ふとした瞬間に本を読むのに使っていました。でも、Kindle Oasisは 起動に少し時間がかかりますし、持ち運ぶにはちょっと大きいです。そのため、スキマ時間に電子書籍を読みたいのであれば、圧倒的にスマホが便利です。
Kindle Oasis は、じっくり電子書籍に向き合うときに使うべきです。紙の大型本に取り組むとき、一番読書がはかどるのはどんなときでしょうか。お気に入りの椅子に座って、照明を調節し、珈琲を入れ、好きなBGMを流しながら、時の流れを忘れて本の世界に入り込む……。そういった体験を電子書籍でもできるようにしたのが Kindle Oasis です。
Kindle端末は、全体的に動きがもっさりとしています。これは、 e-ink を使っている以上は仕方のないことです。だから読み始めるまでには少し時間がかかります。でも読み始めてしまえば、ページ送りの速度は全く気になりません。
起動ボタンを押してから画面が表示されるまでの数秒は、ある種の「儀式」とも捉えられるでしょう。起動する画面を見ながら、今から本を読むんだという気持ちを高めていく。起動が速ければそれに越したことはないのかもしれませんが、この欠点も儀式の一部と捉えれば悪くないものです。
家でじっくりと本を読む以外には、電車に持っていくのもおすすめです。電車は移動のための便利な手段ですが、個人的には読書が一番はかどる場所だとも思っています。スマホを持っていると他のアプリの誘惑に負けて、ついついTwtiterのタイムラインを遡ったり、溜まったLINEの通知を確認したりしちゃいます。でも Kindle Oasis なら、そもそも読書しかできないので、集中して読むこともできます。
電車に乗るのであれば、文庫本をポケットに忍ばせている人もいるでしょう。僕もそうしていることがよくあります。これはどちらでも良いし、本質的な違いはないと考えています。僕は紙でも電子書籍でも本を買っていて、前者はビジネス本や新書、後者は小説を買うことが多いです。どちらが良いというのではなく、読みたい本が電子書籍なのか紙なのかで選ぶのが良いと思います。
また、 Kindle Oasis を使う場所としておすすめなのがお風呂です。紙の本だとお風呂で読んでいるうちに湿気でしわしわになりますが、 Kindle Oasis はその心配がありません。IPX8等級の防水性能を持ち、気兼ねなく湯船に持ち込めます。
付属品は必要?
Kindle Oasis 用の様々な付属品が販売されていますが、これは必要でしょうか。
まずディスプレイの保護フィルム。僕は買ってすぐに貼りましたが、今の今まで存在を忘れていました。存在を忘れさせてくれてかつ画面を保護してくれるので、これは何も考えずにとりあえず貼っておいて良いと思います。
問題なのが保護ケース。Kindle Oasis の剥き出しの背面を守るために純正のケースを購入してみました。画面を閉じるとオートスリープしてくれる機能もついているので最初は気に入って使っていたのですが、段々とその重さが気になってきました。Kindle Oasis 本体の重量は188g。それに対して、純正ケースの重さは180gあります。ケースをつけるだけで、重量が2倍になってしまうんですね。長時間読書をしていると、この重さがじわじわと聞いてきます。そのため、現在はケースを外して使用しています。
ただ、純正ケースも使いどころはあります。僕は、電車に乗る時など外に持っていくときは必ずケースをつけるようにしています。バッグの中には雑多なものが入っており、うっかり傷をつけてしまうと嫌なので……。ただ、使用頻度は高くないので、純正ケースである必要はなかったのかもしれない、と思います。
まとめ
Kindle Oasis は、紙の本と同じように電子書籍にじっくりと取り組みたい人のためのKindle専用端末です。普段から電子書籍で本を買う方にとっては心強い読書の伴侶となってくれるでしょう。
とにかく電子書籍を快適に、そして集中して読むことに細かいところまでこだわった端末だという印象を受けます。他の端末で電子書籍を読むときに感じるストレスがほとんどありません。
Kindle端末はだいたい Amazon のセール期間中に安くなっているので、急ぐのでなければその時期を狙って買うのがおすすめです。ぜひ、ご検討くださいませ。